関税交渉、サミット合意へ正念場=日本「先頭」脱落、自動車なお溝―赤沢氏、13日訪米し最終調整

0

2025年06月12日 08:02  時事通信社

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

時事通信社

 トランプ米政権の関税措置見直しに向けた日米の交渉が正念場を迎えている。日米両政府が首脳間の合意のめどとするカナダでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)が15〜17日に迫る中、赤沢亮正経済再生担当相は13日、ベセント財務長官らとの6回目の閣僚交渉のため訪米。日米首脳会談での合意をにらんだ最終的な調整に臨む。

 赤沢氏は計5回の交渉で、液化天然ガス(LNG)の輸入拡大や、米国産車を輸出しやすくする仕組みの検討など米国の貿易赤字削減に貢献する交渉カードを示し反応を探ってきた。しかし、自動車追加関税を含む一連の関税措置の撤廃を求める日本に対し、米側は慎重な姿勢を崩しておらず、合意への道筋は「五里霧中」(赤沢氏)だ。

 4月の初回交渉ではトランプ氏が急きょ、赤沢氏と面会し日本との協議が「最優先」と直接伝えた。日本側も各国に先んじて合意を目指したが、米英が5月に合意を発表。100%を超える関税措置の報復合戦となっていた米中も今週ロンドンで行った協議で、これまでの合意を履行するための「枠組み」設置で一致。既に「先頭集団」からは脱落したとの見方が広がっている。

 米国と日本以外の国との協議は、日本の交渉にも影響を及ぼす。米英合意では一定量の英国産車の対米輸出に低関税枠を設ける。米メディアは10日、米国がメキシコとも鉄鋼で一定量の無税枠を設けることで合意に近づいていると報じた。日本は低関税枠に否定的だが、前例が積み重なれば外堀を埋められかねない。

 日本は米中対立を念頭に、中国が輸出規制するレアアース(希土類)調達などでの協力も提案してきたが、米中の緊張が緩和すれば、交渉材料としての効果が減る可能性もある。赤沢氏は11日の記者会見で、米中協議について「引き続き高い関心を持って注視し、影響を十分に精査しつつ適切に対応していきたい」と説明。中国への対応に米側の労力が割かれることで「日程調整に苦労する」とも語った。

 赤沢氏は、6回目の交渉でも日米の貿易拡大に資する提案などを積み上げて合意を探る方針だが、政府内には「全ての措置を撤廃するのは難しい」との見方も出ている。閣僚間で折り合っても「トランプ大統領の判断次第ではひっくり返る」(経済官庁幹部)可能性も否定できず、交渉の行方は最後まで予断を許さない。 

    前日のランキングへ

    ニュース設定