家族4人で東プレ「REALFORCE RC1」のキー荷重45g/30gモデルを使い比べてみた

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2025年06月24日 12:41  ITmedia PC USER

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今回利用した東プレの70%キーボード「REALFORCE RC1」。上がキー荷重45gの「C1HJ11」、下がキー荷重30gの「C1HJ13」だが、外観からは見分けがつかない

 東プレの「REALFORCE」シリーズといえば、PFUの「HHKB」シリーズと並ぶ、国産高級キーボードの雄である。筆者は普段から14型ノートPCのキーボードで仕事をしているため、あまり外付けのキーボードにこだわりがある方ではないが、静電容量無接点方式スイッチを採用したREALFORCEシリーズには、その仕組みについては以前から興味を持っていた。


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 しかし、従来のREALFORCEシリーズは、基本的にテンキー付きのキーボードかテンキーレスしかなかったので、14型ノートPCと組み合わせて使うにはサイズが大きいことが気になっていた。


 2024年10月に登場した「REALFORCE RC1」は、REALFORCEシリーズ初の70%キーボードであり、14型ノートPCと組み合わせて使うにもちょうどよいサイズだ。そこで、ちょっと触ってみたいと思っていたところ、長期間にわたって試用する機会を得た。


 本製品については、既に詳しいレビュー記事が掲載されているので詳しい仕様などはそちらを見ていただくことにして、本記事では、筆者を含めた家族4人が実際に本製品を使ってみた感想を紹介していきたい。


●REALFORCE史上最も小型で軽くノートPCと一緒に持ち運ぶにも便利


 まずは製品概要を簡単に紹介しよう。REALFORCE RC1シリーズは、フルサイズのキーボードからテンキーと一部のキーを省いた70%キーボードと呼ばれるタイプのキーボードだ。


 省略されたPrintScreenなどのキーは、ファンクションキー(Fnキー)との同時押しで代用する。キーの数は82個で、今回試用した製品は日本語配列だが、英語配列のモデルも用意されている(英語配列ではキーの数が78になる)。


 また、カラーは先行して発売されたブラックに加え、ホワイトモデルもある。


 キーピッチは約19mm、キーストロークは約4mmで、従来のREALFORCEシリーズと同じだ。東プレ独自の静電容量無接点方式スイッチを採用していることが最大の特徴であり、金属接点を利用しないため、チャタリングが生じず、耐久性も非常に高い。


 一般的なメカニカルキーとは異なる、独特の“スコスコとしたキータッチ”を実現しており、人気を集めている。筆者は普段、キーストロークが約1.5mmのノートPCを利用しており、最初はRC1のストロークの深さに戸惑ったが、しばらく使っているうちに慣れてきて、逆に快適に感じるようになった。


 キーボード本体のサイズは、約295(幅)×130(奥行き)×39(高さ)mmで、重量は約600gと、REALFORCEシリーズで最もコンパクトで軽い。実際にモバイルノートPCと一緒に持ち運んで使ってみたが、楽に持ち運ぶことができた。


 REALFORCE RC1は、USBとBluetooth 5.0の接続に対応しており、有線でも無線でも利用できる。キーボード側のコネクターはUSB Type-Cで、付属のUSBケーブルのUSB Type-C側がL字になっており、USBケーブルを左側に引き出すことも、右側に引き出すこともできるので便利だ。


 Bluetoothについては、最大4台までのペアリング情報を保存し、ワンタッチで切り替えられることも、複数台の機器で本製品を使い回したいという人にはありがたい。


●日本語配列のキー荷重30g/45gを家族4人で使い比べてみた


 REALFORCE RC1は、キー荷重30gと45gのモデルが配列/カラーごとに用意されており、好みによって選べる。また、キーが押されたと判定されるアクチュエーションポイントを自由に変更できるのも魅力だ。


 アクチュエーションポイントは専用ユーティリティーの「REALFORCE CONNECT」(Windows/macOS対応)を使うことで、0.1mm単位(0.8mm〜3.0mmまでの範囲)でキーごとに変更できるが、本体のみでも0.8/1.5/2.2/3.0mmの4段階で設定が可能だ(この場合は全てのキーが同じアクチュエーションポイントとなる)。


 デフォルト設定は2.2mmだが、より浅い押し込みでキーが入ったと判定して欲しい場合は1.5mmや0.8mmに変更し、深く押し込むことで入力が判定される方が好きな場合は3.0mmに変更すればよい。


 もちろん、キー荷重やアクチュエーションポイントは人によって好みがある。今回は、日本語配列のREALFORCE RC1のキー荷重30gモデルと45gモデルを試用できたので、筆者の家族4人で、それぞれ使い比べてみた。


●PC/ITライター歴35年の筆者:ノートPCを愛用しており45gが好み


 まずは筆者からだ。筆者は、PC/ITライター歴35年になるが、ほとんどノートPCで原稿を書いている。現在愛用しているのは、VAIOの14型ノートPC「VAIO SX14」でキーピッチは約19mm、キーストロークは約1.5mmある。ノートPCのキーボードでは、キーストロークとアクチュエーションポイントはほぼ一緒(設定次第だが)と考えてよいだろう。


 まず、キー荷重45gと30gだが、最初に触った時は30gの方が軽くていいと思ったのだが、しばらく使い続けているうちに45gの方がキー入力時のミスが少なく、入力も快適に思えるようになった。


 30gだと、ちょっと気を抜いていると「あああああああ」のようにキーが入力しっぱなしになることがあった。筆者は数年前から右手の指にマヒが生じており、2年前に頸椎(けいつい)の手術を行い、リハビリでだいぶ回復はしたのだが、やはり指の可動範囲はかなり狭く、タッチタイピングも完全にはできていない。


 そういった事情もあり、キー荷重45gの方が快適に使えた。アクチュエーションポイントに関しては、標準の2.2mmが一番使いやすいと感じた。キータッチはやや独特だと感じたが、不快ではなく、キー入力時の音が静かなことも気に入った。


●家電プロレビュアーの妻:カラーと30gが好み


 家電プロレビュアーとして、さまざまな白物家電の評価記事や解説記事を執筆している妻は普段、デスクトップPCにRazerのゲーミングキーボード「Huntsman Elite」を接続して仕事をしている。


 Huntsman Eliteは、Razer独自のオプトメカニカルスイッチを採用しており、キーピッチは約19mm、キーストロークは約3.5mm、アクチュエーションポイントは1.5mm、キー荷重は45gという仕様だ。妻にREALFORCE RC1のキー荷重45gモデルと30gモデルを渡して、しばらく試用してもらった。以下は妻のコメントだ。


 「普段使っているRazorのゲーミングキーボードと比べるとキー入力時の音が静かで、ソフトなタッチだった。キー荷重30gと45gだと30gの方がキータッチが軽くて好みだと思った。ただ、ストロークは深めなので、女性はアクチュエーションポイントを標準より深めに設定すると、ちょっと疲れるかも。アクチュエーションポイントは1.5mmの方が浅めの押し込みで認識されるため、使いやすいと感じた。


 一方、個人的には経理作業をすることも多いので、テンキーがあった方が便利だ。今使っているゲーミングキーボードにもテンキーがあるから。カラーは流行りのモノトーンで落ち着いていて好み」とのことだった


●大学生の娘:タイピング結果は45gが好成績だが普段使いは30gが好み


 大学生の娘は普段、デル・テクノロージズの14型ノートPC「Inspiron 14 5430」を利用しており、外付けキーボードは繋いでいない。Inspiron 14 5430のキーピッチは約19.05mmで、キーストロークは約1.5mmだ。


 娘と息子には、キー荷重45gと30gのそれぞれでアクチュエーションポイントを4段階に変更して、タイピング練習サイト「寿司打」のお手軽コースを3回ずつプレイしてもらい、その平均を算出した。


 娘の結果は以下の通りだ。娘も息子もほぼタッチタイピングをマスターしており、指が満足に動いていたときの筆者よりもタイピングは早いくらいだ。


寿司打の結果(娘)


 この結果を見ると、ミスタイプの数は全体的にキー荷重30gよりも45gの方が少ない。最も成績が良かったのは、キー荷重45g/アクチュエーションポイント1.5mmのときで、次に成績が良かったのは、キー荷重45g/アクチュエーションポイント2.2mmのときである。娘のコメントは以下の通りだ。


 「どちらの製品も打ちやすいく、静かでいいなと思う。私は普段ノートPCの平たいキーボードを使っているため、こういった厚みがあるキーボードだと、他のキーを巻き込んで押してしまうことがある。カラーはもう少し明るい方がよい。グレーのキーはいいが、黒いキーの印刷が見づらいからだ。ファンクションキーとのコンビネーションは側面に字が書いてあるのはよい。「半角/全角」や「ひらがな」などのキーの印刷は日本語で書いてほしい。


 キー荷重は45gだと長時間打っていると30gに比べてやや疲れる気がするが、アクチュエーションポイントを1.5mmにすると、寿司打のスコアは一番よくなり、ミスタイプもかなり減る。アクチュエーションポイントを一番深い3.0mmにすると、今度は入力し損ねる場合が増える。キー荷重30gは軽いタッチで打ちやすい。寿司打のスコアは多少落ちているが、普段使うならこちらが好みだ」とのこと。


●高校生の息子:タイピング結果は30gが好成績 ゲームなら45gが好み


 最後は高校生の息子だ。息子は暇さえあればPCでゲームばかりしており、最近はカプコンの「ストリートファイター6」にハマっているが(初出場した「EVO Japan 2025で129位だったのでそれなりの腕前ではある)、「VALORANT」や「オーバーウォッチ2」などのFPS/TPSもよくプレイしている。


 息子が普段、ゲーミングPCで使っているキーボードは、FILCOの「Majestouch 2 Tenkeyless/茶軸」で、スイッチとしてCherry MX 茶軸を採用したテンキーレスのメカニカルキーボードだ。キーピッチは約19mm、キーストロークは約4mmで、アクチュエーションポイントは2mmとなっている。キー荷重は45gとなる。息子の「寿司打」の結果は以下の通りだ。


寿司打の結果(息子)


 結果は娘と対称的で面白い。


 ミスタイプの数は娘と同じく、全体的にキー荷重30gよりも45gの方が少ないが、娘に比べると全体的にミスタイプは多い。これは性格的なものもあるだろう。最も成績が良かったのは、キー荷重30g/アクチュエーションポイント3.0mmのときで、次に成績が良かったのは、キー荷重30g/アクチュエーションポイント2.2mmのときだ。


 娘のスコアが一番よかったのは、キー荷重が45gと重く、アクチュエーションポイントが1.5mmと浅めのときで、息子はキー荷重が30gと軽く、アクチュエーションポイントが3.0mmと深めのときが高かった。要するに、普段ノートPCを使っている娘と、普段からキーストロークが深めのメカニカルキーボードを使っている息子の違いなのであろう。


 息子は「キー荷重30gのキーボードは長時間使用しても手が疲れにくく、長い時間タイピングしていても疲労感が少なくて良かった。キー荷重45gのキーボードは押し間違えが少なく、キーの入力感もあって、こちらはこちらで気に入った。自分は長時間文字を入力するなら30gのキーボード、ゲームをするなら45gのキーボードが合っているなと思った。


 アクチュエーションポイントは、文章をタイピングするときは深めの3.0mmか標準の2.2mm、ゲーム時はキー操作の反応が早くなる1.5mmが適していると感じた。キー入力時の音が静かで、ゲームやタイピングをしているときに音で集中力が削がれることがなく、ボイスチャットなどでもキーの入力音が邪魔にならず、かなり良かった」と述べていた。


 このように、家族でテストしたところ結果は4者4様となった。寿司打のテストも厳密なものではなく、あくまでも参考程度だが、普段ノートPCの薄くてフラットなキーボードを使っている娘はアクチュエーションポイントを浅くした方が好成績で、普段メカニカルキーボードを使っている息子はアクチュエーションポイントを深めにした方が高いスコアというのは納得できる結果である。


 REALFORCE RC1は、コンパクトで使い勝手に優れたキーボードであり、キーボード単体でもアクチュエーションポイントを変更できるなど、機能的にも充実している。価格は3万5860円と高めだが、静電容量無接点方式のスイッチは耐久性も高く、長期間使い続けることができることを考えると、十分リーズナブルといえるだろう。コンパクトで高品質なキーボードを探している人にお勧めしたい。



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