
目で見える疾患は症状が伝わりやすい一方、周囲からの視線に心を抉られることがある。体に地図状赤あざができる「クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群」も、そんな疾患のひとつだ。
【写真】現在の右足の様子…生まれつき赤アザと黒い斑点が多くあったそうです
大阪市で暮らすmさん(@stme_s2)は、4歳の息子・たつくんがクリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群である。
「あまり知られてない病気ということもあり、将来、見た目の問題でいじめなどがないか不安に思うことがあります」
生まれつき、右足に赤アザと黒い斑点が多くあって…
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は、血管やリンパ管の構造・機能に問題が生じる先天性の病気だ。指定難病として認められており、日本の患者数は約1500人と言われている。
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症状は個人差が大きい。特徴的な地図状の赤あざが見られるだけでなく、四肢の大きさや形に左右差が生じることもある。
たつくんは生まれつき、右足に赤アザと黒い斑点が多くあった。出産した産婦人科で静脈奇形であると診断されたことから、小児医療センターへ通院するようになる。
mさんは、必死で情報を検索。やがて、症状からクリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群を疑い始めた頃、通院先の病院から大学病院の受診を進められた。
そして、大学病院で検査をした結果、たつくんはクリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群であると正式に診断されたのだ。
レーザー治療も乗り越えて…通院を頑張る我が子を見守る日々
病名を知ったmさんは戸惑い、大きな不安を感じたそう。クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は現代の医学では、根治が難しい。たつくんの症状は、小児医療センターと大学病院で連携して経過観察をしていくことになった。
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通院は、半年に1度。現在、たつくんはたびたび血管腫から出血があり、少し痛みが出てきているそう。mさんは出血時、絆創膏やガーゼなどで圧迫止血をする。
なお、2歳半頃までは3カ月に1回、麻酔をしながらあざのレーザー治療を受けていたが、たつくんは毎回、激しく泣き喚いていたため、精神的に継続することは難しいとの判断が下されたという。
「息子の場合は血栓ができやすく、血栓が肺に飛ぶと命の危険があると言われています。あまり知られていない病気であるからこそ、多くの方にこういう病気があるということを知って頂けるだけで、心が少し楽になります」
「医療費助成の対象となる治療が広がってほしい」
そう話すmさんは、医療費助成の対象になる治療が広がることも願っている。例えば、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群の場合、弾性ストッキングを装着する圧迫療法によって腫れや痛みを軽減できることがあると言われているが、治療は自費だ。
「弾性ストッキングは、実費で3万5千円ほど。替えも必要なので2足だと、7万円ほどかかります。ストッキングは足の成長に伴って買い替える必要があるので、半年ごとに7万円ほどかかるんです」
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クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は成長が進むにつれて、病状が悪化する病気であると言われている。
「痛みが出る子や血管腫から頻繁に血が出る子、足の左右の大きさ・長さが違うなど症状は様々です」
だからこそ、この先、我が子にどんな症状が現れても、ありのままの姿が普通に受け止められてほしい、好奇の視線で息子が傷つかない社会であってほしいとmさんは強く願う。
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は2024年に新薬が承認されるなど、少しずつ治療の選択肢が広がりつつある疾患だ。医療業界と当事者の頑張りを、周囲は温かい眼差しで見守っていきたい。
(まいどなニュース特約・古川 諭香)
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