
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
平成レトロを象徴するアイテムであるガラケー。中でも記憶に残るのが2003年に発売されたINFOBARです。不規則なカラーリングが特徴のNISHIKIGOIを見れば、懐かしくなる人も多いのではないでしょうか。
00年前後のケータイ事情は、iモードのドコモ、カメラ付き携帯電話で先行したJ−PHONE。それに対するauは「au design project」を打ち出しました。
それまでの携帯電話が、樹脂にメタリック系の塗装をした「シャンパン○○」といったネーミングの本体色が中心で、あまりデザインを重視しなかったときに、徹底的にデザインにこだわったのが「au design project」でした。
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その第1弾となるINFOBARは、幾何学的でフラットなデザインを採用。小さいボタンが主流の時代に思い切った大きいボタンを採用しました。
この時代にはiモードなどが始まり、メールの文字数はアップし、より大きな画面を搭載できた「パカパカ携帯」こと、二つ折りケータイが主流になりました。
そんな中でINFOBARは、デザイン優先のため、時代に逆行する「画面小さめのストレート型端末」でしたが、この部分もまた「他人とは違う携帯電話を持っている」という特別感を演出していました。
初代のINFOBARは4タイプが発売。グッドデザイン賞に選ばれ、後にMoMA(ニューヨーク近代美術館)にも収蔵されます。さらに07年には後継モデルで、曲面を使った丸いINFOBAR2が発売。その後、スマートフォン版も登場し、息の長いシリーズとなりました。
そして時を経た2017年。「au design project」15周年を記念して初代INFOBAR端末がトランスフォーマーのオプティマスプライム(かつてのコンボイ)に変形するコラボ商品を、クラファンを経て限定発売。今なお人気は衰えず続いています。
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撮影/榊 智朗