「Nintendo Switch 2」の発売直後から、フリマアプリ「メルカリ」に高額な転売出品が相次ぎ、SNSでは批判の声が高まっている。希望小売価格を大きく上回る価格設定や、転売目的と思われる大量出品がその一因だ。そこで、こうした行為が“ルール違反”にあたるのかどうか、広報に聞いたメルカリの規約や実際の対応をもとに整理する。
そもそも、悪質な出品や転売については、メルカリに限った話ではない。メルカリ、楽天ラクマ、Yahoo!フリマのフリマアプリ3社と任天堂は5月下旬、転売防止に向けた取り組みを発表した。
それでも、当たり前のように販売価格を上回る価格での出品が行われているのが現状だ。「Nintendo Switch 2」(日本語・国内専用)の場合、希望小売価格は4万9980円(税込み、以下同)だが、メルカリなどではそれを超える値付けが見られた。
特に問題なのは、タイトルや写真で本体と見せかけて、実は本体ではない悪質な出品事例があることだ。既に削除された出品ページもあるが、実際に見つけた悪質な出品事例を紹介したい。
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●送られてくるのはSwitch本体ではない? メルカリで確認できた悪質な出品事例
送られてくるのは「ステキなSwitch 2の写真」
「ステキな商品を発送いたします」――。この文言、Xで特に話題になったSwitch 2に関する出品説明だ。出品ページはすでに削除されたようだが、概要欄には「新品未開封」とあり、「身内で5つ当選した」ことを理由に手放すとの記述もあった。しかし、よく見ると本体を送るのではなく、「ステキなSwitch 2の写真が発送される」とも読める。
出品の概要は明記されているが、見づらい場所に「真意」と思われる記述があり、悪意を持った出品といわれても仕方ない。
一見、安いと思ったら……実は作文だった
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1万9194円のSwitch 2があるはずない。メルカリを閲覧していると、やけに安いSwitch 2の出品もある。こちらはまだ出品ページが残ったままで、削除はされていないようだ。出品タイトルは「Nintendo switch2 買えなかった人の作文」とあり、Switch 2本体ではなく文章のようだ。
こちらは概要欄に何の記載もない。確かに、タイトルと画像を見れば内容は分かるが、Switch 2本体目当てにこれを買うユーザーはいないだろう。
箱だけ送る手口も
特に問題なのは、本体ではなく「箱だけ」の出品があったこと。購入しても、本体や付属品が発送されず、箱だけが届くということだ。中には、わざわざ説明文を長くし、文章の間に「箱だけ」と記載し、読んでいる人が確認しづらくする手口もあった。
価格が他の出品物と同じくらいであれば、購入する側は本体が送られてくると思ってしまう。
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●ユーザーは悪質な出品をどのように見抜けばいい?
では、メルカリのユーザーが、このような悪質な出品を見抜くにはどうすればいいのか? 手っ取り早いのはメルカリを一切使わないこと。悪質な出品が見られるプラットフォームを使わなければ、悪質な出品というワナに引っ掛けることはない。
それでも、メルカリを使いたい場合は、出品画像と説明文の内容が合致しているかどうかを確認するといい。例えば、意図的に商品説明を長くしたり、改行せずに単語を並べるような方法をとったりするケースは、明らかに読みづらく意図的に「本当の出品内容」を探られないようにしている可能性が高い。
●メルカリ側での対策はある? 誤解を招く出品の削除も
ユーザー側でできることとしては限界があり、サービス運営元の対策も必要になる。メルカリとして具体的に対策をしている内容は何か、メルカリ広報に聞いた。メルカリと任天堂では協力体制のもと、次のような対策を講じた。
任天堂
・メルカリに対する、特定の新商品発売情報や商品情報、商品画像などの提供
・Webサイトなどでの注意喚起の実施
メルカリ
・任天堂からの情報提供に基づいた、「メルカリ」アプリ上や公式ブログでの特定の新商品に関する注意喚起
・任天堂と協議の上、合意した特定の商品について、「メルカリ」の利用規約に違反する出品への削除対応の強化および実施
実際、メルカリで「Switch 2」と検索すると、転売と思われる出品が一覧で表示され、検索結果の上部には「検索の商品は、価格が急騰している可能性があります。ご購入においては冷静なご判断をお願いいたします」と注意喚起が表示される。ただし、販売者に対して販売価格の上限を設けるといった対応は行われていない。
ただし、そもそもメルカリでSwitch 2を探し、購入を検討している人は「価格の高騰など百も承知」だろう。注意喚起の文言にどれほどの効果があるのかは分からないが、ユーザーが効果を実感できるほどの取り組みといえるのかもまた不透明だ。
メルカリ広報は、「その上で、現在、以下の対策を実施しています」と続ける。
・「メルカリ」アプリ上や公式ブログでの注意喚起
・悪質な詐欺行為など、ガイドラインに抵触する可能性のある出品(本体・中身が付属するように誤認させる出品)の削除
・権利者の許諾なくWebサイトなどから商品画像を転載する出品(著作権侵害)の削除
・悪質なアカウントの利用制限
・高額商品の販売などにおける本人確認の必須化
・「Nintendo Switch 2」本体の出品における「オークション機能」の利用停止 など
●悪質な利用者を排除していきます――メルカリ広報が明言 万が一購入したとしても全額補償になるケースも
メルカリ広報は、「本体・中身が付属するように誤認させる出品行為についてはガイドライン上の迷惑行為として定めています」とした。こうした行為に対しては、「警告や利用制限を行い、悪質な利用者を排除していきます」と明言した。
さらに、「該当する商品については削除などの対応をしていますが、万が一お客さまが購入してしまった場合においては、取引状況を確認の上、全額補償を実施しております」とした上で、「被害にあわれた場合は、メルカリ事務局までご連絡ください」と呼びかけた。
このように、任天堂とメルカリが対策を講じても、悪質な出品が確認できたことから、対策の難しさが浮き彫りになっていることがうかがえる。ユーザーが効果を実感できるほどの取り組みが重視されそうだ。
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