4月から毎回満員御礼のオーナー限定GRファクトリー見学。こだわり抜いた『GRヤリス/GRカローラ』の生産現場に編集部が潜入

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2025年05月14日 13:50  AUTOSPORT web

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GRファクトリー
 トヨタ自動車は4月から『GRヤリス』と『GRカローラ』のオーナーを対象に、同車が生産されている『GRファクトリー』の工場見学を開始した。すでに話題となっているこのオーナー限定の見学ツアーがメディア向けにも実施され、このタイミングは逃せないとばかりにオートスポーツ編集部員も嬉々として参加。GRファクトリーでのクルマづくりにおけるこだわりをお届けする。

 トヨタは愛知県豊田市の元町工場内に特別なエリアとなる『GRファクトリー』を設置している。トヨタ自動車会長にして、ドライバー“モリゾウ”としてさまざまなレースに取り組んでいる豊田章男会長の「トヨタのスポーツカー」を取り戻すという熱い想いのもと、『GRヤリス』の生産開始に合わせて2020年から稼働。現在は『GRヤリス』、『GRカローラ』、『LBX MORIZO RR』が生産されている工場となる。

 生産は1日約100台と他工場からは少ない台数だが、モータースポーツのDNAを継承するスポーツカーブランド『GR』のこだわりのため、時間と手間をかけていることが理由だ。生産ラインは、ボデー工程、組立工程、検査工程の3つに分けられており、その過程をオーナーのみが覗ける工場見学がスタートした。

 GRのロゴが入ったバスで工場まで移動すると、まずはボデー工程へ。ここはアンダーボデー、メインボデー仮付け、メインボデー増し打ち、ボデー精度検査、ドア・フード取付けの5セクションに分かれている。通常のヤリスと比べて高剛性を高めるために、接着剤を多く使用しており、スポット溶接の打点も標準車に対して増加させている。また、足回りの穴の位置をコンマ数mmレベルで計測していることも異なる。

 パーツごとにも微妙なズレがあるため、データ解析システムに集約して、設計通りになるように最適な組み合わせの部品を選択するシステムが活用されている。約1万通りのなかから最適なパーツが取り付けられるのだ。

 組立工程はカーボンルーフ取付け、インストルメントパネル取付け、フロントガラス取付け、足廻り搭載工程、足廻り部品測定、足廻り部品組付けの6セクションだ。取付け作業は通常はベルトコンベアが止まることなく作業されることが多いが、自動搬送機の『AGV(Automatic Guided Vehicle)』で搬送され、停止しながら作業をすることで作業の精度を上げている。見学中はAGVが動く姿も見られ、最先端の技術を知ることができた。

 また、通常は中盤に行われる足廻りの取付を最後に行うのは、操縦性や駆動に関わる組付制度がほかの部品によって影響を受けることを避けるためだ。上記の通り、1日で約100台の生産は他工場に比べると少なくなるが、ひとつひとつの作業に時間をかけること、効率の良い作業工程ではなく足廻りの工程を最後に持ってくることで、スポーツカーへのこだわりを持つことが重視される。

 検査工程はアライメント調整、テストコースでの走行がある。アライメント調整はラリー走行時を想定し、2人乗車+ガソリンが入った状態を重りで再現。調整も通常はFR/RRを同時に調整されるが、GRでは測定してRR調整、再測定してFR調整、最後にもう一度確認のために測定と3回することできめ細かい調整を実現している。

 最後にテストコースでの走行は、認定試験を通過したテストドライバーが、120kmでの直進安定性やレーンチェンジによる操安性、ブレーキ時の挙動や騒音などを評価する。工場に隣接されるこのテストコースでのテスト項目は、スーパーGTドライバーの監修も受けているという。それについては別項でお届けする。

 その他、広くて綺麗な工場や複数のロボットが動いている場面、ロボットによる溶接、たくさんの部品がのっているラックなどが印象に残った。

 上記の3工程、13セクションを経てクルマが完成する。工場内では帽子の着用、溶接のある場所ではガラスで保護されているがさらに保護メガネの着用が必要となるが、クルマづくりの工程をすべて安全に見学することができ、GRファクトリーではレースの世界のノウハウが活かされていることが存分に堪能できる。

 MyTOYOTA(WEB)、MyTOYOTA+(アプリ)にて『GRヤリス』と『GRカローラ』のオーナーには工場見学の案内が配信されているため、確認してほしい。予約受付は1日10組(20名)限定となるが、6月分の開催まですでに予約が埋まっているというから、この見学ツアーのコンテンツ力が計り知れない。まずはオーナー限定のイベントなので、GRヤリスやGRカローラの購入から頑張って検討してみたいところだが、こちらのクルマを購入するのにも数カ月〜半年近くの待ち期間があるという(最新情報は販売店などでご確認ください)。このファクトリーの設備と丁寧な組み立てを見ても、クオリティ重視で台数の上限があるのは納得。そのコンセプトを理解して、焦らず、じっくりと購入とファクトリー見学に取り組んでみたいところだ。

[オートスポーツweb 2025年05月14日]

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