神戸市在住で大学教員を務める在日韓国人3世の40代女性が22日、不当に宿泊を拒否されたとして東京都新宿区のホテル運営会社を相手取り、220万円の損害賠償を求める訴えを神戸地裁に起こした。ホテル従業員が女性に、旅券または在留カードを提示するか、日本名(通名)を書くよう要求。女性は旅券などを携帯しておらず、日本名の記載も断ったところ、宿泊拒否されたという。女性は「外国籍を理由にした人種差別に当たる」としている。
訴状などによると、2024年9月、女性はウェブサイトに本名、住所を記入して宿泊を予約。宿泊当日、ホテルを訪れ、本名を伝えると、従業員から旅券などの提示を求められた。
旅館業法施行規則では、日本国内に住所を持たない外国人が宿泊する場合、ホテル側が氏名や国籍、旅券番号を確認することを規定している。一方、日本に住所のある外国人は確認の対象とはしていない。
女性は日本で生まれ育った在日韓国人で、旅券などの携帯義務がない特別永住者であると説明。保険証や勤務先の名刺を示して日本に住所があることを伝えた。
従業員はその後も旅券などの提示を求める一方、「日本名を書くなら泊まることができる」と提案した。本名で暮らす女性は尊厳を傷つける行為だとして断ると、宿泊を拒まれたという。
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女性は、ホテル側が日本で暮らす外国人に旅券などの提示を求めたことは不合理な差別であり、日本名の記載を求めた行為は人格権の侵害に当たるとしている。
女性を支援する人権団体「多民族共生人権教育センター」によると、各地のホテルなどで在日外国人が旅券などの提示を求められたとの苦情は多く寄せられているという。女性は「私と同じ嫌な思いを他の人にさせたくないため訴訟で問うことにした」と訴えている。
運営会社は「宿泊客の住所が国内にあるかどうかを確認するために旅券などの提示を求めただけだ。差別には当たらない」としている。【鵜塚健】
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