三陸沖の水温上昇、過去最大=黒潮の異常進路で―東北大

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2025年02月14日 21:01  時事通信社

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2023年4月から24年8月までの、海水温の平年比較。三陸沖で6度以上高い状態になっている(東北大・杉本周作准教授提供)
 三陸沖の海水温が2023年以降、平年より6度以上高い状態が続いていることが、東北大などの研究チームの解析で分かった。22年末から続く黒潮の異常な北上が原因で、上昇幅は世界の海と比較しても過去最大。水産業への影響や豪雨など異常気象との関連が懸念される。論文は14日までに、日本海洋学会の英文国際誌に掲載された。

 黒潮は九州の南から太平洋を北上する暖流。本来は房総半島沖で東に向かうが、22年末ごろから三陸沖を北上し、昨年4月には青森県沖に達した。

 東北大の杉本周作准教授らは、人工衛星や観測航海で得られた水温データを解析。23年4月から昨年8月までの間、三陸沖の海面水温は平年と比べ6度以上高い状態が続いていた。また、塩分濃度の解析から、黒潮の北上でもたらされた南方の暖かい海水が、水温上昇を引き起こしていることも分かった。影響は水深700メートルまで達し、海面からの熱は上空2000メートルの気温も上昇させていた。

 黒潮の異常進路は、和歌山県沖で南に大きく蛇行する「大蛇行」が17年以降続いていることや、北海道から三陸沖に南下する寒流の親潮が弱まっていることなどが原因の可能性があるという。

 杉本准教授は「生き物や水産資源、気象にも影響があるはずで、海水温上昇が私たちの暮らしにどういう影響があるかを評価したい」と話した。 

2022年末ごろから続く、黒潮の異常な北上を示す図(東北大・杉本周作准教授提供)
2022年末ごろから続く、黒潮の異常な北上を示す図(東北大・杉本周作准教授提供)

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