
「ルンバ」の登場以降、すっかりおなじみとなったロボット掃除機。現在ではさまざまな進化を遂げ、より便利に、より身近なものになっています。
今回は、ロボット掃除機の大手ブランドとその特徴、そしておすすめのモデルを紹介します。
●ブランド力かコストパフォーマンスか
ロボット掃除機の大手ブランドと言えば何と言ってもルンバの「アイロボット(iRobot)」です。一時期は「1強」といっても過言ではないほどの地位を確立していましたが、現在は世界市場で見ると中国勢に推され気味といった印象です。しかし、2025年には驚きの値下げを行ったほか、4月にはシリーズを一新、全体的に価格が抑えられたラインアップで注目を集めています。
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日本のメーカーでは、パナソニック、日立、シャープ、東芝といったところからロボット掃除機が発売されていましたが、現在はごく一部の販売にとどまっており、トレンドを押さえた新製品を狙うことは事実上不可能です。どうしても国内ブランドで……と考えている人以外は選択肢に入らないでしょう。
アイロボット・ルンバの最大のライバルは中国のメーカーの製品です。中でもRoborock社は、グローバル市場でアイロボットを抜いて首位となるほどの勢いを持っています。中国勢ではECOVACSも強く、Roborock、アイロボット、ECOVACSがグローバルでは3強と言ってよいでしょう。
●老舗アイロボットはシリーズを一新|Roomba Max 705 Vac ロボット
グローバル市場で中国勢としのぎを削るアイロボットですが、日本国内においては現在も1強を保っています。製品の品質やサポート、そしてブランドイメージを考慮すると、ロボット掃除機はルンバ一択と考えてもいいかもしれません。
2025年4月に発表されたモデルは殆どが10万円以下の価格に抑えられており、10万円台後半の高額モデルは旧モデルが残されるのみとなっています。また、新製品はすべてのモデルに、レーザー光を用いたセンサー「LiDAR(ライダー)」が搭載されており、ナビゲーションとマッピングの精度が向上しているのも特徴です。アイロボットは、価格と性能の両面で勝負に出たと見えます。
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筆者が注目したのはラインアップのわかりやすさです。かつてのモデルでは「水拭き機能のないモデル」を探すのに一苦労しましたが、最新のラインアップでは「Roomba Max 705 Vac ロボット」という水拭きのない吸引専用のモデルが追加されています。このモデルは水拭き機能をカットしただけではなく、吸引に特化されたモデルで、他のモデルより吸引力が高く、障害物回避や最大75日分の自動ごみ収集など、強力な機能も備えています。公式オンラインショップでの価格は9万8800円(税込、以下同)となっています。
●生き残った国内ブランドモデルを選ぶなら|パナソニック RULOミニ MC-RSC10
どうしても国内ブランドのロボット掃除機を選びたいのであれば、選択肢は非常に限られてきます。現在入手可能なものは、パナソニックの「RULOミニ MC-RSC10」や日立の「ロボットクリーナー ミニマル RV-X10J」といったところです。
過去には大手家電メーカーがロボット掃除機に参入しましたが、日本ではロボット掃除機の活躍の場が少なく市場規模が小さいためか、グローバルに強い競争力を持つアイロボットに太刀打ちできなかったのか、壊滅状態といえる状況です。一方、業務用ロボット掃除機においては、昨今の人手不足を反映してか、国内メーカーの奮闘も見られます。
現在入手できる「RULOミニ MC-RSC10」は、パナソニックのロボット掃除機「RULO」シリーズで唯一販売されている製品です。コンパクトボディで狭い場所も得意とする特性から、日本の住宅事情にも一致した製品と言えるでしょう。実売価格は3万円前後からとなっています。
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●ルンバや中国勢以外の選択肢|ダイソン Dyson 360 Vis Nav
ルンバや中国勢以外のロボット掃除機がないわけではありません。サイクロン掃除機の最大手であるダイソン(Dyson)からもロボット掃除機が発売されています。ダイソンのファンや、少し変わったロボット掃除機が欲しいと考えている場合には強力な選択肢となります。
「Dyson 360 Vis Nav」は、ダイソンの掃除機では唯一のロボット掃除機で、2023年5月に発売されたモデルです。「Dyson Hyperdymium モーター」は毎分最大11万回転してパワフルな吸引力を実現。10個のサイクロンが10万Gの遠心力を生み出し、微細なほこりを空気から分離し、変わらない吸引力を持続します。
ダイソンらしい、吸引力を全面に打ち出したモデルですが、各種センサーやアプリによるスマート操作といった機能も充実。ごみ捨てやブラシの交換などもダイソンらしい操作感ですので、ダイソンユーザーにはおすすめのモデルです。ダイソン公式ストアでの購入価格は14万1858円となっています。
●世界シェア1位で注目の「Roborock」|Roborock S8 Max Ultra
ロボット掃除機市場で、アイロボットのルンバを抜き、売上1位を獲得したのがRoborock(ロボロック)社です。Roborockは中国のガジェットメーカー「Xiaomi」が出資する、中国・北京に本社を置く企業で、国内の営業・マーケティングはソフトバンクグループのSB C&S株式会社が行っています。
Roborockのロボット掃除機はハイスペックモデルが多く、中国ブランドとしては比較的価格レンジが高めに設定されているのも特徴です。高度なナビゲーションシステムと強力な吸引力がアピールされていて、広範囲の徹底した掃除が望めます。
Roborockの「S8 Max Ultra」は、5way全自動ドックを搭載。モップ洗浄、乾燥、給水、ごみ収集、洗剤投入までを自動で行ってくれます。また、四隅に自動で伸びるサイドブラシと壁際まで水拭き可能な壁キワ用モップにより、部屋を隅々までくまなく掃除してくれます。希望小売価格は28万5780円となっています。
●リーズナブルな価格が魅力「ECOVACS」|ECOVACS DEEBOT mini
Roborockとアイロボットを追うのが、Roborockと同じ中国勢の「ECOVACS(エコバックス)」です。ハイスペックのRoborockとは対照的に、リーズナブルな価格で水拭き両用のモデルを取りそろえているメーカーです。
ECOVACSは、ロボットの研究開発、生産、販売を一体化した家庭用ロボットの総合メーカーで、ロボット掃除機の「DEEBOT」シリーズ以外にも、窓ふきロボット掃除機の「WINBOT」なども手掛けています。
2025年5月発売の「DEEBOT mini」ファミリーは、コンパクトでスタイリッシュ、洗練されたデザインが大きな特徴。幅わずか28.6cm、高さ9.98cmのスリムボディで、家具の下などの狭いスペースもスムーズに移動、清掃カバー率は最大89%とされます。また、8000Paの強力な吸引力も備え、快適な住環境を実現します。6色から選べる鮮やかなカラーバリエーションの水タンクも魅力。メーカー希望小売価格は6万9800円となっています。