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NTTドコモは6月5日から新料金プラン「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」「ドコモ ポイ活 20」「ドコモ mini」を提供する。いずれも従来プランとは内容が異なり、中にはドコモがどのような利用方法を想定しているのかが見えてくる料金プランもある。
一方、新料金プランの発表会やその後の決算会見では、それぞれのプランが誰向けなのかといった分かりやすい説明はなかった。新料金プランの種類が多いだけに、もっと分かりやすく整理し、利用者に伝える必要があったのではないか。
では、ドコモがどのように伝えていれば、ユーザーはすぐに理解できたのだろうか。発表から約1カ月以上がたっているが、提供開始が迫るこのタイミングに、新料金プランの内容をおさらいし、「筆者なりの訴求方法」を考えたい。
なお、記事内の料金表記は全て税込みとする。
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●ドコモ新料金プランの中身をおさらい
まずは新料金プランの内容をおさらいしたい。
ドコモ MAXは、ドコモの最上位に位置する無制限プラン。動画配信サービスの「DAZN for docomo」やAmazonプライムとの連携、国際ローミング30GB無料など、エンタメと海外利用を意識した構成になっている。割引適用前の月額料金は段階制で、1GBまでが5698円、3GBまでが6798円、無制限まで使うと8448円。全ての割引を適用し、長期利用割が適用されれば、無制限利用が月5148円になる。
このドコモ MAXをベースに、“ポイ活”の特典を付加したのがドコモ ポイ活 MAXだ。対象のキャッシュレス決済やdカード積立の利用で、最大5000ポイント(期間・用途限定)が還元される。そのため、実質的な利用料金はポイント分を差し引けば2948円となる。ただし、割引適用前の月額料金が1万1748円と高額である点は見落とせない。
その下に位置するのがドコモ ポイ活 20。月20GBまで/20GB超〜無制限の2段階に分かれる料金プランで、中容量〜無制限をカバーする。割引適用前の月額料金は20GBまでが7898円、20GB超〜無制限が9570円。
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こちらもお得を実感するにはポイ活によるポイント還元が前提となっており、各種割引を適用すると月額4818円/6490円、さらにポイントを充当すれば実質2068円/3740円で利用できる。
最後は最も低容量のドコモ miniだ。4GBか10GBの2択で、割引を全て適用すると、4GBで月額880円、10GBでも1980円と、MVNOの水準を意識した価格帯に近づく。従来のirumoに代わるドコモ miniだが、データ容量の選択肢はirumoの4択から2択へと減っている。
なお、ドコモはこれらの料金プランを提供開始した後も、月額2970円で30GB使えるというシンプルな「ahamo」を継続して提供する。
●新料金プランは「松竹梅」で整理し、伝えた方がよかった?
ドコモが4月24日に開催した記者会見では、これらの料金プランが一挙に発表された。当初、報道関係者向けの案内は「NTTドコモ×DAZN パートナーシップ契約締結発表会」という名目で、新料金プランの発表とは検討がつかなった。しかし、「ドコモの新料金に関する記者発表会」という名目で発表前夜(夕方17時頃)に案内され、そこで初めて案内翌日に料金プランの発表があると分かった。
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ドコモは、会見でDAZNとの包括提携と同日に、新料金プラン4種を紹介したが、内容が多すぎて整理されていなかった印象が残った。さらに、どのプランがどんなユーザー向けなのか、用途やライフスタイルに応じた詳しい説明があれば、より明確に伝わったはずだ。
では、どのように発表すればよかったのか。今回の場合はプレゼンテーションを3つのパートに分けてもよかっただろう。
まずDAZN連携のドコモ MAXとドコモ ポイ活 MAXから紹介し、データ容量を多く消費する人や、ポイントをためて無制限プランをお得に利用したい人に発表。中盤でドコモ ポイ活 20をahamoと比較。後半ではデータ容量を消費せず通話が多い人に向けてドコモ miniを発表する形にすれば、より伝わりやすかっただろう。
加えて、新料金プランを「松竹梅」に当てはめて考えると、よりすっきり見えてくる。
まず「松」に当たるのは、最上位のドコモ MAXとドコモ ポイ活 MAX。動画視聴や国際ローミングなど、通信以外の付加価値を重視する人、そしてキャッシュレス決済を日常的に使ってdポイントを稼ぎたいポイ活ユーザーに向いている。
「竹」は、ドコモ ポイ活 20とahamo。データ容量は20〜30GBと中容量で、価格も抑えられており、普段から動画やSNSをよく使う人にちょうどよい。中でもポイ活 20は、決済の工夫次第で大きく実質負担を減らせるのが特徴だ。なお、ahamoには、80GBを加えて合計110GBのデータ容量を利用できる「大盛り」オプションもあるので、こちらを「松」に加えてもいいだろう。
そして最後の「梅」は、ドコモ miniが当てはまる。日々の利用が軽めな人やシニア層、スマホをサブ的に使う人向けのシンプルなプランだ。データ容量の選択肢は限られるものの、割引を活用すればMVNO水準並の価格に近づく。
●複雑に見える一因は? ドコモは今後、どのように発表するといい?
このように、ドコモの新料金プランが複雑に見える一因は、それぞれのプランのポジションやターゲットが詳しくかつ明確に説明されていない点にある。だが、松竹梅の3段階に整理してみれば、それぞれの違いとメリットはより理解しやすくなるのではないだろうか。
通信キャリアの料金プランは、近年、金融など通信料金や端末にとどまらず、多様なバリューをセットにし、 ARPU(顧客1人あたりの平均的な収益)向上を狙うのが業界のスタンダードな手法になってきている。
ドコモが今後、より多様なライフスタイルに合わせた通信サービスを展開していく上で、ドコモや他社のユーザーが携帯電話以外にどのようなサービスを使っているのか、ニーズがどこにあるのかを把握し説明した上で、どのような料金プランが「どのような人に合っているか」を訴求していくことが重要だろう。
今回のように複数の料金プランを発表する場合は、より伝え方の工夫が求められるはずだ。
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