新型『プリフェイスTCR』投入のジーリー・シアン・レーシング、全員残留で4台体制を構築。新規BoPも確定

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2026年05月08日 15:00  AUTOSPORT web

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新型『プリフェイスTCR』を投入するGeely Cyan Racing(ジーリー・シアン・レーシング)
 紆余曲折を経て、今週末に開幕を迎える2026年のFIA TCRワールドツアーに向け、新型『プリフェイスTCR』を投入するジーリー・シアン・レーシングが新シーズンのラインアップを発表。王者ヤン・エルラシェールを筆頭に、テッド・ビョーク、サンティアゴ・ウルティア、そしてマ・キンファの全員が残留しての4台体制を構築し、他のいくつかのモデルと同様に性能調整(バランス・オブ・パフォーマンス/BoP)の新規パラメータを受け取っている。

 中国市場向けの中型Dセグメントサルーンをベースとし、従来の『リンク&コー03 TCR FL』を引き継ぐ格好となった新型『プリフェイスTCR』だが、このオフシーズンはシアン・レーシングの本拠地でもあるスウェーデンのマントープ・パークにて、お馴染みの顔ぶれによるプレシーズンテストを実施してきた。

「吉利汽車(ジーリー)グループとのパートナーシップは、過去10年間でツーリングカーレースの可能性を大きく広げてきた」と語ったのは、そのシアン・レーシング代表であるクリスチャン・ダール。「我々はこれまでふたつのレギュレーション、3つのブランド、そして11の世界タイトルを獲得してきた。新型『プリフェイスTCR』は、我々がともに開発した中でもっとも意欲的なマシンであり、世界舞台での勝利の伝統を継続していく決意だ」

 同じく浙江吉利汽車集団でブランドコミュニケーション担当上級副社長を務めるビクター・ヤンも「プリフェイスは吉利汽車のデザイン、エンジニアリング、そしてパフォーマンスにおける次世代を象徴するものだ」と続けた。

「このモデルを国際ツーリングカーレースに投入することは、製品に対する自信と、モータースポーツ、そしてFIA TCRワールドツアーへの長期的なコミットメントを示すものだ。FIA TCRワールドツアーはグローバルな消費者の間でブランド力を強化するためのプラットフォームとして位置づけられている」

 昨季もドライバーズとチームズの両タイトルを獲得したシアン・レーシングだが、基本的な体制を維持することで新型『プリフェイスTCR』のデビューイヤーでの戴冠とチャンピオン防衛を目論む。

「この選手権で勝利するために何が必要か、我々は熟知している」と応じたシアン・レーシングのチームマネージャー兼CEOであるフレデリック・ウォーレン。「4台のマシン、4名の世界トップクラスのドライバー、そして市販車をベースとした最新のTCR規定ツーリングカーで、初参戦シーズンから結果を出すことに全力を注いでいく」

 チーム最長在籍期間を誇るビョークは、この2026年で15シーズン目を迎え、ウルティアにとっては7シーズン目、マ・キンファは5シーズン目、そしてチャンピオンも8シーズン目のコンビネーションで新年度に挑む。

「守るべき輝かしい実績がある一方で、新たな挑戦も待ち受けている。プリフェイスTCRは非常に有望で、シーズン開幕が待ち遠しいね」とディフェンディングチャンピオンのエルラシェール。「真新しいマシンで新たな章をスタートできるのは、この上なく刺激的だ。このチームととも長年にわたり特別なものを築き上げてきた。プリフェイスTCRでさらなるタイトル獲得を目指して戦う準備はできているよ!」

 改めてイタリア・ミサノ、ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで迎える開幕戦を前に、TCRのライツホルダーであるWSCは、新型『プリフェイスTCR』に対するBoPを発行。最低車両重量は1285kg、出力が97.5%、最低地上高80mmで初陣に臨むこととなった。

 一方、先日のTCRチャイナ開幕戦で2勝を挙げ、華々しいデビューを飾った新規ホモロゲーション・モデルの『リンク&コー03+ TCR』は、最低レース重量が1285kg(+指定バラスト20kg)で最低地上高は80mm、出力は97.5%へと修正されることに。初代は2019年、2代目は実質的なワールドツアー専用モデルとして2023年に登場し、TCR仕様としては3代目にあたる同車は、中国のチームワーク・モータースポーツによって開発され、主に前モデルとは異なるVEA(ボルボ・エンジン・アーキテクチャー)と改良されたボディワークが特徴となる。

 同じく旧型モデルとなった『ヒョンデ・エラントラN TCR』の基準車は、最低重量が10kg増加し1285kg、エンジン出力は97.5%に。そしてヒョンデのトップカスタマーであるBRCレーシングより、ノルベルト・ミケリスとミケル・アズコナを擁してワールドツアーにも出場するアップデート版『ヒョンデ・エラントラN EV TCR』も重量増加の対象となり、同じく最低重量が10kg増加した1285kg、その一方で基準車より大型のターボチャージャーを搭載したエンジン出力は100%となっている。

 さらに『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』は最低重量が10kg減少して1265kgとされ、一方の『アウディRS3 LMS 2』は最低重量が10kg増加しての1265kgと、最低地上高は10mm減少した70mmとされている。

 こうして世界中のTCRシリーズ(耐久レースを除く)に参戦する車両の総合的な性能に基づいて算出される、共通のBoPシステムに基づく数値が公表されるなか、今季のFIA TCRワールドツアーは「独自のBoP(性能調整)システムを導入する」ことをアナウンス。こちらはシリーズ参戦車両の性能に基づいて算出されるという。

 これによりアウディとホンダ、そして『クプラ・レオンVZ TCR』は、それぞれ最低重量が1255kg、1255kg、1245kgとなり早速10kg軽量化されることに。ミケリスとアズコナを除くエラントラも、最低重量が1265kgとなり20kg軽量化される。

 そのFIA TCRワールドツアー初開催地ミサノには、すでに19台のエントラントが集っており、シリーズ撤退が噂されたホンダ陣営のGOATレーシングは、昨季ランキング3位のエステバン・グエリエリのシングルカー体制で続投。ただし、経験豊富な“アルゼンチン・エクスプレス”の代表格は、年間を通して参戦する予定だがミサノ以降のチーム体制はまだ確定していない。

 また、さらなる注目株としては黎明期の2017年にTCRインターナショナル王者を獲得し、日本のスーパーGTではGT500クラスも経験したフランス出身、ジャン-カール・ベルネイが国際舞台に復帰。オーレリアン・コンテとともにSPコンペティションのクプラをドライブする。

 同じくフランス出身者で、TCRヨーロッパではタイトルコンテンダーとして戦ったテディ&ジミーのクレーレ兄弟も、今季のワールドツアーで欧州域内の選抜ラウンドに挑戦することを表明。アウディからALMモータースポーツのホンダに乗り換え、テディは開幕ミサノと第2戦ポールリカール、ジミーはヴァレンシアとヴィラレアル市街地でステアリングを握る予定だ。

「急な参戦で準備期間も短いため、厳しい戦いになることは承知している」と兄弟で共同声明をリリースしたクレーレ・ブラザーズ。「強力なライバルたちと競うことになるが、TCRのトップレベルで戦うことはつねに僕たちの目標だった。チャンスが巡ってきたので迷わず掴んだ。そして何より、兄弟でこのチャンスを分かち合えることが本当にうれしいね!」

 そのほか、ワイルドカード枠でも今週末にサプライズを起こす可能性のあるドライバーが多数参戦し、TCRヨーロッパ王者のジェンソン・ブリックリー(クプラ)を筆頭に、同シリーズを戦うヴィクトル・アンダーソン(クプラ)、ルベン・ヴォルト(ホンダ)らが名を連ねる。

「メキシコでのイベントが延期された後、代替地を見つけることができたのは本当に幸運だった。ミサノは魅力的なロケーションであり、とくにツーリングカーではスリリングなレースが繰り広げられるサーキットだからね」と語ったのは、お馴染みTCR規定の生みの親でもあるWSC会長のマルチェロ・ロッティ。

「今季は競技面でも観戦面でもいくつかの新しい要素があり、例えばレース1での最速ラップタイムは、レース2のグリッド順位をひとつ上げる権利が授与される。TCR初期のチャンピオンであるジャン-カール・ベルネイと、昨年のミサノで開催されたTCRヨーロッパで優勝したテディ・クレーレが復帰することも大変喜ばしく思う。同じくTCRヨーロッパチャンピオンであるジェンソン・ブリックリーの参戦も、TCRのステップアップシステムがうまく機能していることを改めて証明するものだ。開幕が待ち切れないね!」

[オートスポーツweb 2026年05月08日]

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