ナナフシモドキのオスとメス、交尾の様子(下)(基礎生物学研究所・野崎友成助教提供) 木の枝に擬態する昆虫ナナフシの仲間で、メスだけで子孫を残す単為生殖のナナフシモドキの生態を調べている基礎生物学研究所(愛知県)などの研究チームが、染色体異常によってごくまれに生まれるオスには、生殖機能がないことを突き止めた。メスと交尾はするものの、生まれた卵からオス由来の遺伝子は検出されなかった。論文は、15日までに国際科学誌エコロジーに掲載された。
ナナフシモドキは日本各地に生息しているが、オスはこれまでに国内で数十例程度しか報告がないといい、機能や役割があるのか未解明だった。
同研究所の野崎友成助教と福島大の兼子伸吾准教授らは、博物館やアマチュア研究者らの協力を得て、4年かけてオスのナナフシモドキ7匹を採集。メスに比べ細長い体形で、生殖器や交尾時にメスの身体をつかむ器官があるなどの違いがみられたほか、うち3匹はメスとの積極的な交尾行動が確認された。
しかし、交尾後に生まれた卵を調べると、発育していた胚すべてから母親と同じ遺伝子型が検出され、単為生殖だったと分かった。また、オス2匹の体内で正常な精子が形成されておらず、1匹は精巣が卵巣に変化していたことも分かった。