祝賀のバーンナウトで“ガス欠”牽引。燃費勝負で競り勝ったハムリンが今季3勝目/NASCAR第15戦

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2025年06月10日 17:50  AUTOSPORT web

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デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が今季3勝目、キャリア通算57勝目を挙げることに
 ミシガン・インターナショナル・スピードウェイで争われた2025年NASCARカップシリーズ第15戦『FireKeepers Casino 400(ファイアキーパーズ・カジノ400)』は、超高速2マイル・オーバルでの燃料節約合戦が繰り広げられるなか、デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が今季3勝目、キャリア通算57勝目を挙げることに。

 今季好調カーソン・ホセヴァー(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)は終盤のパンクに散り、レースハイの98周をリードしたウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)も最終ラップで燃料補給のためにピットインを余儀なくされるなか、44歳のハムリンが燃費とプレッシャーの巧みなマネジメント術を披露。祝勝バーンナウトの“アンコール”ではガス欠となり、栄光のヴィクトリーレーンまで牽引されるひと幕も演じてみせた。

 レギュラーシーズンも終盤に向け緊迫感の増してきたカップシリーズだが、ここへ来て開幕前から燻り続けてきた23XI(トゥエンティ・スリー・イレブン)レーシングとフロント・ロウ・モータースポーツ(FRM)のチャーター権を巡る訴訟問題が新たな局面に。

 ノースカロライナ州の連邦第4巡回控訴裁判所は、レースウイークを前にした木曜にチャーター団体としての運営権を認める仮差し止め命令を棄却する判決を下し、今後の裁判手続きを通じて両陣営はチャーター資格が剥奪される可能性が濃厚に。

 昨季限りで解散したスチュワート・ハース・レーシング(SHR)からそれぞれ1台ずつチャーター権を取得し、それぞれ3台のフルタイム車両を走らせてきた両陣営は、14日以内に再審理を申し立てることが可能なものの、今後は獲得賞金を含め不透明な立ち位置に追いやられるオープンエントリーでのチーム運営を余儀なくされることとなった。

 そんななか迎えたミシガンでの走り出しは、フリープラクティスからやはり高速トラックを得意とするトヨタ・カムリXSEが優位性を発揮し、ここで首位タイムを記録したチェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が、そのまま予選でもポールポジションを獲得。これで移籍組のブリスコは3週連続のポールウイナーとなった。

「予選ではボトム側を走ろうとしたんだ」と明かしたブリスコ。「ここは全員がかなり楽に全開で走れるから、少しでも距離を縮められたらもっと良くなると思った。ロウラインで走ったけれど、脱出でかなり高い位置まで上がってしまった。だから進入で全開にしていた選手たちが、僕より先にゴールするんじゃないかと思った。正直言って、それが持ち堪えたことに驚いた。全開で走るというのは、思ったほど簡単ではなかったね」

 迎えた決勝レースは、序盤から4台が絡むビッグアクシデントが発生し、ここでアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)の48号車は、スピンモードに陥っていたコール・カスター(ハース・ファクトリー・チーム/フォード・マスタング)の41号車に接触しウォールに激突。ボウマンはメディカルセンターで検査を受け、コース復旧のため約12分間の赤旗中断となる。

 再開後は​​11名のドライバー間で13回のリードチェンジがあり、クリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)がステージ1を、バイロンがステージ2を制覇していくなか、予選では2列目3番手ながら、終盤のリスタートでトップ10圏外まで下がっていたハムリンが、残り20周で5番手まで順位を回復。日曜午後は終始トップ10に居続けたホセヴァーの77号車と、バイロンの24号車に詰め寄っていく。

 前戦でもキャリアハイの2位タイを記録し、悲願のカップ初優勝を目指していた地元ミシガン出身のホセヴァーと、選手権首位を守るバイロンにはともにクルーチーフから「チェッカー前に燃料切れになる」との無線が飛ぶなか、決勝の32周をリードしていた前者はここでガソリンではなくタイヤの問題に直面。残り19周でまさかのパンクを喫し、ピットインを余儀なくされることに。

 同じく燃料節約モードだったバイロンは、背後のハムリンから猛烈なプレッシャーを掛けられると、最終ホワイトフラッグを前にピットロードに燃料補給へ飛び込まざるを得ない状況に追い込まれた。

「結局のところ、後方のドライバーたちほど良いマイレージではなかったかもしれない。コーションとはそういうものだし、前方集団に居続ければ燃料を大量に消費する性質上、これは仕方がないんだ」と肩を落としたバイロン。

「このミスは、どうすることもできない。本当に最悪だ。本当に痛いよ……クルマが本当に速かっただけにね。最後のピットストップで給油を少し待ったせいで、余計に燃料を消費してしまったようだ。どうすることもできなかった」

 残り4周でバイロンをパスし、トラック上で決着をつけていたハムリンは、そのままトップチェッカーを受け2位ブッシャーとJGRの僚友タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)に1.099秒差でフィニッシュ。自身通算701戦目のレースを勝利で飾る結果となった。

「申し訳ないが、皆さんのお気に入りのドライバー(バイロン)にまた勝ってしまったね」とスタンドのファンに満面の笑みで語ったハムリン。

「終盤の燃料切れについてはそれほど心配していなかった。トップに立ちたかったし、彼(バイロン)は明らかに素晴らしいディフェンスをしていたからね。チーム全体がステップアップしたし、今年はずっと速かったのに、何らかの理由で手に出来ないことが続いた。ここ数年は優勝に迫っていたミシガンで勝ててうれしいね」

 併催されたNASCARクラフツマン・トラックシリーズ第13戦『DQS Solutions & Staffing 250(DQSソリューションズ・アンド・スタッフィング250)』は、ステランティス傘下のラム(ダッヂ)がシリーズ復帰を発表し、現地にて新型『Ram 1500 concept(ラム1500コンセプト)』を披露して話題を集めるなか、最終的に24周の延長戦を経た長丁場をスチュワート・フリーゼン(ハルマー・フリーゼン・レーシング/トヨタ・タンドラTRDプロ)が制し、自身72戦未勝利の記録に終止符を打っている。

https://www.youtube.com/watch?v=3Lt5FWGdVNE

[オートスポーツweb 2025年06月10日]

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