宝島社によるオリジナルのビューティーブランド「BRILMY」が、ブランド誕生1年でシリーズ累計25万部を突破するなど、多くのユーザーから支持を集めている。「コスメオタク編集者が本気で作ったビューティーブランド」を掲げる「BRILMY」は、「ズボラに優しいコスメポーチBOOK」シリーズをはじめ、昨年末には同社の疲労回復ウェアブランド「Recoverypro Lab.」とのコラボアイテムもヒットするなど、そのラインナップをますます充実させている。雑誌付録を得意とする宝島社ならではの新たな試みとなった「BRILMY」誕生の背景とヒットの裏側を、担当編集者の出口花夏氏に聞いた。
参考:宝島社オリジナルビューティブランド「BRILMY」より『ズボラに優しいマイベストポーチBOOK』
収納と仕切りの工夫こそがBRILMYの強み
――2025年2月にブランド1周年を記念して発売された『BRILMY FIRST ANIVERSARY 中身が見えて時短がかなう ズボラに優しいコスメポーチBOOK』は、予約段階でネット書店で1位を獲得し、SNSでも話題になりました。その後、HELLO KITTYとコラボしたり、今年4月には新作ポーチが発売されたりと、ブランドとしての足場を着実にかためていますね。
出口花夏(以下、出口):ありがとうございます。もともと私は、宝島社のブランドムック(付録付きムック)の編集を8年くらい担当していて、バッグやポーチの製作に携わってきました。あるとき、オリジナルのコスメブランドをつくってはどうかと言われたんですね。でも、無名のブランドでコスメ開発をゼロからやるのは、ハードルが高くて。コスメポーチなら、これまでの知見を活かせるんじゃないかと思ったんです。
|
|
――「ズボラに優しい」というコンセプトは、どのように生まれたんですか。
出口:私の場合、そんなに整理整頓が得意ではないので、ポーチのなかでアイテムが沈んで取り出しにくくなったり、持ち運んでいる途中でひっくりかえったりするのが、地味にストレスだったんです。
――ああ、わかります。自分で整頓できないからこそ、人によっては使い勝手のいい空間の広さがネックになったりしますよね。
出口:ざっくりモノを入れられるほうが、ポーチの使い道も自由に選べますし、幅広く手にとっていただくためには必要だったりもしたのですが、コスメポーチに限定すると、それでは困ることがたくさんある。だったら、最初からコスメポーチと銘打って、私のようなズボラな人間がいちばん使いやすいものを制作してみようと。まわりを見ていて、整理整頓が苦手な人って、案外多いなあという実感もありました。
――心と時間に余裕があるときならできるけど、あわただしいといつのまにかモノが散乱している、という人も、きっと少なくないですよね。
|
|
出口:時短、というのも意識していた点でした。あまり頭を使わずとも、自然と、目についた場所に入れるだけで整頓されている。そんな手軽さがあるといいな、と。
――BRILMYのコスメポーチは、まず、収納が細かく分けられているのがいいですよね。一部、メッシュになっているからどこに何があるかも、よくわかる。
出口:ありがとうございます。収納と仕切りの工夫こそが、BRILMYがみなさまに受け入れてもらえて、今も続けられている理由なんじゃないかと思います。どこに何があるか、パッと見ただけではわからないというのも、地味にストレスなんですよね。時間でいえばものの数分、もしかしたら数秒かもしれないけれど、その積み重ねで生まれた5分、10分を睡眠にあてたいじゃないですか。とくにメイクをする朝は、一日のなかでもっともあわただしい時間といってもいい。どのアイテムもとりだしやすく、簡潔に対応できるということに、とにかくこだわりました。
――ビューラーを入れるスペースがあるのはいいな、と思いました。あと、パウダーケースを平置きできるのも。
出口:私自身が、ビューラーを上手に入れられなくてポーチがぼこっとするのが、いやだったんです(笑)。パウダーケースは、第1弾のときは縦にしないと入らなかったのですが、それだとやっぱり中で粉がちらばって悲惨なことになるので、第二弾を出すときに改良しました。がばっと開けても自立するので、どこに何があるのか、底の方までよく見えるのもポイントです。
|
|
――そのわりに、コンパクトですよね。
出口:そこも、こだわったポイントです。コスメを大量にもっている方には、全然足りない大きさだと思うのですが、基本のアイテムは全部収めたかった。こだわりのメイクをするには、やや足りないかもしれないけれど、出社前や旅行先などで、このポーチさえもっていれば困ることはない、というだけのアイテムが入る大きさにしたかったんです。出先でのメイク直しにはちょっと大きいかもしれないですが、そういうときのために発売したのが今回の『BRILMY 180度開いて中身がわかる! ズボラに優しいマイベストポーチ BOOK』。ややサイズが小さめですが、がばっと開いて中身が見えるところも、収納やしきりの多さも変わらずこだわっているので、持ち運び用にはおすすめです。そんなふうに、今後は、いろいろサイズ展開も検討したいと思っています。
――どちらも、持ち手があるのも、こだわりですか?
出口:そうですね。忙しいとポーチのジッパーを閉めるのも忘れてしまう時がありますが、そんな時に持ち手があると中身を落とさずに移動できるのが良いなあ、と。とりあえず持ち手をつかめる安心感もポイントです。
――コンセプトどおり、とことん、ズボラに優しい。
出口:実際に私もこのポーチを使い始めたことによって、机にメイク道具が散乱している、という状況がなくなったんです。それだけでストレスが減ってQOLがあがることを実感したからこそ、みなさんが心地よく毎日を過ごすお手伝いができるグッズを制作していけたらと思っています。
――BRILMYというブランド名も、覚えやすくていいですよね。どんなふうに考えたんですか。
出口:ヒットメイカーと呼ばれる編集長が「濁点の入っている名前は人の頭に残りやすい」「長すぎると覚えにくいからコンパクトに」と言っていたことを参考にしました。それで、フランス語の「briller=輝く」と英語の「MY=私」をくみあわせて、BRILMYに。語感や言いやすさなど、いろんな要素をかけあわせた造語ですね。
――巾着やスマホバッグなど、さまざまに商品展開されています。次に何をつくるのか、どんなふうに決めているんですか。
出口:週に一度企画会議があるので、常に新作は考えています。やっぱり生活していて不便だったり、「こういうのがあったらいいのに」となにげなく感じたところから生まれるものは、みなさんにも求めていただけるという感覚があります。たとえば「ZUBORA KINCHAKU POUCH」は一般的なポーチだと形状がしっかりしていて鞄の中におさまりくいので、巾着のような薄手で、ある程度形が変わってくれるものの方が荷物を縮小できます。ただ巾着はその分、収納に特化したアイテムがほとんど世にないなと感じて、自分自身が欲しい!と思ったことから生まれました。スマホバッグは、お手洗いに行った際などに「なんでリップクリームを持ってこなかったんだろう」と思うことが多くて。バッグを持ち歩くほどではないけれど、最低限のものはすぐ手にとれるようにしておきたい、という体感から企画したものですね。
――リップクリームが行方不明、みたいなことも減りそうですね。
出口:前提としてBRILMYはビューティ(「ビューティー」⇒「ビューティ」とする)ブランドなので、日常でちゃんとコスメを持ち歩きたい、という方の希望にこたえるようにしています。そのうえで、どこに入れたかわからないとか、底に沈んでしまって取り出せない、などのストレスをできるだけなくしていきたいです。
――出版社でブランドムックとして販売するからこその強みはありますか?
出口:いちばんは、どれだけこだわり抜いてつくったか、仕切りやポケットの一つ一つにどんな意図があるのかを、みなさんに冊子で読んでいただけることでしょうか。購入してくださった全員に、ここまで細かく商品の特徴を説明した資料をおつけすることは、ブランドムックならではだな、と感じます。
――私が初めてBRILMYを知ったのはSNSの口コミでした。SNSで話題になったことで、手にとる人の数もかなり増えたのでは。
出口:おっしゃる通り、SNSなくしてBRILMYがシリーズ化することはなかったのでは、と感じています。経験上、売れた商品は制作段階から手ごたえを感じますし、心の底からいいものだと信じ切れる商品は、バズるんです。どれだけのこだわりをもって、細部まで手を抜かずにつくることが大事かを、日々実感しています。かゆいところに手の届く商品を、これからも模索していきたいです。
――かゆいところに手が届く、需要をキャッチするために心がけていることはありますか。
出口:BRILMYの公式アカウントで、アンケート機能を使用して皆さんにお聞きしたりしています。たとえば、コスメポーチは何色を買うことが多いですか、どういう機能がないとストレスに感じますかなど、実際に必要としている方の声を集めるようにしています。それだけでなく、新商品が発売されると、どこがよかったかも、細かく教えてくださる。こだわりを理解していただけるのは嬉しいですし、何より、自分たちがちゃんと必要とされるものをつくっていたのだと、自信にもつながっています。これからも、ファンのみなさまとの距離が近いブランドでありたいなと思っています。今後はみなさまの声から、企画が生まれることも、きっとあると思います。
――今後、つくってみたい商品はありますか?
出口:いつかはオリジナルコスメも制作したいと思っています。シンプルだけど、大人が手に取りやすいかわいらしさがあることも、私たちは常に念頭に置いていて、手元に置いておくだけでテンションがあがるようなアイテムを、これからも開発していきたいです。
(立花もも)
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 realsound.jp 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。