
今年で3回目の桃組興行。
今このコラムを書いているのは、開催真っ只中。この桃組興行というのは、江戸落語の史上初、定席(じょうせき)で女性芸人のみで構成された興行のことです。浅草演芸ホールにて、発起人である私、蝶花楼桃花が主任を務め、桃の節句から「桃組」と名付けました。初年度は初の試みであるからこそ、いろいろな調整ごとや反対意見もありました。なんとか開催にこぎつけてからは、10日間の興行は右肩上がりにお客さまが増えていき、千穐楽(せんしゅうらく)は2階席の後方まで立ち見が出た光景は今でも忘れません。男性のお客さま中心だった客席が、最終日に女性が半数ほどに増えていたことも勇気になりました。
そして翌年の2回目開催は、落語協会の百周年記念事業の一つとしての開催が決まりました。これは寄席や落語協会理事の皆さまにお認めいただけたことと感謝しております。私が落語協会で10人目の女性真打ということで、10日間日替わりでの主任興行。百周年らしいものになりました。
そして今年の3回目。ありがたいことに、桃組が浸透してくれたからこその新鮮味のなさ。どのようにしようか考えておりましたが、主任の私と、史上初の女性抜擢(ばってき)真打である林家つる子さんとのリレー落語。浅草演芸ホールでリレー落語をすることも初めてだと、初日にお席亭に言われた時はビックリ。初めてづくしの桃組興行! 初めてといえば、余興のコーナーというのがあるのも桃組の特徴。寄席には色物といわれる、漫才・奇術・太神楽などの先生方がいらっしゃるため、落語家は落語以外を高座でやることはないのです。そこをあえて、余興として挑戦するコーナー。初年度は、寄席のレジェンド漫才師のにゃん子・金魚先生の漫才を、三遊亭律歌(りっか)姉さんと私とで完全コピー。2年目は、二ツ目の皆さまに日替りで担当してもらい大変に盛り上がりました。
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そして今年は私、桃花がマジックに挑戦致します。プロのマジシャン小梅先生と、Winkに扮(ふん)してマジックの披露。Winkはただ歌いたかったからという、私の完全なる趣味ですが。水の消えるマジック、紐(ひも)がつながるマジック・・・。果たして成功するのか。桃組の根底には挑戦がある。今年も乗り越えて千穐楽を迎えます!
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 22からの転載】

蝶花楼桃花(ちょうかろう・ももか)/ 東京都出身。春風亭小朝さんに弟子入り後、二ツ目・春風亭ぴっかり☆時代に「浅草芸能大賞」新人賞を受賞。2022年3月、真打ちに昇進し高座名を「蝶花楼桃花」と改める。昇進披露興行、初主任興行、企画にもかかわった全出演者女性による「桃組」はいずれも大入り。24年7月、31日連続ネタおろし独演会「桃花三十一夜」を池袋演芸場で開催、大成功をおさめる。
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