
お値段から世の中の動きを読み解いていくコーナー「きょうのお値段」。今回は、車の購入補助「10万円」です。
【写真を見る】6700億円の赤字再建に2万人リストラ?日産の経営再建計画『RE:NISSAN』
「日産を応援していこう」苅田町から車購入で10万円出水麻衣キャスター:
車購入で補助金10万円。これは一体、何なのかというと…
日産の車種「日産エクストレイル」を購入した先着20人に、福岡県苅田町の商工会議所が「10万円の補助金を出す」ということです。(6月2日〜)
苅田町には日産の工場が2つあり、日ごろから恩恵を受けているということで、苅田町の商工会議所としては、先着20人×10万円(計200万円)と、そんなに大きな金額ではないと謙遜をしながら、「日産車購入の喚起と支援の起爆剤に期待する」といった理由から、大きな赤字を計上してしまった“日産を応援していこう”という立場をとっているのです。
出水キャスター:
改めて決算を見ていくと、日産は業績不振で、2024年4月〜2025年3月の決算では6708億円の最終的な赤字を計上しています。これは、国内の製造業の赤字額としては過去7番目の大きさだということです。
巨額赤字の背景は何なのか。自動車業界に詳しい、ナカニシ自動車産業リサーチの代表アナリスト・中西孝樹氏によると…
▼北米市場での苦戦
ハイブリッドが主流の中、競争力のある車がない
▼経営体質
コロナ禍の収益で身の丈を超えた投資など
こういった背景から、現在苦境に立たされているということです。
こうした中で、日産は経営再建計画『RE:NISSAN』を発表。
2024年11月に9000人の削減計画を発表していましたが、これを今後3年間で2万人削減して、社員全体の15%にします。ある種、リストラをするというような計画を発表しています。
そして、2027年度までに、日本を含めた国内外の(車の生産)工場を統合することを発表しており、17→10工場にするということです。
さらに、工場の稼働率として、2024年度は350万台の生産体制を整えていたのですが、今後100万台を削減して、2027年度には250万台へと下げるということです。
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TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
いわゆる企業城下町というのは、調子が良いときはどんどん税収も増えるし、雇用も増えていくのだけど、調子が悪くなってくると税収が急に落ちますし、シャッター通りができたりと、ものすごく変化が激しいんです。
住民はある一定のサービスを受けなくてはいけませんから、それなりに良い税収が必要になってくるので、そこの部分をどうするのか。本来は企業が調子良いときにお金を貯めておいて、その調整をするのですが、実際、あまりお金が貯まっていないんです。
だから、これからどうやって工面していくのか。おそらく都道府県や国なども支援していく必要が出てくると思いますね。
出水キャスター:
私が注目したのは「1万9084社」という数字(帝国データバンクより)。
これは「完成車のメーカー」だけではなく、エンジン部品や車体部品、鉄鋼業、金属製品、電気機械など、本当にたくさんの会社が集まって、1台の車が出来上がっています。
そういった日産と取引がある会社というのが、47都道府県全てで1万9084社に上るということなんです。
さらに、流通や販売、整備修理、給油所、といった全てを合わせますと、どれほどまで影響が広がっていくのか。多くの人が不安になっているかと思います。
今後、日産はどうなっていくのか。専門家の中西孝樹氏に話を聞きました。
ゴーン氏の時は、円安やアメリカが好景気だったことから、V字回復が実現できました。
けれども、今回は「なべ底回復」ということで、トランプ関税やアメリカの不景気、中国のEV車の台頭、為替の影響など、四重苦ということで少し影響が長くなりそうとのことです。
そのため「自動車産業は基幹産業なので、日本経済全体で支えていくべきだ」と話していました。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島出身
政治記者歴30年
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