ノリスが母国初優勝。37歳ヒュルケンベルグ、239戦目で悲願の初表彰台【決勝レポート/F1第12戦】

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2025年07月07日 00:50  AUTOSPORT web

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2025年F1第12戦イギリスGP表彰式 優勝ランド・ノリス(マクラーレン)、2位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、3位ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)
 7月6日、2025年F1第12戦イギリスGPの決勝レースが行われ、ランド・ノリス(マクラーレン)が自身通算8勝目/今季4勝目を飾った。

 2位にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、そしてF1参戦239戦目にして初表彰台獲得となったニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)が3位に続いた。角田裕毅(レッドブル)は15位となった。

 1950年に最初のF1グランプリが開催されたシルバーストン・サーキットを舞台に迎えた第12戦。決勝日は朝から雨模様。フォーメーションラップ開始まで40分というレコノサンスラップ(ピットガレージからダミーグリッドへ向かう試走周回)が始まるころにも雨粒が落ちた。

 スタート進行が進むなか、シルバーストン上空は青空に変わった。レース中の降雨予報もあり、全車がインターミディエイト(浅溝/グリーン)でフォーメーションラップを迎えた。ただ、その時点での路面はドライコンディション寄りだった。

 そんな路面状況もあり、フォーメーションラップ終わりに、4番手ジョージ・ラッセル(メルセデス)がハードタイヤ(C2/ホワイト)、6番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)、12番手アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)、16番手ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)の3台がミディアムタイヤ(C3/イエロー)に。そして18番手オリバー・ベアマン(ハース)、ピットスタートのフランコ・コラピント(アルピーヌ)がハードに履き替えた。

 気温18度、路面温度24度、湿度83パーセントというコンディションでレースはスタート。ポールシッターのフェルスタッペン、2番手ピアストリ、3番手ノリスのオーダーは変わらず。ただ、ノリスの背後には同じくイギリス出身のルイス・ハミルトン(フェラーリ)が迫る。

 そんななか、1周目のターン5立ち上がりでエステバン・オコン(ハース)と接触したリアム・ローソン(レーシングブルズ)がマシンを止め、バーチャル・セーフティカー(VSC)導入に。

 4周目にVSCは解除された。ただ、その直後にミディアムタイヤを履くボルトレートがターン2でスピンを喫し、バリアに接触しリヤセクションにダメージを負った。その後、ボルトレートは自走でピットに戻ろうと試みるが、ターン9立ち上がりのコース脇にマシンを止め、2度目のVSC導入に。

 なお2度目のVSC中の7周目、11番手につけていたランス・ストロール(アストンマーティン)はソフトタイヤ(C4/レッド)に履き替え、ドライタイヤ組の最上位12番手でコースに復帰する。

 VSC解除となると、首位フェルスタッペンの背後にピアストリがついた。DRSの後押しを得たピアストリは8周目のバックストレートでフェルスタッペンをかわし、トップに浮上する。

 10周目、コースの一部で雨が降り始めた。インターミディエイトスタートのニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)は2セット目のインターに履き替える。翌11周目には雨脚が一気に強まり、ドライタイヤ勢は一斉にインターミディエイトに履き替えた。

 すると雨脚は一気に強まった。11周目のターン14でフェルスタッペンがオーバーランを喫し、ノリスが2番手に浮上する。その直後の12周目に首位ピアストリを筆頭に、ほとんどの車両がピットインし新たなインターミディエイトに履き替えた。マクラーレンはダブルピットストップとなり、ノリスの交換時にタイムロスがあったことから、フェルスタッペンが2番手の座を取り戻す。

 ピアストリが15秒リードしていた14周目、雨量が強いためのセーフティカー(SC)導入となった。この時点で2番手フェルスタッペン、3番手ノリス、4番手ストロール、5番手ヒュルケンベルグ、6番手ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、7番手オコン(スタートから同じインター)、8番手ハミルトン、9番手ラッセル、10番手フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)というトップ10に。

 18周目にリスタートを迎えると、ハミルトン、ラッセルがオコンをパス。角田はルクレールにかわされ14番手に後退する。ただ、その直後、ターン15でアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)がアントネッリのリヤに追突すると勢いそのままクラッシュを喫し、2度目のSC導入に。ハジャーに追突されたアントネッリは、その後リタイアを選択する。

 22周目にSC再開となるなか、その直前のバックストレートでピアストリが急減速。一瞬フェルスタッペンがピアストリの前に出てしまう。フェルスタッペンはポジションを戻してリスタートに臨むがその直後、ターン16でフェルスタッペンが単独スピンを喫し10番手に後退するまさかの事態に。

 これでマクラーレンを脅かす敵はいなくなった。2番手ノリスは早々に3番手ストロールに10秒のギャップを築き、3秒先を行くピアストリの背中を追う。一方の首位ピアストリに、SC中の急減速でフェルスタッペンを先に行かせようとした行為に対し10秒のタイムペナルティが下った。これで事実上の首位はイギリス人ノリスとなった。また、2度目のSC明けにベアマンと接触した角田に対しても、10秒タイムペナルティが下っている。

 ピアストリは、ノリスに対し10秒以上のギャップを築かなければ首位を守ることができない。ただ、タイヤ交換のタイミングも同じノリスはピアストリとほぼ同タイムで周回を重ねた。

 マクラーレン勢が後続を26秒引き離すなか、3位争いに注目が集まった。3番手ストロールと4番手ヒュルケンベルグは1秒以内のギャップで表彰台をかけた戦いを続ける。ヒュルケンベルグは、ストロールをかわせばキャリア初の表彰台だ。34周目のターン15でヒュルケンベルグが3番手に浮上。ただ、続く35周目のターン3でハミルトンがストロールをかわし4番手に浮上する。

 そんななか、38周目にアロンソがミディアムタイヤに、ラッセルがハードタイヤに履き替えた。ただ、アロンソはタイムが大幅に落ち、ラッセルは単独スピンを喫してしまう。

 一方で、2番手のノリスは41周目時点でピアストリとのギャップを1.4秒まで縮めた。コース上でオーバーテイクを仕掛けなくとも、ピアストリへの10秒ペナルティ適用で首位に立てるノリスだが、ファステスト更新ペースを維持し、ピアストリに揺さぶりをかける。

 42周目に4番手ハミルトンがピットイン。ヒュルケンベルグより先にソフトタイヤに交換。この42周目には6台がタイヤを履き替えた。ヒュルケンベルグは翌43周目にミディアムタイヤに履き替え、ハミルトンの7秒前で3番手をキープした。

 44周目、ピアストリがピットに入りミディアムに交換、同時に10秒のタイムペナルティを消化する。ノリスは45周目にミディアムに履き替えると、ピアストリの5秒までコースに復帰する。

 ハミルトンはファステストを更新しつつ、ヒュルケンベルグの背中を追う。1周1秒近くギャップを縮めていたハミルトンだったが、48周目にハミルトンは2秒失うミス。さらにはヒュルケンベルグも自己ベストを更新し続ける好走を見せ、5秒差をキープしてファイナルラップを迎えた。

 52周目を終え、ノリスがトップチェッカーを受け、母国初優勝、自身通算8勝目/今季4勝目を飾った。2位にピアストリ、そして3位に初表彰台となる37歳ヒュルケンベルグが続いた。

 以下、4位ハミルトン、5位フェルスタッペン、6位ストロール、7位ガスリー、8位アルボン、9位アロンソ、10位ラッセルまでが入賞となった。角田は15位となった。

 次戦となる2025年F1第13戦ベルギーGPは7月25〜27日に、スパ・フランコルシャンで開催される。

[オートスポーツweb 2025年07月07日]

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