二宮和也「子どもたちの映画館デビューに持ってこいの作品です」『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY』【インタビュー】

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2025年05月17日 08:10  エンタメOVO

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「ぱるてぃ」の声を演じた二宮和也(写真/コウ ユウシエン)

 テレ東系で毎週月〜金、朝7時30分から放送中の乳幼児向け番組「シナぷしゅ」の映画化第2弾。番組のメインキャラクター「ぷしゅぷしゅ」と相棒「にゅう」が、バカンスで訪れた「どんぐりアイランド」を舞台に繰り広げる冒険をオリジナルストーリーで描き、番組でおなじみの仲間たちや歌も続々と登場する『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY』が5月16日から全国公開される。本作で「ぱるてぃ」という新キャラクターの声を演じた二宮和也が記者の質問に答えた。




−今回、アフレコを引き受けた理由と、「ぱるてぃ」の声を通してどんなことを伝えたいと思いましたか。

 最初に聞いた時は驚きました。「何だ何だ」という感じでした。でも家族というものの中のエンタメの一つとして、自分がほとんど言葉をしゃべらないキャラクターを演じることで、どういった感動や喜び、ワクワク感を与えられるのだろうと、新たな挑戦だと思いました。断る理由がなかったというのが受けた理由の一つです。あとは、世の中の家族のためというと大げさですけど、その一助になり得るもので自分が参加しやすいのは、やっぱり映画やエンタメなのかなと感じたので、やってみたいというのもありました。この映画は普通の映画から見れば特殊なので、そういう現場も見させてもらいたいと感じましたし、すごく興味が湧きました。

−劇場作品の声の出演としては約20年ぶりになります。収録現場で感じた違いや、赤ちゃん向けだからこそ感じた発見があれば教えてください。

 手法としてはそれほど大きく変わっていないと思います。今回は、ほとんど映像が出来上がった状態でアフレコに入れたので、色味や音や動きなどを共有しながらできたのはすごくありがたかったです。特にキャラクターに関しては、立体的にいろいろと見えてきたので、すごく助かりました。

−「シナぷしゅ」の番組を見たことはありましたか。また今回出演して新たに感じた魅力は?

 番組は、結構拝見させていただいていて。やはり番組の中でCMが入らないという形が、お子さんや一緒に生活しているお父さん、お母さんにとってもすごく集中できる時間になるので、お互いに好きなことができるというか。そういう作りになっているし、それを許した企業さんたちの心の広さを感じて、とても感銘を受けました。また、「アンコール」(※エンディング終了後に過去に放送された歌を1曲流すフォーマット)という形もよくできていると思うし、やっぱりいかに約30分、子どもたちをテレビの前から動かさないかということが考え込まれている番組だと感じていました。あとは、キャラクターもどんどん増えていきますし、好きなキャラクターが出てくる時と出てこない時に子どもたちが感じる不条理感や、今月はこの曲で行くという形も含めて、好きなものだけで成り立っているんじゃないというのは、ある意味必要な教育の一つだと思っていました。今回自分が出ることになって改めて勉強してみると、普段僕がやらせてもらっているようなバラエティー番組とはまたちょっと違う形態で、それを応援してくださっている方々のご理解というものに気づき、すごく学びになりました。

−「ぱるてぃ」をどんなキャラクターだと感じて演じましたか。

 僕自身は以前からいる「シナぷしゅ」のキャラクターたちの中に入っていくのは、割とドキドキするものもありましたし、ちょっとした不安もありました。でもそれは「ぱるてぃ」と共通する部分があると思っていたので、割と新鮮に、ドキドキしながらもそのままやらせていただいた形です。あとは「ぱるぱる」というせりふの中で、どう感情を乗せていけるかというやりくりぐらいで、割と楽しくやらせていただきました。

−役作りをする上で気を付けたことはありましたか。

 気を付けたことで言うと、子どもたちがメインで見るので、物語の展開もそうですけど、スピード感みたいなものは割と気を付けていました。あとは、「こうやって言ったら分かるよね」というような、押し付けはしないように、気を付けて作っていきました。「ぱるてぃ」が出している速度感だったり、声の高さや言い方などは、監督や製作陣とも相談しましたが、それ以外は、1、2回「ここはこういう言い方をしてもいいですか」と聞いたぐらいで、ほとんど流れのままで。僕はすごくせっかちなので、しゃべり方は早口になりがちなんですけど、そこをなるべくわざとらしくないように抑えてやっていくのがルールでした。

−子どもの頃、映画館に行った時の思い出があれば。

 僕が小さい頃の映画館は、今とはまるで違っていました。映画館ってこんなに人がいるんだというぐらい、いつも満員で、席と席との間の階段に座って見ている人もいました。多分2本立てのアニメが僕が最初に見た映画だと思いますが、子どもはアニメが好きで見ていて、大人は涼しいから寝ているみたいな、映画館の立ち位置がそういう形だったので、それはそれでよかったです。結構騒いでいたし、走り回る子どもたちもいたし、そんな中で見るのが普通だと思っていました。でも今の映画館のシステムは、本当にお客さまファーストと言いますか、もちろん値段も高くはなっているんだけど、一番見やすい環境を作ってもらっているというイメージです。

−完成作を見てどう感じましたか。また観客、特に親御さんに向けて一言お願いします。

 例えば、もし自分が約40分の映画を作るとなった時に、スピード感を持って、いろんな情報や展開、シーンを40分の中に入れ込んでいかなければと思うんですけど、この映画は見事にその逆をいっているというか。ゆったりとしているのをすごく感じましたし、やっぱりこれぐらいのスピード感じゃないと、子どもたちが見ていて楽しかったと感じるのはまだ難しいかもしれないと思いました。それこそ0歳児から見てもらいたいと、製作の人たちはちゃんと分析して捉えているんだと感じました。

 親子で見ることを考えた場合、僕らも嵐のコンサートをやっている時に、親子席を多く設けていたので、親子の観客に対するアプローチの方法は、割と分かっていたつもりではあったんです。けれど、やっぱりそれは自分たちの環境下のルールなだけであって、映画というエンタメを考えた時に、こういった映画は他にないんじゃないかと思ったので、親子に対する向き合い方の価値観を改めて考えさせられました。令和の赤ちゃんたちは、ほんとにいい環境で育っていくんだろうな、昭和の赤ちゃんからすると、すごくうらやましい環境に今の赤ちゃんたちはいるんだろうなと感じました。

−この映画を通して、子育てに奮闘している人たちに向けてメッセージを。

 本当に、子どもたちの映画館デビューには持ってこいの作品・企画だと感じました。小さいお子さんたちと2時間ずっと一緒に映画を見たり、物語を追っていったり、不特定多数の人たちと一緒に見ることに対してのストレスや緊張がある中で、それを全部ストレスフリーにしている映画なので、映画館デビューにふさわしいと思います。多分、お子さんたちにとっても、成功体験の1つとして、映画が見られたことはとても大きなものになると思います。例えば、泣いたり、騒いだりしたとしても、それを大前提としている企画でもありますので、「行くところが見つからない」とか、「ずっと家にいても…」とか、そういう思いをお持ちであれば、ぜひ映画館に遊びに来ていただけたらと思っています。

(取材・文/田中雄二)


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