『劇映画 孤独のグルメ』の撮影地、長崎・五島列島で聖地巡礼をしてきた

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2025年02月08日 09:39  ORICON NEWS

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孤独カットを再現(モデルは五島市の職員・岩田晃一さん) (C)ORICON NewS inc.
 2012年1月にテレビ東京の深夜ドラマ枠で放送が始まり、グルメドラマブームの火付け役となった『孤独のグルメ』。番組に登場した店舗を訪れる“聖地巡礼”を楽しむファンも多い中、シリーズ初の映画作品となる『劇映画 孤独のグルメ』では、あえて“容易には行けない”場所にある店を選んだと、監督・脚本・主演を務めた松重豊は公言している。そんな『劇映画 孤独のグルメ』の撮影地の一つ、長崎・五島列島で聖地巡礼をしてきた。

【画像】福岡・大阪・名古屋・札幌での舞台あいさつの様子

 長崎・五島列島には、旅客機かフェリーで行くしかなく、便数も限られている。『劇映画 孤独のグルメ』の撮影が行われたのは福江島と奈留島だが、この2つの島の移動はフェリーのみ。東京から到着した日は福江島で1泊し、翌日の午前中に福江島、午後から奈留島を取材することにした。島内の移動はタクシーもあるが、レンタカーの利用がおすすめ。レンタサイクルも利用可能だ。今回は取材ということで、五島市の職員に車で案内していただいた。

■福江島

 五島福江空港があるのは福江島で、五島列島最大の島。ホテルも多い。福江島のロケ地は5ヶ所。

(1)BABY QOO

 福江空港(五島つばき空港)からも、福江港からも車で約15分の「堂崎教会」へ向かった。トイレを備えた駐車場に車を停め、一本道を50メートルほど歩くと、教会の入り口手前に「BABY QOO」がある。店主のセンスの良さを感じさせる店構えだ。長崎名物「チリンチリンアイス」やドリンクを販売するテイクアウトの店。不定休のため、閉まっている場合もある。

 「チリンチリンアイス」は長崎の前田冷菓から仕入れたもの。かつて鐘を鳴らして売り歩いたことからその名がついたという。店先にはその名残の鐘が吊るされていた。コーンとカップが選べるが、ここはやはり昔ながらのコーンを選びたい。口に含むとひんやり甘く、さっと溶ける。後味はすっきり爽やかだ。1個350円。

(2)堂崎教会

 堂崎教会は、五島で最初のクリスマスミサが捧げられるなど、布教の拠点となった教会。現在の教会は1908年(明治41年)に完成したもので、キリシタン資料館が併設されている。拝観料大人300円。教会に沿って一本道をさらに奥へ進むと、海へ向かって広く開けた場所があり、まさにここで撮影が行われた。

・五郎がサップに乗った入り江

 「BABY QOO」の目の前にある入り江は、潮が引くと立小島まで歩いて行くことができる。干潮時には「りんご石」と呼ばれる2つ並んだ丸い石も見られるそうだ。近づいてみると、その透明度に驚かされる。底に敷き詰められた玉砂利がはっきり見える。この入り江では、潮の満ち引きを計算しながら、五郎がサップ(スタンドアップパドルボード)に乗って海に出るシーンが撮影された。

(3)奥浦出張所

 堂崎教会から福江港に戻る道沿いには、五郎が探しているスープについて聞き込みに立ち寄った奥浦出張所があった。公的機関のため訪問の際は利用者に配慮しよう。

(4)上大津町の高台

 市街地を見下ろせる場所。道幅が狭いため、訪問時は周囲に注意。

(5)田中水産

 80年以上続く鮮魚店。毎日新鮮な魚を提供している。

※今回は時間の都合で4の上大津町の高台と5の田中水産には立ち寄ることができませんでした。

■奈留島

 福江港を午後1時に出発するフェリーに乗って約40分。奈留港に到着後、まずは食堂「みかんや」を目指した。昼の営業は午後2時半までと聞いていたが、ギリギリ間に合った。

(6)みかん屋食堂

 店に入ると劇中そのままのおかみさんが明るい笑顔で出迎えてくれた。実は、おかみさんは普段店に立つときと同じ服装で映画に出演したそうだ。これは松重監督のこだわりだったという。

 五郎が座った席が空いていたので、そこに座ることもできた。ちゃんぽん(700円)にしようか迷ったが、おいしいと評判の唐揚げも味わえる唐揚げちゃんぽん(900円)を注文。

 テーブルには唐揚げちゃんぽんのおいしい食べ方が書かれたチラシも置いてあった。3つの唐揚げのうち、一つは揚げたてを食べる。衣はサクサク、中はアツアツジューシーでおいしい。一つはスープがしみこむようにつけておく。そして、唐揚げに触れていないところのスープを味わう。五郎が食べたちゃんぽんと同じ、創業以来変わらない味なのだそうだ。スープを絡ませながら麺をすする。モチモチしていて、知っているちゃんぽんとは別もののような気がした。野菜もたっぷり。スープがしみこんだ唐揚げは絶妙な味変でさらにおいしくなっていた。

 店は、店主の橋口剛一さんと知枝さん、従業員2人の4人で切り盛りしている。地元の人たちにとってもなくてはならない食堂だ。オーバーツーリズムが起きない程度に聖地巡礼客が訪れて繁盛してほしい。知枝さんは「(県外に住む)孫が映画を観に行って、私が出てきたところで『ばぁばだ!』と声を出してしまった、と連絡がきました。孫や子どもが喜んでくれたのがうれしかったですね。出演してよかったです。いい記念になりました」と話していた。

(7)宮の浜海水浴場

 みかんやをあとにして、宮の浜海水浴場へ向かった。小さな玉砂利の浜が続く奈留島を代表するビーチだ。エメラルドグリーンとコバルトブルーが織りなす美しさは感動的。五島でのロケは「天気に恵まれ、概ね快晴だった」と松重監督は言っていたが、ここで五郎が遭難するシーンを撮影した日だけ、雨雲が空を覆い、撮影が続けられる程度に雨も降ってきたという。やはり松重監督は特別な何かをもっていたようだ。

(8)奈留教会付近

 奈留教会へ続く階段の下で、お腹をすかせた五郎が店を探そうときょろきょろするシーンが撮影された。奈留教会は、正面に四角の鐘塔と尖塔を持ち、白壁とステンドグラスの洗練されたデザインが印象的な建物だった。教会を訪問する際はマナーに留意しよう。

(9)相ノ浦港浮桟橋

 奈留港に戻りながら相ノ浦港浮桟橋に立ち寄った。オレンジ色が映える桟橋だ。

 福江港に戻るフェリーの時間まで、まだ余裕があったので、舅ヶ島(奈留)千畳敷を上から眺められる場所へ連れて行ってくれた。資料には「舅ヶ島海水浴場から小島へと連なる広く平坦な岩礁で、畳が千枚は敷けそうなほど広いことから『千畳敷』と名付けられた」とある。平たい岩場を歩くと、太古の昔はユーラシア大陸の一部だった証拠となるサイをはじめとする大型動物の足跡を見つけることができるそうだ。

 五島列島を実際に訪れて、2018年にユネスコの世界遺産に登録された教会群や自然が生み出した景勝地など、見どころがたくさんあることを知った。透明度の高い海を眺めているだけでも最高の気分転換になった。ご当地グルメも豊富で、お土産に鬼鯖鮨やかんころ餅、五島うどんなどを買い込んだ。聖地巡礼で行けなかった場所も含め、いつかまた五島列島を訪れたいと思った。

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