
盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん
『R-1ぐらんぷり』第16代王者にして、盲目のピン芸人・濱田祐太郎のコラムが週刊プレイボーイで好評連載中! その名も「盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の『死角からの一撃』」。
第24回は、主役を務める新喜劇について。
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突然ですが、目の見えない芸人・濱田祐太郎、タップダンスに挑戦します。マジです。
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5月29日に、なんばグランド花月で僕が主役の新喜劇をやるんですけど、その中でタップダンスをやることになったんです。
そもそも、この新喜劇をやることになったきっかけは、間寛平さんに食事へ連れていってもらったときのことでした。
その席で僕が、お酒を飲んでいた勢いで「僕の持っているつえと、寛平師匠が新喜劇で暴れるときに使っているつえで、シバキ合い対決がしたいです!」と言ったら、寛平さんが「おまえ、それめっちゃおもろいやん!」と言ってくださったんです。
そのときは「酔った若手の発言にも乗ってくれるなんて、めっちゃいい人だなあ」くらいに思ってました。そうしたら食事会の後半、寛平さんが真剣なトーンでこう声をかけてくださったんです。
「おまえは偉いな。絶対に売れなアカンで。さっきの話、おまえが本気でやる気あるなら協力するで。やってみるか?」と。そこで僕が「やります」と答えたことから、「間寛平プレゼンツ」という形で実現したんです。
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まさか自分が新喜劇で主役をできるなんて思ってもいませんでした。だから、寛平さんは僕にとって芸能界の恩人です。配信もあるので、来られない方は、よかったらオンラインで見てくださいね。
ではそんな今回の新喜劇で、なぜタップダンスに挑戦することになったのかですが、打ち合わせでスタッフさんに「タップダンスと、アンコウのつるし切り、どっちにチャレンジする?」と聞かれて、「その2択ならタップダンスかな」と答えたからです。
それで今まさに練習の真っ最中なんですけど、目が見えないとやっぱりひと筋縄ではいきません。例えば、ステップの途中で体が右側へズレても、自分ではそのことに気づけない。目で位置を確認できないので、ポジションをキープするのがとても難しいんですよね。
もしかしたら本番では、タップをやりながら少しずつ右にズレていって、そのまま舞台袖に消えていく可能性もあります。そのまま外にあるたこ焼き屋まで行って、焼いてる途中のたこ焼きをひっくり返してる可能性もあります。
さすがにそれは難しすぎるか。というかその前に誰か止めてくれ。
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タップダンスを教えてくれているのは、新喜劇の若手メンバー、野呂桃花さんです。学生時代に5年ほどタップダンスをやっていたらしいです。ただ、野呂さんは芸歴2年目で、僕は芸歴14年目。彼女からしたらめっちゃ先輩になるので、たぶんものすごく気を使ってくれています。
だって、練習中に僕自身が「全然足が動かなかったなあ」と思っても「バッチリです!」と言ってくれるんですから。思わず「いやいや、今のはおっさんが足をバタバタさせてただけやで?」と言いそうになります。
それで「あかんところがあったら、どんどん言って大丈夫やから」って言ったら「わかりました! えっと、足を動かすときはしっかり膝を曲げましょう。前に足を踏み込むときはちゃんと体重を乗せて、ジャンプのときは両足をそろえてピシッと跳びましょう。クロスした腕を開くときは指先までピンと伸ばしましょう。あ、あと肩が前に行きがちなので、胸を張って上に引き上げる感じの姿勢にしてください」って。
いや、どこがバッチリやねん。改善点だらけやないか。とまあ、そんな感じで新喜劇本番に向けてタップダンス頑張ってます。
●濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう)
1989年生まれ、兵庫県神戸市出身。2013年より芸人として活動を開始し、『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ)で優勝。関西の劇場を中心に舞台に立つほか、テレビやラジオなどでも活躍。公式X【@7LnFxg25Wdnv8K5】
撮影/梅田幸太

