アメリカに住んでいた頃のジューンさん2020年にセクシー女優としてデビューし、一気に注目を浴びたジューン・ラブジョイさん(30歳)。現在もセクシー女優の傍ら、音楽活動や映画のプロデュースなど、多方面で活躍しています。
異国の地でデビューしたラブジョイさんが経験したデビュー当時の話や、日米それぞれの業界事情を知るからこそ感じる違和感について語ってもらいました。
◆「80歳まで外国人と話したことがない」日本の田舎で知ったこと
――ジューンさんが来日したのはどのくらい前ですか?
ジューン・ラブジョイ(以下、ジューン):もう10年以上前ですね。
――アメリカと日本だと、どんなところが違うと感じました?
ジューン:アメリカの好きなところですが、どの国の人でもアメリカに来ればアメリカ人として暮らせる部分があるから、周りにいろいろな国の人がいつもいる状況が当たり前なんです。
でも日本だと、ちょっと田舎のほうに行ったときに、80歳以上のお婆ちゃんが「外国人と初めて話した」って言っていて、そこに驚きました。アメリカとはやっぱり違うんだなって、すごく不思議な感覚になりましたね。
◆日本の業界には、カッコイイ人たちが多い
――セクシー女優デビューは、いつですか?
ジューン:2020年、25歳のときですね。日本の大学に通って、日本で就職して働いて、3年後にデビューしました。
――デビューするときには事務所に所属しますが、外国人が日本でセクシー女優としてデビューすることに不安などはありませんでしたか?
ジューン:面接に行った事務所が、部屋もキレイで、ピシッとした姿の人が面接で細かく、いろいろなことを説明してくれて。デビューのリスクも教えてくれたから、安心してOKって思いました。
何て言うか、普通に対応してくれたんですよ。ほかの事務所だと、LINEで応募して日本語でやり取りしてるのに「日本語わかるの?」って聞かれたりしました(笑)。そうじゃなかったところも、所属を決めた理由です。
――撮影現場はどうでした?問題などはありませんでした?
ジューン:基本的に撮影現場は、すごく楽しいですね。
この業界ですごくカッコイイと思うのは、良い大学を出た人や、一流のエンタメ業界でお仕事していたような人たちが、ちゃんとした能力やノウハウを持ってお仕事をしているところ。でもみんな、そのうえで何か変なところもあるのが面白いんです。
◆アメリカと日本の業界の違いにビックリ
――アメリカと日本では、業界にどんな違いがありますか?
ジューン:いろいろあるけど、アメリカだと性病検査の項目が日本より少ないのが怖いところかな。アメリカだと6項目くらいで、ヘルペスが検査項目に入っていないんです。
だから私が「ヘルペス検査もしてほしい」って言ったら「え?みんなヘルペスはかかってるから、意味ないよ」って言われました(笑)。
――それはビックリですね。
ジューン:あと、ギャラが違いますね。日本だと、プレイが全部セットで〇〇円、みたいな感じだけど、アメリカだとプレイごとにお金がもらえる。「〇〇はいくら」「△△はいくら」って、プレイが増えればどんどん追加されていく仕組みなんです。
◆アメリカは日本より引退後の選択肢が少ない
――日本とアメリカだと、セクシー女優という仕事の受け入れ方は違うと感じますか?
ジューン:今はどちらもオープンに受け入れてくれるけど、受け入れ方は違いますね。どちらかと言えば日本のほうが、辞めたあとのルートがちゃんとある気がする。
日本ではテレビにも出られるけど、アメリカじゃ無理。アメリカだと「モラルの問題」で、大学院で勉強した元セクシー女優が卒業させてもらえず、ドクターになれなかった、なんて話もあったし。
――そういうところ、アメリカは寛容なのかと思ったら、そうでもないんですね。
ジューン:世間が、と言うか、その大学が「モラル的にダメ」って。でも日本でもそういうところはあるし、日本とアメリカ、どっちがいいってことじゃない。受け入れ方は違うし、どちらもすべて受け入れてくれるわけじゃないってこと。
◆2022年の春からフリーとして活動
――ジューンさんは、現在はフリーで活動していますが、いつ頃フリーに?
ジューン:2022年の春くらいだったと思います。オーストラリアの友達に「やっとフリーになった!名前キープしたまま!」って電話しました。
――ああ、事務所を辞めるとき、名前を変えなきゃいけないこともセクシー女優さんだと珍しくないですよね。
ジューン:あれも不思議な話。「なんで自分の名前なのに使えないの?」って思う。
◆筋トレを頑張ったら「あんまり良くない」と言われた
――フリーになってから仕事の調子はどうですか?
ジューン:フリーになって、なかなか撮影できないってメーカーが増えて。
それで海外向けにファンサイトを頑張ったら、そっちのほうが自由に動けて良いかもって思えてきました。日本人の男性が求めている「ジューン」と、私が心地よく活動できる「ジューン」が、ちょっと違うなってわかったんです。
日本だと「金髪ロングでブルーアイズで、英会話教師」みたいなキャラばっかり望まれています。
私は今、筋トレ頑張ってるんだけど、メーカーさんも「ジューンちゃん、それ、あんまり良くないよ」って。ファンの好みじゃないからってことです。
――なるほど、日本だとファンの好みの範囲が狭いと言うか、求めている像が固定化している、ということですね。
ジューン:そういう役ばっかりだったから、仕方ないかもしれないけど。でもそれは演じているんであって、リアルのジューンはそうじゃないよ。髪を切っても、ムキムキになっても、ジューンはジューンだよってこと。海外だと、どのジューンでも「ジューンが好き」なファンが多いから、そこが好き。
全員に好かれるのは無理だけど、どんなジューンでも好きって日本のファンも増えたらうれしいです。
◆海外の方向けの“大人向けツアー”をビジネス化するのが夢
――セクシー女優以外の活動はいかがでしょう。
ジューン:今、海外の方への“大人向けツアー”のガイドがメインの仕事になっていますね。
日本のSMバーとか、イベントなどの情報をサイトに載せて、そこに行きたい海外の方から連絡が来たら、案内する。新宿の歌舞伎町とか多いですね。
そういうお店にはなかなか入れないって海外の方も多いし、お店も私が一緒なら安心ってところが多いから、みんなで楽しくシェアできる。いつかしっかりしたビジネスとして立ち上げるのが、今の夢です。
――それは需要がありそうですね。
ジューン:あとは、音楽も頑張ってます。初アルバムを4月13日にリリースしました。それから『エッチな英会話』の本を作って、イベントで販売したりしていますね。すごく好評で、第2弾を作っているところです。これはいつか出版社を見つけて、ちゃんとした本として出したいです。
それから、映画のプロデュース。いろいろあってちょっとストップしていたんですが、ようやく前向きに進み始めました。クラウドファンディングで支援してくれた方、お待たせしちゃってすみません!
◆「いくつになってもチャレンジしていい」日本人に伝えたい
――いろいろとチャレンジしていますね。ときどき「セクシー女優は、行為を撮影されているだけだから楽」なんて意見もありますが、大間違いですね。
ジューン:私は直接言われたことないけど、そういう意見はあるみたいですね。でも「何言ってるの?それはあなたが勝手に決めてることでしょ?」って思います。
自分のキャラを守ってお仕事を続けている女優さんを見ると、すごいなって思います。自分で自分のブランディングができないと、セクシー女優は続けられないですから。そういうところを知っていれば、楽だなんて絶対に言えないです。
日本人、そうやって決めちゃうことが多い気がします。「30歳になったからコスプレできない」「35歳になったからゲームできない」みたいに。そんなの関係ないよ、いくつになっても、どんなチャレンジしてもいいんだよって。
だから私はやりたいことは、これからもどんどんチャレンジしていきますよ!
<取材・文/蒼樹リュウスケ 写真/山川修一>
【蒼樹リュウスケ】
単純に「本が好きだから」との理由で出版社に入社。雑誌制作をメインに仕事を続け、なんとなくフリーライターとして独立。「なんか面白ければ、それで良し」をモットーに、興味を持ったことを取材して記事にしながら人生を楽しむタイプのおじさんライター