
今回は、そもそも終活とは何か、「終活をしない」選択をする理由やメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
終活とは?
「終活」とは、「人生の終わりのための活動」の略で、人生の最期に向けて自分自身と家族のために準備をすることを指します。具体的には、財産や持ち物の整理、医療や介護を受ける際の希望を明確にすること、葬儀やお墓の準備、遺言書やエンディングノートの作成など、多岐にわたる活動が含まれます。これらを早めに準備しておくことで、自分の思いを伝えやすくなるだけでなく、残された家族も安心して対応できるといわれています。
終活をしないのはなぜ?
なぜ「終活をしない」という選択をする人がいるのでしょうか? その理由には、次のような考え方があります。
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「なるようになる」という気持ちで、あえて細かく準備せず、毎日を自然体で生きたいと考える人もいます。最期のことより、今を大切にしたいという価値観です。
●家族や友人との信頼関係
「家族がきっと自分のことを理解して、うまくやってくれる」といった、信頼関係に基づいた安心感から、特別な準備をしない選択をする人もいます。
●終活自体がストレスになる
死後のことを考えるのがつらい、終活の作業が負担という理由で、あえて何もしないことの方が、落ち着くと感じる人も少なくありません。
終活をしないとどうなる? メリット・デメリット
「終活をしない」選択にはメリットもありますが、一方で注意すべきデメリットもあります。以下で両面を見ていきましょう。●終活をしないメリット1:今を大切に生きられる
過去や未来にとらわれず、「今を充実させたい」人にとっては、終活をしないことで心の余裕が生まれる場合があります。
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終活で計画を決めすぎると、かえって自分や家族の自由な判断がしにくくなることも。何も決めていない方が、柔軟に対応できるという考えもあります。
●終活をしないメリット3:自然なコミュニケーションが生まれる
形式に頼らず、日々の会話の中で思いや考えを伝えることで、家族とのつながりを深められることもあります。
●終活をしないデメリット1:家族への負担が増える
終活をしていないと、残された家族が財産や持ち物の整理、手続きなどに追われてしまうことがあります。
●終活をしないデメリット2:自分の希望が伝わりにくい
医療の判断や葬儀の形式など、意思がはっきり分からず、家族が判断に迷う可能性があります。
●終活をしないデメリット3:トラブルが起きる可能性も
遺産の分け方や葬儀内容で家族・親族間の意見が食い違い、もめごとにつながるケースも少なくありません。
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「終活する・しない」は自由。でも最低限の準備は大切
終活をするかしないかに、正解はありません。人それぞれの考え方や暮らし方に合わせて、自由に選ぶことができるものです。
ただし、もしものときに残された家族や大切な人が困らないように、最低限の情報や意思は伝えておくことが望ましいといえるでしょう。
これは「残す側の責任」というよりも、思いやりの1つと考えられます。
エンディングノートに思いをまとめたり、メモ書きや日常の会話を通じて自然に伝えておいたりするなど、無理のない方法から始めるのが負担にならない進め方です。
「終活をしない」という選択をするにしても、全てを放棄するのではなく、「あえて準備しないことに意味がある部分はどこか」を考えておくこと。
それが、実は自分らしい人生の終え方につながる、大切な終活の1つになるのかもしれません。
舟本 美子プロフィール
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))