画像提供:マイナビニュース鉄道友の会は22日、福岡市交通局の4000系をローレル賞(優秀車両)に選定したと発表した。ローレル賞はブルーリボン賞・ローレル賞選考委員会が選んだ候補車両に対する会員の選考結果を参考に、審議を経て優秀と認めた車両を選定しており、今年で第65回となる。
福岡市交通局の4000系は、地下鉄空港線・箱崎線で活躍する1000N系の置換え用として投入。設計コンセプト「一人ひとりにやさしい移動空間」を実現すべく、「質の高いサービス」「静かさ」「安全・安心の確保」「省エネ・省メンテナンス」を設計ポイントとしている。
車体はアルミダブルスキン構体とし、外観は切妻の前面に丸みを帯びた塗り分けから車体側面上部のラインに続くブルーに加え、側面窓周りに福岡空港の「空」をイメージしたスカイブルーを配置。車内は明るい白色を基調に、貫通扉、袖仕切り、荷棚にガラスを使用し、「すっきりとした開放感のある車内」としている。座席幅を1人あたり480mmまで拡大し、手すりと吊り手の増加、目線近くまで下げた荷棚など、快適で使いやすい車内空間とした。
各号車に優先スペース(車いす・ベビーカー用)を設け、各号車端部に優先席を配置。一部の黄色い優先席は座面を高くし、立ち座りしやすい座席としている。6号車前位に設けたフリースペースは、海側の眺望を楽しめるように大窓とし、両端に腰掛(1人掛け)を設けた。山側は空港利用等の乗客に向けて、荷物置場を備えた腰掛(2人掛け)2組を設けている。これらのエリアにおいて、床面や壁にピクトグラムを表示し、利用者にわかりやすい案内を行う。
台車は空気ばね支持のダイレクトマウント式ボルスタ付台車。これまでの防音車輪に加え、新たに片軸操舵機構を採用し、静かな車内空間を実現している。機器類は最新技術を積極的に採用。とくに主電動機は永久磁石不要な同期リラクタンスモータを世界初採用し、従来車と比べて40%の省エネ化を図った。
車両統合管理装置は、各車両の制御や3画面式の運転台表示のほか、地上システムへの情報伝送機能により、乗務員支援とダウンタイムの短縮、メンテナンスの効率化に活用している。各ドア上に2画面一体の案内表示機能を備えた3画面の表示器を搭載。車内の安全性向上のため、表示器の一部に搭載した車内カメラで映像を常時記録する。映像は非常通報操作などと連動しており、運転台への自動表示、運輸指令での確認が可能となった。
シンプルな機能美の中に、新たなデザイン、技術をバランスよく搭載し、乗客の快適性に最大限配慮した次世代の地下鉄車両として高く評価。ローレル賞に選定したとのこと。
なお、福岡市交通局では、1982年に1000系、2006年に七隈線の3000系がローレル賞を受賞しており、今回で3度目の受賞となる。4000系はこれまでに3編成が地下鉄空港線・箱崎線で運用を開始し、2027年度までに計18編成の導入を予定している。(MN 鉄道ニュース編集部)