「飼ってあげてください」保護した子猫を置き手紙とともに遺棄 ボランティア「遺棄は犯罪だが…怒りはない」

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2025年06月13日 15:40  まいどなニュース

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保護された子猫(須藤さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)

「いつもなら、無責任な捨て猫に怒り狂う私ですが 
今回は、この子を飼いたくて
でもどうしようもなく、とても苦しんだのがすごく伝わる」

【写真】子猫に添えられていた置き手紙

兵庫県南あわじ市内の小学校で子猫が遺棄されていたことが分かりました。

学校側から保護依頼の連絡を受けた「神戸ガーディアン淡路支部」の須藤尚美さんがInstagramで報告。須藤さんによると、学校職員が出勤したところ、体育館の入り口に手紙と猫用品が入った発泡スチロールの箱を見つけたとか。その2、3メートル向こうに、子猫がいたといいます。

「教頭先生と名乗る方から、電話が入りました。小学校の近くのとあるボランティアさんに相談したそうですが、引き取りを断られ、インターネットで検索して電話番号を載せていた私のところにかかってきたんです。こちらの学校の体育館は2階にあって、その階段の元に箱があったとのこと。とにかく子猫を迎えに学校へ向かいました」

小学校の体育館入り口で子猫を発見…手紙と猫用品が入った箱も

発泡スチロールの箱には、フードやベッド、薬、シャンプー、おもちゃ、そして置き手紙が…。「保護していましたが 猫アレルギーのため 飼うことができません とても賢い猫です どうかお願いします 飼ってあげてください」と書かれていました。

つまり、子猫を見つけほっとけなくて保護してみたものの、やはり猫アレルギーで飼うことができないため、やむを得なく手放したという内容。そんな文言に、須藤さんはこう思ったそうです。

「今まで約1000匹の猫を保護してきました。淡路島は野良猫が多いので、自然に生まれている子がほとんどですが、今回のような明らかな捨て猫は年間に、2、3件くらい。その都度、かなりの怒りを持って保護するのですが…今回は初めて、捨てた方への怒りはなくて。どんなに辛かったか、どんな気持ちでここまで連れてきて置いて行ったのか…遺棄した人のジレンマを感じ取り、逆に切なくなりました」

飼えない人が動物を保護、陥りがちな行動「殺処分か捨てるかの2択」

とはいえ、遺棄は遺棄。今後防ぐためにも学校側に対して、校内の数カ所の防犯カメラを徹底的に確認してもらうことや、また警察にも届け、付近の車のドライブレコーダーの確認をお願いしたとのこと。ただ遺棄をした人のことが気に掛かり、SNSの投稿を見たら連絡をしてくれることを願っているとか…。

「ただ今回に関しては、捨てた方が出てきても訴えるつもりはないです。Instagramでのコメントでは『保護団体に相談すれば良かったのに』などと書かれていましたが、そんな保護団体がいることも知らない方がほとんど。保健所は、愛護センターという名前になっているので助けてくれると思って連絡して殺処分もあり得ることを言われ、路頭に迷う方も多いです。

この方に伝わるのであれば、まずは福子ちゃん(子猫)を、保護してくれてありがとうと伝えたいです。その方がいなければ、福子ちゃんは今、生きていたかも分かりません。SNSでは、里親様が決定したら投稿は終わりですが…里親様には1年間毎月、動画でその後を報告していただいているので、ご連絡いただくことができれば、1年間あなたのつないだ命はこんなに幸せに暮らしていますよと、送ってあげたいですね」

保護された福子ちゃんは、生後1カ月半から2カ月ほど。今は島外の里親さん候補のおうちで1週間過ごすなどトライアルに行っているそう。今回福子ちゃんのように猫アレルギーなどで飼えない人が保護してしまったケースについて、須藤さんは次のように訴えます。

「動物の遺棄は犯罪です。1年以下の懲役又は100万円以下の罰金。それを知らない方も多いので、良かれと思ってしたことが犯罪者になることもあります。SNSをしない、飼えない人が保護した場合、八方塞がりになり、殺処分か捨てるかの2択しかない状況になるのも、分からないでもありませんが。そこが、こうした問題の起こる、原因だと思いますし、今回の事案をきっかけに多くの方に知ってもらえたら幸いです」

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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