写真はイメージです都市の象徴とも言えるタワーマンションか、それとも静かで重厚感のある低層住宅か──。中年世代がいざ「理想の住まい」を選ぼうとしたとき、この選択はしばしば迷いを招くもの。眺望やステイタスを重視するならタワマン、逆に快適性や堅牢さを求めるなら低層住宅。一体どちらが勝ち組中年にふさわしい選択なのだろうか?それぞれの選択肢がもたらすメリットと現実に迫りつつ、この住まいの最適解を掘り下げていく。
◆タワマンの人気は陰りを見せ始めている!?
長らく住まいのステイタスとして君臨してきたタワマン。
「その土地のランドマーク的な存在であることが多く、リセールバリューが期待できる。高く売れるなら問題はない」と考える人は今も多い。
しかし、令和になり新築タワマンの供給は大幅に減少。その人気は、名実ともに陰りを見せ始めている。
◆1億円以上の物件は非現実的
「大崎のタワマンでは抽選の最高倍率が139倍にもなったと話題ですが、これは転売目的の業者が個人名で複数申し込んでいるから。そもそも1億円以上の物件は、もはやパワーカップルとて非現実的。3組に一組が離婚するのに、ペアローンなんてもってのほかです」
警鐘を鳴らすのは、住宅ジャーナリストの榊淳司氏だ。
「エレベーターが止まってしまうなど、災害に弱いことは知られていますが、救急隊の部屋への到着時間にも大幅ロスが生まれることがわかっています。また、タワマンはとにかくランニングコストが高い。大規模修繕費は普通のマンションの倍以上。建築費高騰と同様、資材と人手不足から今後は管理費、修繕費が上がることも考慮しなければなりません。
さらにタワマンは重量を軽くするために壁や床をできるだけ薄くしている。同価格帯の低層マンションと比較するとプライバシーに問題のある軽量構造という点は、あまり知られていない“不都合な真実”だと思います」
◆マンション選びの“トレンドの変遷”
ここまでを踏まえ、榊氏はマンション選びの“トレンドの変遷”についてこう語る。
「タワマンはもはや、投資する対象ではあっても住むものではないと世間の人も気づき始めています。富裕層向けの物件に顕著ですが、高層タワマンよりも低層で重厚、瀟洒な物件に人気が移っているのを感じます。この価値観は今後、広がっていくのでは」
富裕層のタワマン離れは顕著で、築古でも低層の堅牢なビンテージマンションを選ぶのも昨今のトレンド。投資対象としての未来は安普請のタワマンより、低層の良物件にあると言えそうだ。
◆住宅の新常識
タワマンは安普請! 投資対象としても未来は低層にアリ。
【住宅ジャーナリスト 榊 淳司氏】
1980年代からマンションの広告制作や販売戦略立案を手がける。『東京23区中古マンション格差の地図帳』(宝島社)など著書多数
取材・文/週刊SPA!編集部
―[[意外と知らない]勝ち中年の新常識]―