
家電量販店には最新の有機ELテレビや4K/8K対応テレビなど、大きくで鮮やかな画面のテレビに足を止めて見入ってしまった経験はありませんか? そのくらい最近のテレビは高画質・高性能になっていますが、一方で電気代も気になるところです。
家電製品は一般的に、最新のものほど省エネ性能は高くなります。そこで今回は、10年前のテレビと比べて、どのくらい電気代が安くなっているのか比較してみました。テレビの買い替えを検討している人はぜひ参考にしてください。
●10年前のテレビと最新テレビ、消費電力を比較してみた
10年前のテレビと最新テレビの消費電力を比較してみましょう。消費電力は、テレビの種類や画面サイズなどで変わってくるので、10年前と比較ができる液晶テレビで、画面サイズ別に比較してみます。
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2014年製のテレビの消費電力は、経済産業省資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ2014年冬版」の画面サイズ(V型)ごとの平均値を参照、2024年製のテレビの消費電力は「ソニー」と「レグザ」の商品カタログを参照しています。
2014年製のテレビの消費電力
32V型:消費電力64W
40V型:消費電力105.9W
50V型:消費電力171W
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55V型:消費電力219W
65V型:消費電力335W
2024年製のテレビの消費電力
・ソニー
32V型:消費電力68W (ハイビジョン液晶テレビW500Eシリーズ)
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40V型:消費電力114W (4K液晶テレビX80Lシリーズ43V)
50V型:消費電力151W (4K液晶テレビX80Lシリーズ)
55V型:消費電力213W (4K液晶テレビX80Lシリーズ)
65V型:消費電力241W (4K液晶テレビX80Lシリーズ)
・レグザ
32V型:消費電力68W (ハイビジョン液晶レグザV35Nシリーズ)
40V型:消費電力83W (ハイビジョン液晶レグザV35Nシリーズ)
50V型:消費電力229W (4K液晶レグザZ670Nシリーズ)
55V型:消費電力233W (4K液晶レグザZ670Nシリーズ)
65V型:消費電力283W (4K液晶レグザZ670Nシリーズ)
以下は、2014年モデルと2024年モデルの消費電力と、1時間あたりの電気代を比較した表です。
画面サイズごとに「もっとも消費電力が少ないもの」「もっとも電気代が安いもの」を赤字にしています。これによると、2014年製の方が電気代が安いものもあれば、高いものもあるなど、明確な差はありませんでした。
これは、最新のテレビが技術進化で省エネ性能が上がっても、高画質を追求することで消費電力は増える傾向となり、結果的に10年前のものとあまり変わらなくなっていると推測できます。
●液晶テレビと有機ELテレビの比較
テレビの種類として、最近よく耳にするのが「有機ELテレビ」です。液晶テレビとどう違うのでしょうか。
有機ELテレビは、画面自体が発光する「自発光ディスプレイ」を採用したテレビです。従来の液晶テレビはバックライトで画面を照らしますが、有機ELは1つ1つの画素が自ら光るため、バックライトが不要です。そのため、黒い部分は完全に消灯でき、より深い黒を表現できます。
また色の再現力に優れ、映像が鮮やかでリアルに見えるので、映像に立体感や精細感を感じることができます。
2024年製の液晶テレビと有機ELテレビの消費電力と、1時間あたりの電気代を比較してみましょう。
・ソニー
55V型:消費電力213W (4K液晶テレビX80Lシリーズ)
65V型:消費電力241W (4K液晶テレビX80Lシリーズ)
55V型:消費電力351W (4K有機ELテレビXR80シリーズ)
65V型:消費電力449W (4K有機ELテレビXR80シリーズ)
・レグザ
55V型:消費電力233W (4K液晶レグザZ670Nシリーズ)
65V型:消費電力283W (4K液晶レグザZ670Nシリーズ)
55V型:消費電力445W (4K有機ELレグザX9900Nシリーズ)
65V型:消費電力561W (4K有機ELレグザX9900Nシリーズ)
液晶テレビよりも有機ELテレビの方が消費電力が高く、電気代がかかることが分かります。
●ハイビジョンテレビと4Kテレビの比較
「4Kテレビ」という言葉もよく耳にしますね。一般的なテレビとどう違うのでしょうか。
4Kテレビとは、フルハイビジョン(1920×1080ピクセル)よりも高解像度な3840×2160ピクセルの映像を映し出せるテレビのことです。4Kの「K」は単位の「キロ」を表しており、水平方向の画素数が約4000あることから4Kテレビと呼ばれています。
画素数が約4倍に増えたことで、映像が緻密で鮮明になります。
ただし、4K対応の衛星放送や映像を見る場合でないと意味がなく、現在地上波は4Kに対応していません。今後、4K対応の放送チャンネルや動画配信サービスが増えていくと思われます。一部のメーカーでは8Kテレビも登場しています。
2024年製のハイビジョンテレビと4Kテレビの消費電力を比較してみましょう。
現在大きいサイズのテレビはほぼ4Kとなっているため、40V・43Vで比較してみます。
・レグザ
40V型:消費電力83W (ハイビジョン液晶レグザV35Nシリーズ)
43V型:消費電力151W (4K液晶レグザZ670Nシリーズ)
・シャープ
43V型:消費電力72W (液晶テレビアクオス2T-C43GF2)
43V型:消費電力149W (4K液晶テレビアクオス4T-C43GN2)
ハイビジョンテレビより4Kテレビの方が消費電力が高く、電気代がかかることが分かります。
●最新のテレビを買っても電気代の節約にはならない
テレビは高画質を追求すると、消費電力が大きくなってしまうため、技術革新によって省エネ性能が上がっても、電気代は10年前とそれほど変わらないようです。有機ELや大型の4K/8Kのテレビになると、消費電力はさらに大きくなるため、「最新のテレビを買ったら電気代が上がってしまった」というケースもあるかもしれません。
ただし、10年前のテレビが65V型以上の大型テレビであれば、買い替えによって電気代を節約できる可能性があります。買い替えの際には、省エネ性能をチェックしましょう。
テレビの買い替えは、電気代の節約にはあまり結びつかないものの、買い替えることで、より高画質な映像を楽しむことができます。また、薄型・軽量なデザインのテレビも多く登場しています。電気代は割り切って、最新テレビの映像美に圧倒されるのもよいかもしれませんね。