週明けの国会は21日に会期末が迫る中、政治資金規正法の再改正を巡り、与野党の攻防がヤマ場を迎える。自民党は年内決着に向け、一部支出を非公開にできる「公開方法工夫支出」新設を先送りする修正案を提示したが、野党はなお反発。双方が歩み寄れるかは不透明だ。衆参両院の政治倫理審査会では、裏金事件に関係した旧安倍、旧二階両派の議員が弁明に臨む。
修正案は、公開方法工夫支出を条文から削除し、付則に検討事項として盛り込んだ。しかし、立憲民主党幹部は「当然乗れない」と反対を明言。日本維新の会幹部も「抜け穴が残るのは駄目だ」と突き放す。
主な論点のうち、使途公開が不要な政策活動費の廃止や、外国人による政治資金パーティー券の購入禁止などで、与野党はおおむね一致している。第三者機関の設置に関しても、政治資金を幅広く監査する公明、国民民主両党の案を、自民は受け入れる方針だ。
焦点の企業・団体献金の在り方について、自民は存続の考えを崩しておらず、第三者機関で有識者の議論に委ねるよう主張。臨時国会中の結論を棚上げする思惑がにじむ。これに対し、禁止を迫る立民の野田佳彦代表も、議論に期限を区切る前提で越年を容認する姿勢を示す。
自民は16日の衆院政治改革特別委員会で修正案の採決を目指している。ただ、衆院で与党は過半数に届かず、野党の協力を得るために、一層の譲歩を迫られる可能性もある。
衆院政倫審は、対象となる議員15人全員の審査を公開で実施する。17日は稲田朋美元防衛相ら4人、18日は萩生田光一元政調会長や平沢勝栄元復興相ら7人、19日は福田達夫幹事長代行ら4人が出席。参院政倫審も、山谷えり子元拉致問題担当相ら4人の弁明を18、20両日に行う方向で調整している。
石破茂首相(自民総裁)は、関係議員に一定の説明責任を果たさせることで、裏金事件の幕引きを図りたい考え。ただ、立民などはさらなる実態解明を求め、来年の通常国会でも追及を続ける構えだ。
一方、参院で審議中の2024年度補正予算案は、与党に加えて維新、国民民主なども賛成し、17日に成立する見通し。物価高対策や能登半島地震・豪雨の復旧・復興支援が盛り込まれた。