弱点であり、必要な言葉? 呂布カルマが語る"ラッパーと口癖"

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2025年05月15日 17:40  週プレNEWS

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『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ


ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では『フリースタイルラップ』について語った。

*  *  *

★今週のひと言「フリースタイルラップで口癖が出てくる理由」

口癖は皆それぞれ多かれ少なかれ持っているだろうが、なかなか自覚するのは難しい。

誰か他人に指摘されたり、マネされたりすることで初めて自覚する場合が多く、「俺そんなん言ってるか〜?」なんて素直に認めづらいものだ。 

が、たぶん言っているのであろう。

今回はことさらフリースタイルラップにおいての口癖について。

これを書くに当たって自分に口癖があるかと考えたところ、これと言って浮かばない。前述のとおり、やはり自覚するのは難しいのだ。

しかし、ほかのラッパーの口癖ならばよくわかる。ラップの場合、口癖というか、常套句(じょうとうく)というか、それを自覚的にパンチライン(技)としている場合もあるので線引きは難しいのだが、指摘されて弱点となる場合は口癖と言って構わないだろう。

フリースタイルなので何も言葉が浮かばなかったり、次につなぐ韻を考えている間をつなぐための単語だったりが多いのだが、時間にするとせいぜい1秒程度。

フリースタイルをやらない人からしたら信じられないような早さだが、やはり何度も同じ語句や、言い回しが登場すると困っている感が拭えない。

具体的には「〜〜じゃなくて」で話の筋とは無関係だが韻だけは踏めている語句を並べたり、「わかりますか?」を挟んで、"韻の連想ゲーム"で遠くなりすぎたイメージを引き寄せたりは皆がよくやるやつだ。

つまりよくやるやつは、良くないのだ。

フリースタイルにおいてはいかにオリジナリティにあふれ、他人と被(かぶ)らない語彙(ごい)で瞬時にライミング(韻踏)するかが重要視されるからだ。 

なので、やはり口癖を指摘されると気まずい。

そして俺の話に戻すと、当然意識しているのもあるが、やはり口癖という口癖はない。マネもされないので本当にないか、まだバレてないのだろう。

俺のフリースタイルにおける個性は声質やスタンス、言葉選びの世界観によるものが大きいので、マネされるとしてもその雰囲気をマネされることが多い。

もともと韻を踏むことに固執しないので、韻のための帳尻合わせ的な語句や、とっさに浮かんでしまうお気に入りの韻などもない。

その代わりスタンスとして、対戦相手や観客より自分を2段ぐらい上に設定して、すべてを見下した目線からラップすることが多いので、言うことに困ると、ついつい「おまえらとは違う」とか「先に行く」的な方向の話をしてしまう。

これは自分でもラップがそっちに転がり始めると自覚できるので、マズいマズいとなるのだが、転がり出したラップを軌道修正するのは難しい。具体的に何が違うのか、先に行くその先には何があるのか、そこまで話をつなげる必要がある。

ここまではフリースタイルバトルに限った話で、日常的に鼻歌感覚でやるフリースタイルはまた別だ。

これといって誰に聴かせるわけでもないので、自分の口が気持ちいいように言葉を適当に転がす。

そうすると、やたらと頻出する単語や言い回しが出てくる。

自覚できるとそれは歌詞として楽曲に昇華してやる。

そうすると不思議なもので、その単語は出てこなくなる。

俺にとって必要な言葉のほうから口癖となってアピールしてくるのだ。

撮影/田中智久

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