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2025年03月17日 12:00 ニコニコニュース
ニコニコ動画を発祥として、今や人気タレントや有名人の中にも数多くのファンを持つ音楽・VOCALOID。
ニコニコニュースでは「あの人のVOCALOIDプレイリスト」シリーズとして、不定期にさまざまな著名人にボカロ曲プレイリストを作ってもらい、ボカロ曲の良さや魅力を語ってもらう連載も実施している。
今回は乃木坂46のメンバーとして活躍する井上和さんが登場!
数あるボカロ曲の中でもお気に入りを集めたプレイリストを作り、そこにまつわる質問や、過去のボカロ曲との思い出などについてもインタビューで語ってもらった。
今年2025年で20歳を迎え、さらに3月には全米最大規模の音楽授賞式「MTV Video Music Awards」の日本版である「MTV VMAJ」と、ボカコレがタッグを組んで実施する「Daisy Bell Award」の受賞曲「リレイアウター」のソロ歌唱も決定!
そんな井上和によるボカロセレクトを、このインタビューから存分に楽しんでみては。
取材・文/曽我美なつめ
──まず、井上さんがボカロを知ったきっかけについて教えてください。
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井上:
ボカロ自体を知ったきっかけは、実は明確にはないんです。当時は「千本桜」が流行ってたり、学校の給食の時間にボカロ曲が流れたりしてたこともあって、小学生の頃には世の中にある、普通の音楽のひとつとして認識してました。
より詳しく聴くようになったきっかけは、中学1年生の時にボカロ好きの友達ともっと仲良くなりたい、と思って聴き始めたのが最初ですね。その子がEveさんをすごく好きだったので、「ナンセンス文学」や「アウトサイダー」を勧められて聴いたのが始まりでした。
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──井上さんは元々、学生の頃からアニメやマンガもお好きでしたよね。そこで近しいものを感じた部分もあったんでしょうか。
井上:
それもあるかもしれません。同じように中学の頃、アニメや漫画にものめり込んでいったんですが、二次元のファンタジーな世界観に惹かれた所もあったというか。現実逃避したい時にマンガとかを読んで、「魔法や剣が使える世界線、かっこいい〜!」って思うのと同じように、ボカロ曲のフィクション的な雰囲気を居心地良く感じて。だからハマったのもあったと思いますね。
──そこから、井上さんご自身はどんな曲やボカロPさんが好きになったんでしょう。
井上:
私、40mPさんの曲がすごく好きなんです。その中でも特に、今回のプレイリストで選曲した「少年と魔法のロボット」が大好きなんですよね。
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元は友人の影響で、同じくプレイリストで挙げたGigaさんの「劣等上等」みたいな尖ったかっこいい系の曲をよく聴いてたんですが、ある日おすすめでふと流れてきたこの曲の温かくて優しい世界観にとても惹かれて。それ以来、40mPさんの曲もよく聴くようになったんです。この曲は夜、習い事の帰り道とかでもよく聴いてましたよ。
──お友達さんはどちらかというと、アッパーな曲の方がお好きだったんですね。
井上:
そうなんです。それこそ「ロキ」をカラオケで一緒に歌いたいから覚えて欲しいって言われて、「いいよ〜」って練習したりもしてました。当時から歌うことは好きだったので、中学の頃は朝10時から8時間、丸一日カラオケに籠もって歌いまくるとか。そんな休日をよく過ごしてました(笑)。
──そんな学生時代を経て、最近もボカロは聴いているんですか?
井上:
やっぱり今回のプレイリストのような曲が私の青春でもあるので、当時の曲を聴いて昔を懐かしいな〜って思い返す、みたいなことが多いかもしれません。当時の私を救ってくれた曲や、今の私を形作ってくれている曲がプレイリストにはたくさんあるので、ぜひいろんな人に聞いて欲しいな、と思います。
──ここからは、そんなプレイリストについても伺えたら。最初に一番難しい質問をするのですが、井上さんがこの中で一番気に入ってるボカロ曲はどれになりますか?
井上:
本当に難しいですね……(笑)。でも、思い出やいろんなものを含めて「誰かの心臓になれたなら」でしょうか。プレイリストには好きな曲ばかり集めたので選びきれないのは大前提なんですけど、この曲は私がしんどい思いをしていた時期に一番聴いていた曲なんです。
実は私、中学2年生の頃にあまり上手く人と関われない時期があって。その時にいわゆる応援ソング、いい意味でキレイな世界を描いている曲を聴いても、結局何も解決しないことってたくさんあったんですよ。本当にしんどい時にそういう曲を聴いても、だからって頑張れるわけじゃないというか。
むしろそうではなく、「嫌だよね」「つらいよね」って自分のしんどさに寄り添ってくれる曲の方が、心が救われるような気がしたんです。苦しさゆえの激しさ、みたいな部分もすごく共感できて。こういうネガティブな感情って、「こんな事思っちゃダメなんじゃないか」「言葉にしちゃダメなんじゃないか」という発想が頭をよぎるんですけど、それを音や形にしてくれることで、すごく自分が安心できた一面もあったんじゃないかな、と。
──お話を聞くと、当時も今も井上さんがご自身の心にすごく向き合っているんだな、と感じます。今のお話は、そういった経験を経た人でないと出てこない言葉ですから。
井上:
ありがとうございます。だからこそ当時の私のように、今もしそういったことに悩んでいる人がいれば、一人でも多くの人にこの曲が届けばいいな、とも思いますね。
──重ねて、今井上さんを応援する方の中には、もしかしたらボカロ曲を全然聴いたことがないという人もいるかもしれません。そんな方にもし1曲オススメするなら、このリストからどれを選びますか?
井上:
「雨き声残響」ですね。Orangestarさんはすごく素敵な曲が他にもたくさんあるんですけど。この曲の冒頭の<自分より下手くそな人 探して浸るの優越感>って歌詞が誰もがきっと思い当たる節のある言葉なんじゃないかと思っていて。
でもその後の歌詞で、そういう一面も<いいんじゃない?>って肯定してくれてる所に、私がボカロを好きな部分が詰まってる気がするんです。あとは、楽曲のメロディーのキレイさや、冒頭が雨の音で始まる感じとか。曲全体の静かな世界観も素敵だな、と思ってるので。
──ボカロはにぎやかな曲のイメージもまだまだ強いですが、その中でこういった世界観の曲があると知ってもらう面でもぴったりの選曲だと思います。井上さんはやはり、今回のセレクトで歌詞に重点を置いたチョイスが印象的ですね。
井上:
やっぱり過去に、私自身がいろんなボカロ曲の歌詞に助けられたことが多かったからかもしれません。特に今回のプレイリストの頭3曲、「ヒビカセ」と「少年と魔法のロボット」、「心做し」は、人ではなくVOCALOIDが歌うからこそ響く歌詞だと思いますね。人とボカロの関係性や、機械と命の話というか、その中にある悲しさや虚しさというか。
ボカロ曲の歌詞にたくさん助けられたと同時に、最初にも話した「ボカロ曲ならではの世界観」も、私が好きなポイントのひとつですね、やっぱり。
──曲調だけを見るとかなり幅広いチョイスの印象がありますが、歌詞で見る事で統一感や井上さんの好きポイントが見える。そんなプレイリストになってるんですね。
井上:
とはいえ、その中でも「ヒバナ」なんかはかなり思い出要素が強くて、カラオケで歌うために、歌詞の英語の部分をたくさん練習したのが今でも思い出深く残っています。
──先ほどもカラオケのお話がありましたし、昔からやはり歌うことがお好きだったんですね。例えばその流れで、「歌ってみた」をご自身でやろうとはしなかったんですか?
井上:
歌うこと自体は確かに大好きなんですけど、実は私、今も昔も自分の歌声はあまり好きじゃないんです。特に中学時代いろいろ悩んだ時期に、自分の事が全部嫌になっちゃった時期もあって。
自分の声よりもボカロや歌い手さんたちの素敵な声を聞いて、自分は友達とカラオケで個人的に楽しむだけ、という楽しみ方をしてましたね。
──ちなみに今回やむなくリスト選出に漏れた曲や、「他にもこの曲いいよ!」というものがもしあれば教えて頂きたいです。
井上:
みきとPさんの「僕は依存症」はいいですよね。ボカロとプロデューサーの関係性が描かれていて、僕は君を置いて大人になっちゃったよ、っていう感じの歌詞とか。人間はどうしても成長して大人になってしまうけど、ボカロたち機械はずっと時が止まったまま変わらなくて、その関係性の悲しさというか。そういうものを描いた曲に久しぶりに出会った気がして、すごく惹かれました。
──ありがとうございました。最後に井上さんの思う、「ボカロの魅力」を総括として教えて下さい。
井上:
さっきの言葉とも少し関係するんですが、私たち人間側がどんなに変わっても、ボカロたちは変わらずそこにいて、いつでも当時の歌を届けてくれる。それも大きな魅力のひとつなんだと思います。
あとは人が普段は口にしにくい感情や、人間が歌うと生々しくなってしまう言葉。それをボカロが歌うことで、いい意味で客観視できるような気もするんですよ。機械の声で淡々としているけど、ちゃんと温かくて存在感を感じる。それがボカロの曲や歌ならではの魅力ですね。
MTV VMAJ 公式サイト
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「The VOCALOID Collection」 公式サイト
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