今年、結成20周年を迎えたお笑いコンビのロッチ・コカドケンタロウさん(46)、中岡創一さん(47)。年を重ねてくると芸人さんはそれぞれの理由で単独ライブをやらなくなってきます。そんな中、アラフィフコンビのお二人はコントの単独ライブを毎年開催しています。現在、ロッチ20周年JAPANツアー「ヘビーロッチ 」を開催。今でこそ人気コンビのロッチですが、実は世に出るまでに14年かかっている苦労人。ロッチの結成秘話やブレークするまでの道のりを、お笑い界の先輩でもあるインタビューマン山下がお聞きしました。
――高校1年生でNSC(吉本総合芸能学院)に入学したコカドさん。ロッチを結成する前に「市川塾」というコンビを組んでましたが、こちらもおもしろかったと聞きます。なぜ解散したんですか?
コカド 何て言うんやろな。相方が本当めちゃめちゃ男前やったんすよ。
――めちゃくちゃいいじゃないですか。人気出そうで。
コカド 男前やけど、めちゃめちゃ天然で。
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――いや、天然もキャラとしていいじゃないですか。
コカド めちゃめちゃ滑舌悪かったんですよ。
―― 2人ともですか!
コカド そうです。僕が「滑舌悪いな!」ってツッコんでましたから(笑)。ほかにも、僕ら高校生コンビやったんですけど。相方が男前やし高校で彼女ができて。ほんで、ネタ合わせをしに相方の家へ行ったら、彼女もいるんですよ。
――それはネタ合わせをやりづらいですね。
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コカド やりづらいでしょ。ほんで僕がネタを考えるんですけど、ネタができるまでカップルで待ってるんですよ(笑)。そんなのもあって「こいつやる気ないな」と思って解散しました。
――解散してどうしたんですか?
コカド その後にトリオを組んですぐに東京に行ったんです。
――大阪でトリオを結成したのになぜすぐに東京に行ったんですか?
コカド 僕の1期先輩の野性爆弾さん、ブラックマヨネーズさん、チュートリアルさんが強すぎて。さらに下からキングコングが出てきたんで。
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中岡 僕もいったん芸人をやめた理由の一つにキングコングというのはありました。キングコングが養成所時代からバーンと一気に来て。僕の当時の相方が「売れるってああいうことやから。3、4年もやってて、くすぶってたら俺らあかん」って言いだして。
――コカドさんはNSC大阪校の14期生、中岡さんは16期生です。キングコングは22期生。2人とも後輩のキングコングの影響で人生を動かされたんですね。
コカド だから僕らはキングコングから逃げたということです(笑)。それで東京に行きました。
■「あいつらすごい嘘ついてる!」と2ちゃんねるに
――トリオで東京進出してどうでしたか?
コカド 吉本をやめてまず人力舎に行きました。ドランクドラゴンさん、おぎやはぎさん、アンジャッシュさんとか、すごい面白い人たちがいるやん。「なんやこの事務所」と思ってオーディションに行ったんです。それではじめが大事やと思ってハッタリをかまそうと。僕が20歳ぐらいで相方は23歳と24歳だったんですけど「全員19歳です」って。
――なぜ年齢を若めにしたんですか?
コカド 僕が高校生コンビでちやほやされたんで。若い方がいいかなと思って。ほんで僕らホンマは吉本で4年ぐらいやってたんですけど「吉本では2カ月しかやってないです」って嘘ついて。それでネタやったらマネージャーさんに「天才だね」って言われたんですよ。
――ハードルを下げてたから(笑)。
コカド そのマネージャーさんに「今すぐに社長と会ってくれ」って言われて。社長にその日に会いました。それでその日に人力舎に入れてもらったんです。
コカド ほんで、人力舎のライブにずっと出てたら、2ちゃんねるで《あいつらすごい嘘ついてる!》っていう書き込みがきたので。もうここにはいられないと思って。「やめます」と言いました。
――それで人力舎をやめてワタナベエンターテインメントにはどうやって所属したんですか?
コカド すごくずるいんですけど。人力舎に「やめます」って言う前に、実はワタナベにネタみせ(ネタのオーディション)に行ってたんです。
――ずるいですね(笑)。次の進路を事前に用意してたんですね。
コカド それでワタナベに入るためにネタみせに行ってネタをやったんですよ。ほんならそこに並んでるマネージャーの一人が僕に「君、『市川塾』じゃない?」。メンバーの1人に「『デモしかし』じゃない?」って言ってきたんですよ。
――「デモしかし」は「ザ・プラン9」浅越ゴエさんと「超新塾」元メンバーのDRAGONタカヤマさんのコンビです。当時、トリオの1人がDRAGONタカヤマさんだったんですよね。そのマネージャーさん、めちゃくちゃ詳しいですね。
コカド そのマネージャーさんがめちゃくちゃお笑いオタクやったんですよ。それで「何してんの? 事務所に入ってよ。あなたたちなら大丈夫よ」ってなって。それでワタナベに入れてもらいました。
――ちょっと待ってください。ということは人力舎に「やめます」と言ったときはすでにワタナベに入ることが決まってたということですか?
コカド はい。
――準備万端じゃないですか(笑)。でも人力舎の人はこれを知ったらショックでしょうね。
コカド そこはワタナベのマネージャーさんに事情を話したら、その場で人力舎に電話してくれて丸く収めてくれました。
――ワタナベに入ってからはどうでしたか?
コカド トリオで入ったんですけど1人(DRAGONタカヤマ)がやめてコンビになって。それでしばらくコンビで活動してたんですけど相方が蒸発して。それで後輩だった中岡君に連絡したんです。
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当時、中岡さんは芸人をやめ、愛知県の自動車部品工場で働いていました。すでにやめてから、5年近く経っていたそうです。しかし、中岡さんは結婚しようと思っていた彼女にフラれたばかりで傷心でした。傷心のふたりは一緒に沖縄旅行に行くことになり、仲が急速に深まるのです。
(取材・文:インタビューマン山下)
【PROFILE】
1968年、香川県生まれ。1992年、世界のナベアツ(現・桂三度)とジャリズム結成、2011年に解散。同年、オモロー山下に改名し、ピン活動するも2017年に芸人を引退しライターに転身。しかし2021年に芸人に復帰し現在は芸人、ライター、「山下本気うどん」プロデューサー、個人投資家、ファイナンシャルプランナーとして活動中。
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