『ゲド戦記』 © 2006 Ursula K. Le Guin/Keiko Niwa/Studio Ghibliスタジオジブリが世界三大ファンタジー小説のひとつをアニメ映画化した『ゲド戦記』が、2025年3月7日に日本テレビ系列の映画番組「金曜ロードショー」にて放送される。2006年に公開され、宮崎吾朗監督のデビュー作としても話題を呼んだ一作だ。
原作の『ゲド戦記』は、『指輪物語』、『ナルニア国物語』と並んで世界三大ファンタジー小説と呼ばれる。多くの作家や映画監督に愛される作品で、宮崎駿(崎は「たつさき」、以下同)もその愛読者のひとり。映画『風の谷のナウシカ』や絵物語『シュナの旅』など、自身の作品にも大きな影響を与えたと語っている名作だ。
物語の舞台となるのは多島海世界<アースシー>。西海域の果てに棲む竜が突如、人間の世界に現れた。各地では作物が枯れ、家畜が死んでいく。それは、世界の均衡が崩れつつあることの表れだった。災いの原因を探る大魔法使いハイタカ(ゲド)は、旅の途中にエンラッドの王子アレンと出会う。
父である国王を刺し、国を捨てたアレン。アレンは心に闇を持ち、得体の知れない“影”に追われていた。ハイタカはアレンと共に旅を続けるうちに、災いの背後には、永遠の命を手に入れようと企む魔法使いクモがいることに気付く。
ストーリーにおいては、王子アレンがハイタカ(ゲド)との旅を通して成長していく過程に注目してみたい。アレンは父親である国王を刺してしまう。なぜ、そのようなことをしてしまったのか分からないまま国を捨てるアレンは、大魔法使いハイタカと共に生活をし、言葉を交わすことで、落ち着きを取り戻していく。そしてさらに、心を閉ざした少女テルーとの出会いを通して、アレンは闇を恐れることなく、心に光を取り戻すことになる。
絶望の淵にいたアレンは旅の中で、ハイタカの昔なじみのもとで農作業をする。畑を耕すことになったアレンだが、王子として育てられていたためうまくできずに苦労する。手にはマメができるなど大変な様子を見せるが、そんな農作業を通してだんだんと元気を取り戻していくのだ。
このシーンは、宮崎吾朗監督が「三鷹の森 ジブリ美術館」の館長をしていたころ、年下のスタッフと接する中で「太陽の下で労働をすれば、みんな悩みがなくなる」というのを実感したことから取り入れたシーンだそうだ。
物語は、心を失いかけた王子アレンと、心を閉ざした少女テルーとの出会いによってさらに動いていく。劇中で流れる「テルーの唄」の歌詞は、萩原朔太郎の詩「こころ」に着想を得て作詞された。この映画に出てくる登場人物はみんな孤独であり、そんなこの映画の気分が、詩「こころ」に書かれていたからだと言う。
完成した歌詞には「いろんな人に何かを分けたり、もらったりしていくことが、生きていくことだ」という監督の強い想いが込められているそうだ。アレンも、旅路で誰かに助けられたり、誰かの役に立ったりしながら成長していく。「テルーの唄」はテルーのキャラクター像を浮かび上がらせ、さらにアレンや物語全体に大きな影響を及ぼすものになっているのだ。
スタジオジブリが世界三大ファンタジー小説のひとつをアニメ映画化した『ゲド戦記』は、2025年3月7日21時より日本テレビ系列の映画番組「金曜ロードショー」にて放送される。
3月7日(金)よる9時00分〜11時24分 ※放送枠30分拡大
『ゲド戦記』(2006) 本編ノーカット
◆監督:宮崎吾朗
◆原作:アーシュラ・K.ル=グウィン
◆原案:宮崎駿
◆脚本:宮崎吾朗、丹羽圭子
◆音楽:寺嶋民哉
◆声の出演:岡田准一、手嶌葵、田中裕子、香川照之、風吹ジュン、内藤剛志、倍賞美津
子、夏川結衣、小林薫、菅原文太
【今後の放送ラインナップ】
◆今夜9時『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2新吹替版』 本編ノーカット
◆2月21日よる9時『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3新吹替版』 本編ノーカット
◆3月7日よる9時『ゲド戦記』 本編ノーカット
(C)2006 Ursula K. Le Guin/Keiko Niwa/Studio Ghibli, NDHDMT