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2025年06月23日 23:21 ITmedia Mobile
モトローラ・モビリティ・ジャパンは6月23日、スマートフォンのミッドレンジモデル「motorola edge 60 pro」、エントリーモデル「moto g66j 5G」を発表した。キャリア向けモデルを含めると4機種ある。価格はedge 60 proが8万円を切る7万9800円(税込み、以下同)、moto g66j 5Gが3万4800円だ。
edge 60 proは、モトローラ製品の中でも「プレミアムなセグメント」に位置付けられるedgeシリーズの最新モデルで、約5000万画素×2+約1000万画素のトリプル構成となるアウトカメラや、サイドフレームにかけて湾曲した6.67型有機EL(1220×2712ピクセル)ディスプレイ、MediaTek製の「Dimensity 8350 Extreme」、モバイルFeliCaを搭載。
同時発表のmoto g66j 5Gは、edge 60 proよりもランクが下で、「安価なスマートフォン」を求めるユーザーに向けたgシリーズの最新モデル。ソニーセミコンダクターソリューション製の「LYTIA-600」を採用した約5000万画素の広角カメラや、6.67型液晶(1080×2400ピクセル)ディスプレイを搭載する。
同日、テクニカルサポートグループ開発事業部長の伊藤正史氏が発表会場に登壇し、製品の説明を行った。プレゼンテーションで、今回は特にAIの機能を強化したことが示され、「コスパのよさ」はそのままに「トレンドとなりつつあるAI体験」にも力を入れていることが分かった。
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●AIでカメラの品質が向上したedge 60 pro ズームは最大30→50倍に
伊藤氏は、edge 60 proを「美しいデザインにAI機能と耐久性を兼ね備えた、超急速充電対応のプレミアムスマートフォン」と言い表している。特に本モデルでは、AIの機能を複数備え、軸足を単なるコスパからAI体験へとシフトしていることがうかがえる。カメラ体験におけるAIの活用例の具体的な内容は次の通りだ。
・moto AIによる写真補正エンジン(Photo Enhancement Engine):写真の最も明るい部分と暗い部分の比率を高め、ダイナミックレンジを向上させる処理をAIが行う。加えて、ズーム時の細かい部分のつぶれ補正や、暗い場所でのノイズ自動除去といった処理も行う
・moto AIによる最大50倍スーパーズーム:edge 50 proは30倍のスーパーズームを可能にしていたが、edge 60 proでは倍率を高め、AIがズーム時の手ブレなどを補正する
・シグネチャースタイル:ユーザーが好む写真(色味や明るさを編集した写真など)を、moto AIが事前にインポートすることで、そのユーザーの好みを学習し、それ以降に撮影する写真を自動で好みに合わせて補正。例えば、明るさや肌の色、服の色などを編集して登録しておくと、「ユーザーはこういう色味の写真が好きなんだね」とAIが判断し、以降は自動でカスタマイズする
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・グループショット:moto AIがカメラのファインダー内に複数人いることを判断すると、複数枚の写真をもとに「全員が目を開いている写真」に変換する。ちなみに、これはGoogle Pixel 9シリーズが先行している機能だが、同じことがモトローラ製品でも実行可能になった
・ポートレートモード:moto AIが背景をぼかすモードを写真モードとは別に用意。焦点距離は24〜85mmの間で段階的に設定でき、その設定に合わせてAIが被写体との距離に応じてダイナミックにボケをコントロールするため、プロ並みのポートレート撮影が可能だという
●動く被写体をAIが判断→宙に浮いている写真を撮影
動画撮影時に被写体や撮影者が動いている場合、AIが自動でクロップ角度や大きさをコントロールし、見やすく滑らかな動画に仕上げる「アダプティブスタビライゼーション」という機能を、折りたたみスマートフォン「motorola razr 50」シリーズから継承した。
edge 60 proは、「アクションショット」という新機能も搭載している。写真撮影時に被写体が動いているとAIが判断すると、AIが自動でシャッタースピードや明るさをコントロールし、ブレのない写真を撮影する。会場では、伊藤氏が動きの激しいダンサーを撮影し、きれいに撮影できるかを試した。
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ほんの一瞬の細かい動きも捉え、「人が宙に浮いている瞬間を撮影することも可能である」(伊藤氏)という。なお、この機能はシャッターアイコンを長押しするのではなく、シャッターを切った瞬間にAIが動作し、その“機敏さ”こそが一瞬を逃さないことにつながっているとのことだ。
なお、モトローラ・モビリティ・ジャパン広報によると、moto AIの一部の機能は「motorola edge 50 pro」から搭載されているが、edge 60 proではよりAIの機能を増やしてブラッシュアップした。
●ソフトバンク向けのedge 60s proではPerplexity Proが6カ月間無料
この他、edge 60 proでは「Gemini Live」と「Perplexity」のAIエージェントも利用できる。
例えばGemini Liveでは、ユーザーが話しかけるとリアルタイムで応答してくれ、たとえ途中で話題を変えても、途切れることなく流れるように自然な会話を続けられる。スマートフォンのカメラで捉えた映像や、ディスプレイに表示した内容をGeminiが認識し、ユーザーの質問に答えたり、情報を提供したりすることもできる。
モトローラとGoogleは、「以前からrazrのアウトディスプレイでGeminiが使えるなど、さまざまな方法で連携している」(伊藤氏)が、今後は「パートナーのさまざまな特徴を持つAIと連携し、ユーザーに使い分けていただけるように考えている」という。
Gemini Liveを使ってAIと会話をしながらアイデアを練ったり、リハーサルを行ったりすることも可能であり、「最近では、AIを彼氏・彼女のように話しかけるという使い方もあるようで、実際に試したところ、めちゃくちゃ褒めてくれたり、時には『そんなのは絶対ダメです』と叱ってくれたりもする」と、自身の所感を語った。
電源キーの長押しでGeminiアプリを起動し、Liveボタンをタップすることで会話を開始できる。発表会場でedge 60 proを手にしてGemini Liveを使用してみたところ、サイドフレームにかけてディスプレイが湾曲していることにより、片手でも持ちやすく、会話を続けやすいと感じた。ただし、AIが生成した画像や映像の視認性については、湾曲により見る角度によっては「光が反射して見えづらくなる」他、「ゆがんで見える」ことがあった。
Perplexityについては、ソフトバンク向けのedge 60s proでは6カ月間、オープンマーケット版のedge 60 proでは3カ月間、Perplexity Proを無料で利用できる。
なお、moto g66j 5Gとmoto g66y 5Gは「インカメラで撮影した人物の写真をAIが自動で補正する」機能を搭載する。より広くAI機能を利用するには、処理能力の高いedge 60 proが選択肢になる。
AI機能の処理の方法については、必ずしも1つの手法に固定されているわけではない。伊藤氏は、「AIモデルについては機能によって使い分けている」ことを示し、具体的には「モトローラ自社のものもあれば、パートナーのものを使う場合もある」とした。処理の方法については、「オンデバイス(端末上で)処理する機能もあれば、クラウドで処理を実行する機能もある」とコメントした。
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