認知症になる10年前から“体格”に異変があった――1000人以上の認知症患者を10年以上追跡調査

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2025年02月14日 08:21  ITmedia NEWS

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認知症になる10年前から“体格”に異変 オーストラリアチームが調査

 オーストラリアのモナシュ大学などに所属する研究者らが発表した論文「Cardiometabolic Trajectories Preceding Dementia in Community-Dwelling Older Individuals」は、認知症の発症前から身体計測値や代謝指標がどのように変化するのかを調べた研究報告である。


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 研究では1078人の認知症患者と4312人の対照群を最大11年間追跡した。全体の平均年齢は76.9歳。調査では、体格指数(BMI)、体格指数(BMI)、腹囲、収縮期・拡張期血圧、血糖値、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、総コレステロールの推移を比較分析した。


 分析の結果、最も顕著な違いが認められたのは体格に関する指標であった。認知症患者群は診断の7年前からBMIが対照群より有意に低く、その差は時間とともに拡大した。認知症診断時には、患者群のBMIは26.09、対照群は27.22であった。


 腹囲についても同様のパターンが認められ、診断の10年前から患者群で有意に低く、より急速な減少を示した。診断時の腹囲は患者群で93.90cm、対照群で96.67cmであった。


 血中脂質では、特にHDLコレステロールで興味深い変化を観察できた。認知症患者群では診断の3〜5年前に対照群より高値を示し、その後診断時にかけて低下する特徴的なパターンを示した。これは、認知症の病態進行に関連する代謝変化を反映している可能性がある。


 一方、血圧については両群とも加齢に伴う低下傾向を示したが、群間での有意な差は認められなかった。血糖値は両群とも経時的な上昇を示したが、やはり群間差は認められなかった。LDLコレステロールと総コレステロールは両群で同様の低下傾向を示し、中性脂肪は患者群で一貫して低い傾向にあったものの、統計的な有意差は認められなかった。


【修正:2025年2月14日午前11時20分更新 ※掲載画像が一部誤っていたため、画像を差し替えました】


 Source and Image Credits: Wu Z, Cribb L, Wolfe R, et al. Cardiometabolic Trajectories Preceding Dementia in Community-Dwelling Older Individuals. JAMA Netw Open. 2025;8(2):e2458591. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.58591


 ※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2



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