
東京・上野のアメ横にある純喫茶「珈琲王城」。3代目オーナーの玉山さんは6月中旬、営業時間中の店内で思わぬトラブルに見舞われました。店内のトイレが詰まり、逆流してしまったのです。「とても残念なことに、どなたかがトイレに流してはいけないようなものを流してしまったようで…」。営業を中止し、修理業者を呼ぶ事態に。何が起こったのか。営業を再開した玉山さんに話を聞きました。
休業、修理費、賃金補償…「かなりの金額」
昭和50年に創業した同店は、昭和レトロな雰囲気が味わえる喫茶店として、東京都内でも屈指の人気店。国内外から多くのファンが訪れます。
「トイレが詰まって逆流しています」。最初にトイレの異変に気付いたのは来店客でした。スタッフらがトイレを確認すると、トイレからあふれた水が客席の一部にまで達する緊急事態に。急きょ閉店時間を早め、修理業者に連絡しました。「誰が詰まらせたのかなどは全く分からない状況です」(玉山さん)
もともとトイレは老朽化しており、2年前にも排水管のトラブルで工事を行いましたが、「今まではお客様が大事に使用していただいていたので、こういうことはありませんでした」。
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かけつけた業者が詰まりの原因を取り除くと、トイレは正常に流れ始め、再び使えるように。店内の消毒作業も終え、翌日からは通常通りの営業が行えるまでにこぎ着けました。元通りになるまで数日から最悪の場合は2週間ほどかかる可能性もあったため、玉山さんはひとまず安堵しましたが、「それでも休業による収入減に加え、業者さまへの費用、スタッフへの賃金補償など、かなりの金額を支払いました」。
「何回も続くと、店が潰れてしまう危機が」
トイレに詰まった異物は「パンダ柄のハンカチ」でした。玉山さんの頭には「もしかしたら」という思いがよぎりました。
「これが例えば、たばこの吸い殻とかガムとか生理用品などであれば悪意を感じ、より残念な気分になったと思いますが、パンダの模様のあるかわいいハンカチだったことで、『もしかしたらハンカチの持ち主はお子さまだったのかも。気付かないで落としてしまったのか、気付いたけど親に怒られるのが怖くて誰にも言えなかったのかも…』みたいに考えてしまい、それ以上深く追求するのはやめようと思いました」(玉山さん)
古きよき昭和の歴史を後世に残すため、玉山さんはこう呼びかけます。
「トイレットペーパーでも一度に大量に流すと詰まってしまうため、できるだけ少量ずつ、都度、流していただけると大変助かります。仮に詰まらせてしまった場合は、正直に直ちにお話していただきたいです。こういうことが何回も続くと、店が潰れてしまう危機が生じますし、そうしないためにメニューの値上げをせざるを得ない状況になってしまう可能性もあり、誰も得しないので、当店のことを愛してくださっておられる皆さまにおかれましては、当店がこの場所、この内装で少しでも長く営業することができますよう、どうかご協力いただけると幸いです」(玉山さん)
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(まいどなニュース・金井 かおる)