日本バドミントン協会でまたもミスが発覚した。13日、デンマーク・オープン(10月15〜20日)のエントリー漏れが明らかとなり、女子ダブルスの五十嵐有紗(旧姓東野、28=BIPROGY)桜本絢子(29=ヨネックス)組が出場を取りやめる事態となった。協会による大会出場の手続きミスは3年連続。同日に地元の北海道・岩見沢市役所を表敬訪問した五十嵐は「何回も言っているんですけど…」と不満をあらわにした。
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五十嵐は怒っていた。「こういうことがないようにと、何回も言っているんですけど…」。故郷での晴れの場で、日本協会の申請ミスにより、デンマーク・オープンに出場できなくなったと切り出した。
8月下旬に渡辺勇大との混合ダブルスを解消し、28年ロサンゼルス五輪を目指して女子ダブルスへ転向。11日閉幕の全日本社会人選手権では新ペアで準優勝し、さあ初の国際大会へ…と見通していた。その矢先の不手際。パリで手にした2大会連続の銅メダルを首に下げながらも、表情はさえなかった。
その約4時間後、同協会はエントリー漏れを公表。所属先から6日発表のエントリーリストに2人の名前がないと連絡があり、申請作業の誤りが発覚した。書面を通じ「多大なるご迷惑をおかけしましたこと、日本協会として深くお詫び申し上げます」と謝罪。代替大会へ派遣する方針で協議を進めるとしている。
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パリ五輪後、代表の海外遠征は従来の協会派遣と所属チームによる自費派遣に加え、協会と所属チームによる共同派遣が始まった。大会エントリー業務の複雑化もミスの原因だという。
ただ、協会による申請不備は3年連続。広報担当者は「不備の全てが同じケースとは言いがたい面もある」としつつ「ミスはミス。申し訳ない。全体のフローを見直し対策する必要がある」と危機感を募らせた。
協会では22年に公金横領事件が発覚。本年度の強化費は前年度比で約5億円減の約3億円となり、今夏の五輪前には日本代表合宿も大幅に縮小されていた。
その厳しい状況下でも、パリでは2種目で銅メダルを獲得。選手の奮闘で光が見え始めたが、またも協会が水を差す格好となった。五十嵐は「怒りとかいろいろ(な思いが)あった。(今後は)起こらないようにしてほしい」と訴えた。組織の抜本的な改善が求められる。【中島洋尚、藤塚大輔】
<日本協会による申請不備>
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▼16年2月 07年から毎年4月に実施していた大阪国際チャレンジが、手続きミスにより開催できなくなった。開催申請の締め切り変更に気付かず、4カ月の手続き遅れとなったため。
▼22年8月 ジャパン・オープンに出場予定だった混合ダブルスの緑川大輝、斎藤夏組のエントリー時、斎藤を、当時同じ所属先の元代表で女子シングルスの姉・栞で誤登録。同ペアは大会に出場できなかった。
▼23年7月 カナダ・オープンで、女子シングルス大堀彩の入国手続きで協会側にミスがあり欠場。協会が代表選手の入国手続きをオンラインで行った後、大堀に健康診断の書類を追加提出するように求められていたが、見落としていた。
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