※画像はイメージです 世の中にはさまざまな“迷惑行為”があります。その中には、電車の中で足を大きく広げて座ったり、夜遅くにピアノの練習をしたりするなどの意識的な行為とは別に、本人たちに自覚のない無意識的な行為があります。
今回取材に応じてくれた男性は、飲食店で他の客から被った“スメハラ”(スメルハラスメント)によって家族旅行が台無しになったそうです。その実情とは——。
◆念願の“ユニバ”へ家族旅行
関東の鉄道会社に勤める神保さん(仮名・46歳)。自他共に鉄道オタクとして認める神保さんは、ゴールデンウィークに家族で大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ1泊2日で行く計画を立てました。
「去年のゴールデンウィークはディズニーランドに行ったのですが、今年は、子供たちがユニバーサル・スタジオ・ジャパンを強く推したのと、私も関西の私鉄に興味があったので“初関西旅行”となりました」
大阪万博という案もあったそうですが、連日ニュースで放送される会場の混雑が気になったそうです。旅行を決めたのが4月中旬だったので、家族4人が泊まれるリーズナブルなホテルの空きがなく、大阪府下の民泊を予約することになった神保さん家族。
◆何もかもが新鮮な大阪
新幹線で新大阪に到着し、神保さん一家のゴールデンウィークが始まりました。
「新大阪から大阪駅に向かうために地下鉄御堂筋線へ乗り込むと、いきなり飛び交う関西弁に加え、ほどなくして到着した梅田駅から地上へ出るエスカレーターは都内と逆の右側に並んだりと、すべてが新鮮でした。
新横浜から乗車した新幹線は始発でしたので、みんな眠たい目をこすりながらユニバに到着したのですが、想像以上の活気と楽しさで眠気はすぐに吹っ飛びました」
ユニバを満喫したあとは、予約してあった大阪駅周辺のイタリア料理店でディナーを楽しむことにしていたそうで、腹ペコの4人は少し早めに大阪駅に戻ってきたといいます。
◆予想を裏切る豪華料理、しかし……
真新しいビルの最上階にあるイタリア料理店に到着した神保さん家族。ネット予約の際に見た写真よりもゴージャスな佇まいだったようです。
「とにかくゴールデンウィークの大阪はどこも予約が取れなくて、このお店もじっくり選ばずに決めたのですが大当たりでした!あとからレビューを見ると、なかなか予約が取れないお店で有名だったそうです」
コース料理が次々と運ばれてくる中、続々と客が入店してほぼ満席状態になった店内。そして、最後まで空席だった予約席に若い女性4人組が来店してきました。
ところが、その4人組が着席すると周囲がざわつき始めたといいます。
「ちょうど前菜を食べ終わったころに、隣のテーブルに4人組の女性たちが座りました。最初は特に気にも留めていませんでしたが、しばらくして鼻を突くような香水の匂いが隣から漂ってきたんです」
◆もはや食事どころではない匂い
神保さんの子供たちも「パパ、なんか変な匂いがする。ぼく、鼻がおかしくなるよ」と言う始末です。妻も「あの子たち気づいているのかしら? これはもう“スメハラ”よ、パパ」と呆れ果てた様子。
「20代前半の女性グループですかね。どこかのパーティー帰りかのようなゴージャスなコーデの4人組は、自分たちの“スメハラ”など全く気にすることなく談笑していました。目の前には豪華なコース料理が次から次へと運ばれてきたのですが、キツすぎる香水の匂いが食欲を削いでいきました」
テーブルに並べられた料理にはほとんど手をつけなくなった神保さん家族。子供が泣き出したのをきっかけに、退店を決めます。テーブルを立つ際、周囲を見渡すと、周りにいる客たちも迷惑そうな顔つきでその女性4人組に視線を落としていたそうです。
「あまりに不本意だったので、レジにいた支配人に経緯を話しました。すると、すぐに現場へ向かってくれ、キツい匂いを確認したのか、丁寧に謝罪してくれました。それだけではなく『大変ご迷惑をおかけいたしました。本日のお代は結構でございます』と言ってくれました」
ほとんど食事ができていなかった神保さんたちは、その後デパートの地下食料品売り場に寄って食材をたくさん買って帰り、民泊でディナーをやり直したそうです。
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営