
気象庁は今日10日(火)、エルニーニョ監視速報を発表しました。エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常な状態となっています。今後、秋にかけて平常な状態が続く可能性が高くなっています(60%)。
5月の実況
エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態とみられます。
5月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は-0.2℃で、4月より0.3℃下降したものの、基準値に近い値でした。また、エルニーニョ・ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の3月の値は+0.1℃で、基準値に近い値でした。
太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部から東部にかけて平年より低くなりました。太平洋赤道域の海洋表層の水温は西部で平年より高い一方、東部では平年より低くなりました。太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は太平洋赤道域の西部から中部で平年より強く、東部でも強くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年程度でした。このような大気と海洋の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっていることを示しています。
今後の見通し
今後、秋にかけて平常の状態が続く可能性が高くなっています(60%)。 実況では、5月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値に近い値でした。また、太平洋赤道域の中部には海洋表層の暖水の東進がみられますが、大気下層の東風(貿易風)の強い状態が続くため、この暖水による影響は弱まると予測されています。大気海洋結合モデルは、今後、エルニーニョ監視海域の海面水温は、目先、基準値に近い値が続くものの、秋にかけて、基準値に近いか基準値より低い値で推移すると予測しています。以上のことから、秋にかけて平常の状態が続く可能性が高くなっています(60%)。
エルニーニョ現象・ラニーニャ現象とは
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象のことです。逆に、同じ海域で海面水温が、平年より低い状態が続く現象がラニーニャ現象です。エルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生すると、日本を含め世界中で異常な天候が起こると考えられています。
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