2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPが開催されたイモラ・サーキット 2026年のF1カレンダーが発表されるのを数日後に控えたいま、エミリア・ロマーニャGPの主催者たちはすでに自分たちの運命を知っている。来年のスケジュールに彼らのレースは含まれない予定なのだ。だからといって彼らと地元当局、そしてイタリア政府は、できるだけ早くイベントを再開するための戦いを止めることはない。
先週末のグランプリレースは過去最高の観客を動員し、3日間の開催期間中に24万2000人以上の人々がアウトドローモ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ・サーキットを埋め尽くした。また、特に朝のサーキットへの交通管理は、これまでの年に比べて大幅に改善された。サーキットから早めに出るのはまだ問題があったが、それは主催者のせいではなく、地元警察の計画不足によるものだった。
F1のレース開催地の選択肢は豊富で、将来的にひとつの国で年間ふたつ以上のグランプリを開催できそうなのはアメリカだけだが、国土の広さを考えれば、それは正当化される。
それでもイモラは、少なくともバルセロナ(スペイン)、スパ・フランコルシャン(ベルギー)、そしてフランスかドイツのいずれかのレースによる、ヨーロッパの“レース・ローテーション・システム”に参加したいと考えている。とはいえ、今後ふたつのグランプリを開催できる可能性が低いイタリア側にとって、財政的な現実は恐ろしいものだ。
まず、F1ではあらゆるイベントに要求される価格が上昇している。たとえヨーロッパのレースの開催権料がアラブ諸国や、アゼルバイジャン、メキシコ、中国、オーストラリアなどのレースより低いとしても、要求される最低額は、(モナコは別として)4000万ユーロ/約64億9000万円を超えており、これはイモラが支払うにあたってすでに大きな課題となる金額だ。
それからもちろん運営コストが掛かるが、イタリアの情報筋によると、今年は900万ユーロ(約14億6000万円)を超えており、将来のグランプリ開催の場合には1000万ユーロ(約16億2200万円)にまで上がると予想されている。今年の収益は記録破りでチケット販売で1800万ユーロ(約29億2000万円)の純利益を上げたが、これはイモラが将来のグランプリに費やす必要のある金額の40%にも満たない。
公的な支援については、このイベントはイタリア公共事業・運輸省から500万ユーロ(約8億1100万円)を受け取っているほか、イタリア企業の海外展開と国際化を促進する機関ICEから同額の助成があり、さらにエミリア・ロマーニャ州からも500万ユーロの補助を受けている。これにイモラの自治体が支払う200万ユーロ(約3億2450万円)を加え、合計2200万ユーロ(約35億6900万円)が財源となる。
チケットの販売収入を加えると、プロモーターは合計4000万ユーロ(約64億9800万円)を得る。これはF1に支払うにはちょうど十分な額だが、運営コストを支払うには1000万ユーロ(約16億2300万円)が不足することになる。
数字的に不利な状況のなか、イタリア政府はイモラへの支援を継続することを誓約しており、マッテオ・サルビーニ副首相兼インフラ・運輸大臣は先週日曜日、「政府は、モンツァGPとイモラGPが世界クラスのスポーツイベントとしてだけでなく、ロンバルディアとエミリア・ロマーニャにとっての基本的な経済推進力と国際的なショーケースとして、並外れた重要性を持っていることを認識している」と述べた。
もちろん、これはとても素晴らしい言葉だが、イモラが新たな契約を獲得する可能性を高めるための補助金の増額については何も言及されていない。つまり、F1が近い将来にあの輝かしいトラックに戻る可能性は非常に低いということだ。
[オートスポーツweb 2025年05月22日]