保護猫を家族として迎え入れる決断は、その子に安心と愛情を約束する一歩ともいえるでしょう。
サビ猫の「ココア」さんと、飼い主のX(ツイッター)ユーザー・ココアさんパパさん(@Ic22e1z4UFxuYd0)と愛猫「ココアさん」。ともに過ごした17歳6カ月の女の子との物語は、偶然の出会いから始まりました。
段ボールの中に入れられた子猫
2007年5月25日、ココアさんとの出会いは、飼い主さんが会社帰り、同僚と食事に立ち寄ったお店で訪れました。
段ボールの中に入っていたのは、生後推定1週間ほどの小さな子猫。その子がココアさんでした。お店のスタッフは引き取り手を探していましたが、なかなか見つからなかったといいます。
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「スタッフさんが店先に置かれていた段ボールのなかに子猫が入っているのをみつけて保護されていたのです。それが、生後推定1週間ほどのココアさんだったのです。お店の人がスタッフさんやお客さんに『子猫を引き取ってくれないか』と尋ねて回っていました」
ところが、誰も名乗りをあげる人はいませんでした。そこで、飼い主さんは決断を下したのです。
「当時、私は知り合いから子犬を引き取る予定でした。『犬と猫、一緒に暮らすのもいいのではないか』と考え、手を挙げたのです」
こうして、ココアさんは新しい家族として迎えられることになりました。
“子育て”と仕事に追われる日々
ココアさんは、お迎えした翌朝、「ミャーミャー」と元気よく鳴き始めました。
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「ミルクを与えたあと、子猫のための準備が何もなかったので、お店に行って相談しました。ミルクや哺乳瓶、トイレ、猫砂をそろえて帰宅。その後、シャンプーしてタオルで包みながら、ミルクを与えると眠ってしまいました。その愛らしい姿を見て、ココアさんを育てる覚悟が決まったのです」
お迎え当初のココアさんはとても小さく、日中はソファで眠ることが多かったといいます。飼い主さんが帰宅すると、鳴きながらあとをついて来るようになりました。
「定時に仕事を切り上げ、すぐに帰宅し夜6時から3時間ごとにミルクを与える生活が1カ月ほど続きました。睡眠不足になり、お世話で疲れ果ててしまうこともありましたが、このときがあったからこそ信頼関係を築くことができたと思います。私のことを母猫のように思ってあとをついてくるところは、今も変わりません」
そうして、予定していた子犬を迎えると、ココアさんの様子に変化があったといいます。
「ココアさんは、私のことをママだと思っているため、子犬に『ママを取られてしまう!』と思ったようです。威嚇し、私の足首にしがみついたり、粗相をしたりするようになってしまいました。やむをえず、信頼できる知人に相談をし、子犬をお迎えしてもらうことに。すると、ココアさんは落ち着きを取り戻したのです」
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飼い主さんの生活は、まさにココアさん中心になりました。
ちょっぴりツンデレなココアさん
飼い主さんによると、ココアさんは、ビビり屋で慎重派。ちょっぴりツンデレなところがあるそうです。
「キレイ好きな子です。こだわりが強く、好き嫌いがはっきりしていて頑固なところも。ダメと言われたことはしない賢さがあるのですが、こっそりといたずらをすることも(笑)。自分でドアを開けられるのに、私がいると『ドアを開けて』とアピールして甘えます」
ツンデレな一面に、飼い主さんは日々癒やされているようです。慎重さと賢さが光る行動の数々は、ココアさんの魅力を際立たせています。
ココアさんとともに歩んだ日々を振り返って
ココアさんは、現在17歳6カ月を迎えました。
これまで転勤や出張などさまざまな環境の変化をともに乗り越えてきたといいます。
「仕事の関係で転勤が重なり、車で長距離を移動したり、出張でお留守番をさせたりすることがあります。『寂しい思いをさせたかな?』『もうひとりお迎えしたほうが良かったかな?』と考えることも。でも、子犬を迎えたときの情緒不安定になってしまったので、今のままでいいのかもしれないと思っています」
飼い主さんは、ともに歩んだ日々を振り返って次のように語ってくれました。
「ミルクをよく飲んでいたから丈夫に育つだろうと思っていましたが、予想以上に元気です。仕事で大変だったときも、ココアさんがいてくれたから頑張れました。感謝の気持ちしかありません。ココアさんには『これまでたくさんの幸せをありがとう。まだまだ元気で長生きして、楽しい時間を一緒に過ごそうね』と伝えたいです」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)