「Pokemon GO(ポケモンGO)」の大型イベント「Pokemon GO Fest 2025」が、2025年5月29日から6月1日まで開催された。
2025年の国内での開催地に選ばれたのが、大阪府吹田市の万博記念公園だ。イベントでは幻のポケモン「ボルケニオン」がポケモンGOで初登場し、「ザシアン」と「ザマゼンタ」の新フォルム「ザシアン(けんのおう)」と「ザマゼンタ(たてのおう)」も実装され、イベントを盛り上げた。
今回のPokemon GO Fest 2025:大阪は、どのような狙いで開催したのか。Niantic ライブイベント APAC マーケティングマネージャーの三宅那月氏にお話をうかがった。
●2024年は参加できない人が多く、広い面積の公園を探した
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まずは万博記念公園を選んだ理由だ。この公園は、2023年のPokemon GO Fest会場にもなっており、2年前に訪れたという人も多いだろう。なぜ、再び万博記念公園を選んだのか。
Pokemon GO Festの会場については、「毎年、いくつかの自治体さんからお声がけいただいたり、こちらからお声がけしたりする中で、複数の公園や自治体での開催を検討しています」と三宅氏は言う。2024年は宮城県仙台市の七北田公園で開催したので、2025年は「もう少し南に行けたら」と考えていたそうだ。
一方、「毎年、チケットが早くに完売してしまい、より多くの人にイベント体験をお届けしたいのに、ご体験いただけない方が増えている」(三宅氏)という課題もあった。そこで、「ある程度面積のある広い公園が必要」だと判断し、万博記念公園に白羽の矢が立てられた。
「大阪市内でいくつか公園を見ましたが、通信環境、公園の面積、交通の便など、イベント実施に必要なパラメーターを総合的に比較したときに、この公園がベストだと今年は判断しました」(三宅氏)
万博記念公園が2023年の開催地だった実績はあまり関係なく、フラットに検討した結果だったという。また、2025年は大阪・関西万博が開催されているが、これも会場の選定には関係ないとのこと。
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万博記念公園の面積は約260ヘクタールで、2024年会場の七北田公園(約22ヘクタール)よりも約12倍広い。参加者の上限は、会場のキャパシティーに合わせて設定しているので、2025年は参加人数の上限を増やしたこと推測される。参加人数は非公表だが、「毎年、より多くの人に来ていただけるように、イベントの環境整備をしている」とのこと。実際、5月30日に参加した筆者の肌感でも、2024年よりもはるかに参加者が多いと感じた。
●通信対策も強化 移動基地局車は2023年よりも増加
通信キャリアと連携し、モバイルの通信環境も強化している。「基地局は、予想される来園者数に応じて、(通信キャリアが)できる対策をしていただいています。移動基地局車も同様です」と三宅氏。移動基地局車については、同じく万博記念公園で開催した2023年から稼働台数を増やしている。
2024年の七北田公園では、限られた面積の中でどれだけいい通信環境を提供できるかを考え、移動基地局車で干渉が発生しないようにするところがチャレンジだったという。2025年の万博記念公園は面積自体が広いので干渉は課題がないが、その分、端から端までいい環境を届けられるよう注力したそうだ。
国内でのGo Festの開催時期は、2024年と同じく、5月下旬〜6月上旬になった。その理由は2つある。1つが、「2年前は8月の真夏でしたが、体によくないという理由で、Go Festの開催時期を全世界で5月末〜6月にシフトしました」と三宅氏。2つ目が梅雨の回避だ。「日本では梅雨が来るので、過去20年分の気象情報を集め、確実に梅雨にさしかからない時期に設定しました」(三宅氏)
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●2025年はグローバルでほぼ共通のテーマを採用
Pokemon GO Festでは、毎年、特定のテーマに沿った生息地が会場に設定されている。2025年は、「憩いの茶屋」「カーニバル広場」「ノーブルフィールド」「海底の秘宝」という4つの生息地を設定しているが、これらの生息地は、「ポケットモンスター ソード・シールド(通称、剣盾)」で登場するガラル地方のエンジンシティから着想を得ているという。
いずれの生息地も中世ヨーロッパを連想させる演出をしており、イベント限定の「ピカチュウ」や「タイレーツ」がまとうコスチュームも、その時代を意識したものだと感じた。
カーニバル広場はサーカスを、ノーブルフィールドは騎士団を、海底の秘宝は大航海時代をイメージした装飾を施している。憩いの茶屋は、結婚式場のようにアフタヌーンティーを楽しめるような装飾としている。
各生息地は日本をイメージする案もあったそうだが、Pokemon GO Festは海外でも開催されることから(2025年はパリとニュージャージー州)、海外と共通のブランディングで統一している。ただし憩いの茶屋のみ、日本のみで設定した生息地だそうだ。
2024年は、東北地方の復興をテーマにした生息地を設けていたが、2025年は大阪に関連したものではなく、各国で足並みをそろえる形となった。会場のテーマをグローバルで統一するか、地域に根ざしたものにするかは会場によって異なるそうだ。
今回の目玉はボルケニオンと、ザシアン・ザマゼンタの新フォルムだが、他にも、限定コスチュームのピカチュウが、生息地によって帽子やちょうネクタイの色が異なるので、「ぜひ全色ゲットしてほしい」(三宅氏)。大阪でのイベントは終了しているが、6月28日〜29日に開催されるグローバルのイベントでも、3色の限定ピカチュウは登場する予定だ。
ザシアンとザマゼンタについては、開催地である大阪との親和性というよりは、ポケモンGOのプランニングの一環で決定したという。
「ポケモンGOでの年間のプランニングや各シーズンのテーマを決めるときに、イベントとシーズンでつながりを持たせるように努めています。その過程で、今回はザシアンとザマゼンタに決定しました」(三宅氏)
●地元でイベントを盛り上げる工夫も
Pokemon GO Festでは、開催地に大きな経済効果をもたらすことから、今回は大阪市や吹田市でイベントを盛り上げる工夫も行っている。例えば吹田市の商店街ではお買い物キャンペーンを実施しており、協賛している店舗で買い物をすると、限定ステッカーをプレゼントしている。この他、大阪の町歩きに合った「公式ルート」も提供している。
さらに、吹田市の江坂公園周辺に、実物大のポケモンが描かれた“ポケジェニック”な撮影スポットも用意している。これらのスポットでは「特定のポーズを取ると、一緒に写真を撮っているかのような絵になる」(三宅氏)ので、GOスナップショットを使って撮影をすると楽しそうだ。
特定のポケストップでスタンプを集められる「GOスタンプラリー」が、吹田市でも楽しめる。Pokemon GO Festに参加した後も、こうした地域限定の仕掛けや機能を体験することで、ポケモンGOをさらに楽しめるのは間違いない。今後も、地域に根ざしたイベント開催を期待したい。
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