舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』衣裳フィッテイング写真(撮影:山本春花) 東京・TBS赤坂ACTシアターでロングラン上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』にて、8月からハリー・ポッター役を務める平岡祐太のフィッティング風景が公開された。「ハリー・ポッター」の世界観を構成するローブや、ハリーを象徴する眼鏡などがミリ単位で調整され、その細部へのこだわりがうかがえる。
【画像】そのほかの公開された衣裳フィッテイング写真 このフィッティングを手がけるのは、インターナショナル衣裳デザイン補のサビーン・ルメートル、日本の衣裳補・阿部朱美、そして衣裳部の専門スタッフたち。これまで英国ナショナル・シアター、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー、ロイヤル・バレエなどで衣裳を担当してきたサビーンが来日し、約2週間かけて新キャスト全員の衣裳合わせを行う。
試着室の横には白ホリセットとフライング装置が設置され、衣裳は舞台上だけでなくフライング時の見え方までチェックするという。
本作のハリーは魔法省で働いている。まずは、スーツのフィッテイングから。ジャケットを脱ぎ、ベストを着た状態のシルエットも確認する。「ハリーは多くのシーンでベストを着ていて、特に横向きの芝居が多いので細かくチェックする必要があるのよ」と、サビーン。スーツのパンツのポケットから杖をスムーズに出し入れできるか、膝を曲げられるかなども細かくチェックする。
衣裳の細部にわずかな修正が必要な場合でも、衣裳は一度イギリスへ送り、現地スタッフの手によって調整され、日本へ戻される。輸送や工程にかかる労力とコストを惜しまない姿勢からも、この作品が体現する「イギリスらしさ」への強いこだわりが見て取れる。
ハリーの象徴でもある眼鏡も「似合います。ただ黒目の位置がもっとレンズの真ん中にくるように調節します」とサビーン。「美は細部に宿る」。その徹底した姿勢こそが、原作ファンはもちろん、新たな観客にも魔法世界への没入体験を与える演出として高く評価される所以だ。
さらに、「ハリーのオフィスのシーンで、涙を拭うなど演技プランによっては使うかもしれません」とハンカチを平岡に渡した。使うかどうかわからないものまで用意されているところに、2016年ロンドン初演から世界各地で上演されてきた『呪いの子』の歴史の蓄積を感じさせた。
本作はJ.K.ローリング、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーンによるオリジナル脚本で、小説最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』の19年後を舞台にした新たな物語。2016年にロンドンで初演された後、世界各地で上演され数々の演劇賞を受賞。日本では第30回読売演劇大賞・選考委員特別賞、第48回菊田一夫演劇大賞に輝いた。東京公演は2022年に開幕し、観客数は110万人を超え、通算1100回公演を達成している。
今夏からは平岡祐太のほか、新キャストとして稲垣吾郎、1年ぶりの復帰となる大貫勇輔がトリプルキャストでハリー役を務める。ハーマイオニー役には松井玲奈、奥村佳恵、ロン役は上山竜治と関町知弘(ライス)、ドラコ役に渡辺邦斗、ジニー役には安藤聖と吉井怜、さらにダンブルドア役として市村正親が新たに加わる。