TCRオーストラリア・シリーズに向け、ディフェンディングチャンピオンを含む有力候補らが相次いで参戦プログラムを確定させた 今季2025年のFIA TCRワールドツアーに計2戦が組み込まれるTCRオーストラリア・シリーズに向け、ディフェンディングチャンピオンを含む有力候補らが相次いで参戦プログラムを確定させている。
異例の開幕キャンセルが続く2025年シーズンに向けては、王者ジョシュ・バカン(ヒョンデ・エラントラN TCR/HMOカスタマー・レーシング)や、昨季は惜敗のランキング2位に終わったザック・スーター(アウディRS3 LMS 2/タフリフト・レーシング)らが新体制をアナウンスした。
本来なら4月11〜13日にニュージーランドで開幕する予定だった2025年のTCRオーストラリアは、来月6月6〜8日に開催予定だったパースでのラウンドを合わせた2ラウンドのキャンセルを発表。開幕戦の相次ぐ中止とカレンダー改訂により、年間の全日程が4戦に削減される異例の事態となっている。
これにより、実質のオープニングは6月27〜29日に予定されるニューサウスウェールズ州のワン・レースウェイが務めることになり、8月のウィントンを経て、9月に世界戦併催の『ザ・ベンド500』、そして11月の最終戦マカオ(同FIA TCRワールドツアー併催)という変則スケジュールとなった。
「2025年TCRオーストラリア・シリーズの当初カレンダーには、ニュージーランドとパースでの開催が含まれていた。これは、より多くの観客の前で、より注目度の高いイベントでレースをしたいというチームの要望に応えて選ばれたものだった」と説明したのは、シリーズディレクターを務めるデビッド・ソネンシャー。
「両イベントの開催に向けチームと協議を重ねた結果、シリーズはオーストラリア東海岸のワン・レースウェイのようなサーキットで開始する必要があることが明らかになった。これにより、より多くの参加者にとってロジスティクス要件と現実的な参戦費用での運用が実現可能となるだろう。繰り返しになるが、TCRオーストラリアの参加者には、マカオへの海上輸送費が負担される」
こうした状況のなか、家族経営のチームでシリーズを追うスーターは、かつてのTCR王者ウィル・ブラウン(現RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ王者)がドライブし、ワールドツアーでも2勝を挙げた第2世代アウディで、引き続きタイトルを狙うと宣言した。
「2025年もタフリフト・レーシング・アウディでTCRオーストラリアに戻ってくることを本当に楽しみにしている。これまでシリーズで素晴らしい経験を積んできたし、レースもマシンも大好きなんだ」と意気込みを語ったスーター。
「昨年は素晴らしいシーズンを送り、長い間シリーズをリードしていたにもかかわらず、残念ながら目標には届かなかった。2025年はさらに上を目指し、全力を尽くしてその目標達成を目指すよ」
わずか4戦に短縮されたカレンダーながら、ワールドツアー併催となる後半2戦はシリーズにとっても自身にとっても、大きなハイライトになると読む。
「2023年に併催された2戦でも、TCRワールドツアーやWTCC世界ツーリングカー選手権など、長年TVで観戦していたドライバーたちと対戦できたのは最高の経験だった。ザ・ベンドでの週末は素晴らしいものになるだろうし、マカオはずっと出場したいと思ってバケットリストに載っていたサーキットのひとつだった」と続けたスーター。
「TCRオーストラリアがその機会を与えてくれたことは本当にうれしいし、オーストラリアで開催されるカテゴリーで、ヨーロッパのプロファクトリードライバーたちと戦えるレースはそう多くないからね」
同じく、そのスーターを18点差で撃破して2024年のタイトルを獲得したバカンは、新たな僚友に17歳のライアン・マクミランを迎え、引き続きHMOカスタマー・レーシングでの王座防衛を目指す。
「ふたたびマシンにカーナンバー1を掲げられることは大変光栄だ。とくにザ・ベンドではTCRワールドツアーが参戦することもあり、なおさらだ」と、改めて今季は3連覇を狙うバカン。
「カレンダーはタイトだが、このカテゴリーにとってエキサイティングな1年になると思う。最初のi30 Nセダン(グローバル名:エラントラ)を初めてシェイクダウンしたときのことを覚えているし、まだあまり走っていない新しいレースカーを運転するのは、かなり非現実的だった。最初の縁石にぶつかると下回りに傷がつくもので、新車を手に入れて『ガンガン走れ』と言われるのは、かなり奇妙な感覚だったよ」
すでに開幕戦が開催されるワン・レースウェイでプレシーズンテストを完了したチームは、エースのバカンが新たに上陸した個体のエラントラ、新加入のマクミランがハッチバックのi30 N TCRをドライブする。
「目標は当然、タイトル防衛と3連覇だ」と語ったバカン。「チャンピオンシップ期間は短くなるが、楽しみなことがたくさんあると思っている。テストデイでふたたびマシンを運転した後、新しいカラーリングが施された素晴らしいニューマシンで走り始めるのが楽しみだよ」
そして昨年、オーストラリア・フォーミュラ・オープンでタイトルを獲得した若手のマクミランも、シングルシーターからの転向で「最終的な目標はタイトル争いに加わり、上位を走ること」だと高い目標を掲げる。
「HMOカスタマー・レーシングのサポートに加え、ジョシュ(・バカン)の指導があれば、それは間違いなく可能だ。最初の2ラウンドは穏やかになると思うけど、世界戦が訪れる後半の2ラウンドはエキサイティングになるだろう。そしてマカオに行けるのは本当に素晴らしいことだね!」
[オートスポーツweb 2025年05月22日]