「とらわれていたものから解き放たれる人たちが、自分らしく一歩を踏み出す姿を見てほしいです」
全身ブラックコーデに金髪姿。これまでの黒髪からガラリと雰囲気を変えた橋本愛(29)自身、何かから解放され、さらにスケール感が増したように見える。
3月14日公開の主演映画『早乙女カナコの場合は』で演じたのは、生真面目で不器用な主人公・カナコ。原作小説が10年以上前の作品であることから、現代のジェンダー観に基づいた役づくりを意識したという。
「男らしさ、女らしさ、といったジェンダーロールにとらわれ、自意識が絡み合って葛藤する登場人物が描かれているのが、この作品の面白さです。カナコの根底には男性恐怖症というのがあり、性的な目線で見られることを忌避しています。それゆえに、いわゆる“女性らしい振る舞い”をしないよう心がけ、周りからは“男前”と言われている。でも、その“男前”の表現が、テンプレートなものにならないよう意識していました。そうしないと男社会に迎合できないカナコの不器用さや、生きづらさを伝えられなかった」
そんなカナコとの共通点はたくさんある。
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「自意識過剰で、生き方が左右されてしまうことが大いにあります。10代なんて、ずっとそうでした。見られたい自分と、こうありたい自分と、いま、何をしたいかという自分とが全部矛盾していて、葛藤を抱えながら生きていた。ドロドロした気持ちが渦巻いていました。一時は、そういう部分を消し去ろうとも思っていましたが、いまは、そこまで切羽詰まることなく、自分を面白がれる余裕が出てきました(笑)」
物語は、演劇サークルの先輩・長津田との10年にわたるラブストーリーが中心だが、従来のラブストーリーの枠組みを超えた表現を目指した。
「恋愛にもさまざまな形があり、2人の関係性も王道のラブストーリーとしては描いていないです。恋愛を通して自分のままならなさと向き合い、それぞれの人間性が浮かび上がってくるような形になっています」
さらに見どころの一つは、のんとの共演。『あまちゃん』から10年以上がたつが、橋本にとっても特別な存在だという。
「のんさんは、俳優だけでなくクリエイターとしての才能も豊かな方で、触発されます。自分にしかできない面白いことを探し続けていこうという気持ちに何度も立ち戻らせてくれる存在です」
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20代最後の年を迎えた橋本。仕事で楽しいと感じるときは?
「正直、お芝居って、やればやるほど苦しいんです。自分を追い込みますし、その過程を楽しいとはなかなか思えないけれど、やはり、それを経たからこそくるんですよ、しびれる瞬間が。それはまぐれではなく、みんなで手繰り寄せた奇跡だから、ここまでいけるんだ! と思えたときは本当に幸せです」
(ヘアメーク:ナライユミ/スタイリング:清水奈緒美)
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「にこにこ、ぷん」HD画質で配信(写真:ITmedia Mobile)122
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