63歳に到達し再雇用で働く女性です。「高年齢雇用継続給付金」と「特別支給の老齢厚生年金」を併給できますか?

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2025年06月14日 18:30  All About

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年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、特別支給の老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付の併給についてです。※サムネイル画像出典:PIXTA(ピクスタ)
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、特別支給の老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付の併給についてです。

Q:63歳に到達した段階で「特別支給の老齢厚生年金」が支給されますが、「高年齢雇用継続給付金」をもらいながら「特別支給の老齢厚生年金」をもらうことはできますか?

「1962年5月生まれの女性で、定年後も再雇用で働き「高年齢雇用継続給付金」も支給されています。63歳に到達した段階で「高年齢雇用継続給付金」をもらいながら「特別支給の老齢厚生年金」をもらうことはできますか? 60歳以後の給与月額19万3000円、年収250万6000円、高年齢雇用継続給付金の月額2万8950円、特別支給の老齢厚生年金の月額はおよそ8万1952円です。また、年金事務所で確かな特別支給の老齢厚生年金額を提示していただけるのはいつごろから可能なのでしょうか?」(はなこさん)

A:「特別支給の老齢厚生年金」と「高年齢雇用継続給付金」は併給可能です。ただし、老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付の併給調整があります

はなこさん、ご質問ありがとうございます。「特別支給の老齢厚生年金」の受給に関してのご質問ですね。

「特別支給の老齢厚生年金」と「高年齢雇用継続給付金」は併給可能です。ただし、老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付の併給調整があります。

雇用保険の高年齢雇用継続給付の支給を受けている方が、特別支給の老齢厚生年金の支給を受けられるときは、在職老齢年金制度による年金の支給停止に加えて、年金の一部が支給停止されることになります。

支給停止される年金額は、はなこさんの場合、最高で賃金(標準報酬月額)の6%に当たる額です。

なお、令和7年4月1日以降の高年齢雇用継続給付は最高で賃金額の10%相当額が支払われ、年金の支給停止額(月額)は、最高で標準報酬月額の4%に相当する額と改定されましたが、以前に高年齢雇用継続給付が支払われていた方は、支給率と年金支給停止率はこれまでと変わりません。

はなこさんの場合、特別支給の老齢厚生はいくら受け取れる?

はなこさんが受け取っている高年齢雇用継続給付金(月額2万8950円)は、給与月額(19万3000円)の15%に相当します。その場合、給与月額(標準報酬月額)の6%が支給停止となり減額されます。

また令和7年度の在職老齢年金制度による特別支給の老齢厚生年金の支給停止額は以下のように計算します。

約250万円/12+約8万円<51万円で支給停止額は0円です。

まとめると以下のようになります。

・在職老齢年金制度による特別支給の老齢厚生年金の支給停止額=0円
・高年齢雇用継続給付による特別支給の老齢厚生年金の支給停止額=19万3000円×6%=1万1580円
・特別支給の老齢厚生年金=年金月額(8万1952円)―支給停止額(1万1580円)=7万372円

63歳以降の受け取り総月額は、給与(19万3000円)、高年齢雇用継続給付金(2万8950円)、特別支給の老齢厚生年金(7万372円)で29万2322円となります。

年金請求書が手元に到着確認後、年金事務所へ

特別支給の老齢厚生年金の正確な金額(見込額)を教えてもらいたい場合は、年金請求書が到着した以降に年金事務所へ相談するとよいでしょう。

その際、前もって予約を忘れないように注意してください。また、せっかく年金事務所に行くのですから、ついでに、年金請求書の記載をすませて持参すると不備がないかの確認もしてもらえますので安心ですよ。

なお、「年金請求書」は、支給開始年齢到達の3カ月前に、本人宛てに送付されます。受給権発生日は受給開始年齢に到達した日(誕生日の前日)となりますので、請求書は受給開始年齢(誕生日の前日)になってから提出が可能です。それ以前に提出しても受け付けてもらえませんのでご注意ください。

文:京極 佐和野(ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント)

FPオフィス ミラボ代表。CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、国家資格キャリアコンサルタントなどの資格を持ち、マネープランと働き方の両面から、20年以上「稼ぐ・使う・借りる・貯める・増やす」をアドバイス。FP向け継続研修、社員向けライフプラン・キャリアデザイン研修講師として活動する傍らJ-FLEC認定アドバイザーとして携わる。
(文:京極 佐和野(ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント))

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