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「稽古が始まって2週間くらいですが、最初は『私は誰? 私はどこ?』みたいな感じで、完全に迷子でした(笑)。でも今は、周りの方を見て『すごいなぁ』と感動する毎日です」
初舞台にしてシェイクスピアの四大悲劇『リア王』のエドガー役に挑む鈴鹿央士(25)。10月9日の開幕に向け、日々稽古を重ねている。
「ふだんは完成された舞台を見ていますが、稽古では改良を重ねながら作品が練り上げられていく過程を目の前で見られる。『ここを変えるとこんなに違うんだ』と発見ばかりで、こんなに勉強になることを毎日タダで見られるなんて、本当に幸せなことだと思います(笑)」
ボイストレーニングでは、自ら選んだ河島英五の曲で「歌える喉」をつくってきたが、稽古初日は声すら思うように出なかった。
「演出家から『声を5倍出してみましょう』と言われても出なくて。でも今は『もっと声出して』と言われなくなったので、少しは成長できたのかなって思います」
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大先輩の大竹しのぶや宮沢りえからの助言も大きな支えになっている。
「大竹さんが『このセリフの意味を考えて、こう言ってみたらどう?』と丁寧に教えてくださるんです。宮沢さんは自分の稽古がない日にも顔を出していて、僕が迷っていたときに『舞台に上がるとき、エドガーに何が起こったのかを背負って袖から出たほうがいい』と声をかけてくださいました。本当に先輩方に導いていただいている感じです」
映像との違いも改めて感じている。
「映像は心が動けば自然と体も動く感覚がありました。でも演劇は画角が舞台全体だから、映像のように編集に助けてもらえない。全身で役を生きなければいけないと実感しています」
今回演じるエドガーについて、「人間の闇があふれる物語の中で、希望を担う存在」と語り、こう続けた。
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「シェイクスピアは難しいけど、人間の本質を描いているから共感できます。エドガーは正義や信頼を貫く人で、かっこいい。僕もそうありたいけど、なかなか難しいです」
台本は常に手元にあり、シャワー中でも頭から離れないという。
「病気かと思うくらい(笑)。寝るときも抱えているからボロボロです。でもそれだけ取りつかれてるんです」
そして迎える初舞台。しかも相手はシェイクスピアの『リア王』だ。
「正直、不安もあります。でも『やるしかない』。こんなすごい人たちに囲まれて初舞台を踏めるのは幸せですし、ポジティブに楽しみたいです」
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【INFORMATION】
舞台「Bunkamura Production 2025/DISCOVER WORLD THEATRE vol.15『リア王』」は、10月9日(木)より東京、11月8日(土)からは大阪にて上演される。
ヘアメーク:阿部孝介(traffic)
スタイリング:朝倉豊
衣装協力:ジャケット、シャツ、パンツ(すべてNEZU YO-HINTEN)
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