
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、平成でもスマホが普及する以前は、インターネットにアクセスするのはパソコンが定番でした。今ではスマホのフリック入力で高速に文章を打ち込めるため、もはやキーボードを使った日本語入力ができない人も増えてきているとか......。
IT革命を目指した00年代あたりにオフィスワーカーの基本スキルだったタイピング。当時、その技術を向上させるためだけの「タイピング練習ソフト」が多数発売されました。今回は、その隆盛を振り返ります。
タイプライターにまでさかのぼることができるキーボードのタイピングですが、プログラミングのできるパソコンにおいては、キーボードからの入力を判定し、結果を表示してタイピングの反復練習が可能でした。パソコンの性能向上もあり次第にグラフィカルになり、ゲーム性が加わるなど進化していったのです。
|
|
そうして進化したタイピングソフトは、有料のパッケージ販売もされました。中でも重要だったのが1997年に現ソースネクストから発売された『特打』。
西部劇の世界で、タイピングによって銃で的を撃っていくうちに上達できるのです。ゲーミフィケーションに爽快感と没入感でヒットし、ここからタイピングソフトが爆発的に増えました。
画面に出てきた単語や文章を素早く入力するだけなので、基本のシステムさえ完成すれば、その背景や文字をアニメや漫画の既存の絵やセリフに変えるだけでどんどんソフトが作れます。そのため、当時の働く世代を主なターゲットに過去のコンテンツを再利用した多数のコラボ系タイピングソフトが誕生しました。
人気はパソコンにとどまらず、専用キーボードが必要なドリキャスなど家庭用ゲーム機にもタイピングソフトが登場。ゲーセンにもキーボードを使ったタイピングゲームが登場するなど広がりました。今なおブラウザで練習できるサイトもあるので、ぜひパソコンを起動してワープロ検定を受けましょう。
撮影/榊 智朗
|
|