大量得点のチャンスを逃し「あってはならないミス」と苛立つプジョー。新車の必要性は意見割れる

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2025年05月14日 11:40  AUTOSPORT web

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ロイック・デュバル/マルテ・ヤコブセン/ストフェル・バンドーン組の94号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ) 2025年WEC第3戦スパ
 プジョー・スポールのテクニカルディレクターであるオリビエ・ジャンソニは、5月10日に行われたWEC世界耐久選手権第3戦『スパ・フランコルシャン6時間レース』でのプジョー9X8のペースを考えると、チームがポイントを獲得できなかったことは「悔しい」と胸中を語った。

 プジョーは、スパの予選で上位3グリッドを占めたフェラーリ勢にもっとも近い挑戦者として台頭し、ストフェル・バンドーンがドライブする94号車9X8が4番グリッドを獲得した。

 しかし、このフランスのブランドは4時間目の序盤にセーフティーカーが導入された際、ハイパーカークラスのほぼ全車がピットインを行うなかで93号車をピットインさせなかった。

 これが結果的に大きな戦略ミスとなり、当時5番手を走行していたジャン・エリック・ベルニュ、ミケル・イェンセン、ポール・ディ・レスタ組の93号車は最後尾まで後退。最終的に11位まで巻き返すのがやっとという結果に。

 また最後の1時間では、94号車のマルテ・ヤコブセンがのロビン・フラインス駆る20号車BMW MハイブリッドV8とレ・コーム(ターン5)で接触するアクシデントも発生した。

「正直に言って悔しいし、少し苛立っている」とジャンソニは認めた。

「あってはならない基本的なミスを犯したんだ。セーフティーカーの下でピットインさせようとした93号車のコールが何か間違っていた」

「ピットインできる周回は2周あり、1周目は1台目に使った。これはどのチームも行っていた。そこからはオフセットになり、何かが起こることを祈るしかなかった」

 プジョーがスパでポイントを獲得できなかったことで、彼らはマニュファクチャラーズランキングの7番手に位置することとなった。ランキング上、プジョーの後ろにつけているのは2025年に参戦を開始したアストンマーティンのみである。

 ジャンソニは、表彰台のチャンスを逃したという見方を軽視したが、プジョーの強力なペースはレースがうまくいかなかったことへの苛立ちを増幅させただけだったと述べた。

「フェラーリの2台が突出していたのは確かだが、その後ろはかなりオープンだったと思う。アルピーヌもとても強かったが、その後ろにいた自分たちものペースもかなり強力だったと考えている」

「フリー走行、予選、そして決勝と、レースウイークの初日からペースは良かったと思う。こうした週末のペースを考えれば、最後に結果を残せなかったことは非常に悔しい」

 そう語ったジャンソニは、リヤウイングを装着して2年目となる9X8の競争力が高まっていることを強調した。

「我々は予選に向けて特殊な練習をしており、これが非常に重要になってきている。準備してきたことが結果に繋がっていることを嬉しく思うね。実際、ハイパーポールには3戦連続で進出できている」

「レースペースも良かったし、セットアップやタイヤに対する理解も深まってきている。それらはとても複雑で、細かいことだ。だが、今はより良い準備ができているし今後はより良いパフォーマンスを発揮できるだろう」


■完全な新車が必要か否か

 スパでのレースは、プジョーのWECにおける将来、そして9X8の後継となる完全な新しいマシンを開発できるかどうかについての憶測を背景に開催された。

 レース前、予選を7番手で通過したベルニュは、現在の9X8ではハイパーカーのライバルたちに比べてパフォーマンスがつねに不足していると指摘し、まったく新しいマシンを検討する時期が来ていると語った。

「トップクラスのマシンと競争したいのであれば、我々のクルマを少しでも変えていく必要がある」とベルニュは述べた。

「チームは『必ずや勝てる』と確信している。今後の展開を見守ってみよう」

「9X8のフィーリングは良好だ。まだ、理想の状態には達していないが、一歩一歩前進することはいいことだし、現状を受け止めている。でも、やっぱりレースで勝てたらそれ以上のことはないよ」

 新車の必要性についてSportscar365から問われたベルニュは、「そうだね。変化は必要だと思う」と答えた。

 しかし、レース後のジャンソニはそのような提案を一蹴し、プジョーは新車を作る以前に現在持っているものを最大限に活用する必要があると語った。

「今回のレースを振り返るべきだ。あのペースがあれば、もっといい結果を残せて当然だった」と同氏。「まずは持っているものや与えられたものを最大限に活かそう。議論はそれからだ」

[オートスポーツweb 2025年05月14日]

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