「1円パチンコは赤字でもOK」パチンコ店長が“儲かるカラクリ”を暴露。20スロと5スロの「利益率が変わらない」ワケ

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2025年06月14日 09:01  日刊SPA!

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 1円パチンコの登場からおよそ20年。今では、どこのホールでも見かけるようになり、バリエーションも豊かになった「低貸コーナー」だが、ホールさんにとってはどのような存在なのだろうか。
 売上や利益面において、もはや欠かせない存在なのか、もしくはお客さんへのサービスの一環として利益度外視でやっているのか。

 そこで今回は、関東近郊で10店舗以上展開しているチェーン店で店長を務めるS氏にお話を伺ってみた。

◆稼働好調の低貸が主力となっている

 S氏のお店のパチンココーナーは、4パチと1パチがほぼ同数。パチスロは3分の2が20スロ、残りが低貸コーナーの5スロと2スロという構成になっている。まずは、稼働状況について聞いてみた。

「今、ウチのパチンコは1パチが主力ですよ。なんなら、動いていない4パチを1パチコーナーにして、1円7割、4円3割にしたいくらいですね。あと、パチスロの5スロは全てスマスロにしているので稼働はいいし、利益率も20スロと同じくらいは取れています」

 利益率が同じとはいえ、売上は20スロの4分の1となる5スロ。多少、稼働率が良かったとしても、お店側の儲けを考えると高設定台などはあまり使えないような気もするが……。

「いやいや、設定の配分は20スロと低貸でそんなに変わらないですよ。ちゃんと出玉状況を見て小まめに設定の上げ下げをして、高設定も使っています。むしろ、2スロではほぼ利益を取っていません。赤字になったとしても大した金額にはならないし、ちゃんと高設定を入れると『あの店は普段から高設定を使っている』っていうイメージが付くので、客寄せとして使っています」

◆低貸メインで採算は取れるのか

 売上が少ない2スロは、逆に考えると赤字になっても被害が少ない。そこで、利益は取らずお客さんを集めているというわけだが、使っている機械自体は20スロと同じもの。機械代などの必要経費と売上を考えたときに、低貸メインでやっていけるのだろうか。

「そこは、ウチがチェーン店だからやっていけている部分もあります。他の強めの店舗が新台を買うときに少し多めに買ってもらって、早めにウチに回してもらうことも多いので。新台に一切頼っていない分、4パチや20スロに比べると機械代がそこまでかからないから低貸でも十分に成立するんですよ」

◆低貸ファンは勝ち負けよりも楽しさ優先

 チェーン店の強みを活かし、機械代を抑えることで売上が4分の1の低貸コーナーでも成立しているS氏のお店。さらに、5スロファンには20スロファンとは異なる特徴があり、それも一つの要因だと語る。

「5スロのお客さんって、とにかくヤメないんですよ(笑)。少しでも長い時間打ちたいと思っている人が多いので。例えばですが、専業以外の一般ファンの方が20スロで一撃5000枚オーバーしたら即ヤメする人が多いのですが、5スロのお客さんは開店早々に5000枚出たとしても夕方にはゼロになっている人をよく見かけます。あまり勝ち負けにこだわらずに思う存分パチスロを楽しんでいるから、基本的に出たメダルは全部突っ込んで帰っていくので、お店としては確実に儲かるんですよ」

◆目的が違うから勝ちに執着しない!?

 勝ち負けの振れ幅が大きい分、シビアに立ち回る4パチ・20スロファンに対して、あまり勝ち負けにこだわらない低貸ファン。この違いは、そもそもの目的が異なるからという点もあるそうだ。

「今のパチンコ・パチスロって、時間とお金がないと遊べないじゃないですか。ぶっちゃけ、お金は借金すれば用意できるけど、時間は借りることができません。だから、専業以外のお客さんって時間を持て余している人がほとんど。しかも、いろんな事情があって家にいたくない、帰りたくない人が多い。そういった人たちが、なるべく少ない資金で長時間楽しむために低貸コーナーを選ぶわけで、そもそも時間を潰すのが目的だから勝ちに執着していないんですよ」

◆ホール側は「今の状況の方がありがたい」

 低貸コーナーは、あまり勝ち負けにこだわらずゲームセンター感覚で遊んでくれるお客さんが多いから、売上自体が少なくても成立するということなのだろう。

「不況だなんだ、契約や派遣ばかりで正社員になれず大変だという声をよく聞きますが、もしも正社員の割合が高くなったらヒマな人が減ってパチンコ店に来るお客さんも減るでしょうね。だから、こんな風に言ったら怒られるかもしれませんが、ホール側の人間としては今の状況の方がありがたいです(笑)」

◆低貸をメインにするもう一つの理由

 低貸コーナーを主力にお店を切り盛りしているS氏。だが、決してこれはベストな状態ではなく中・小ホールならではの事情があり、大手チェーンに対抗するべく苦肉の策としてやっている部分もあるという。

「手っ取り早く儲けるならやっぱり新台なんですよね。新台ってだけで飛びつくお客さんが未だに多いから。しかも、甘い調整や高設定を入れなくも打ってくれるし。だから、4パチ、20スロにバンバン新台を入れるパワー営業が一番儲かるのですが、とにかくお金がかかる。こんなことができるのは潤沢な資金がある大手チェーンだけ。資金力のない中・小のホールでは太刀打ちできません。同じ土俵で戦えない以上、我々としては低貸に活路を見出して大手との差別化を図っていくしかないんですよ」

◆二極化しているこの業界の未来は?

 4パチや20スロの新台で集客を目指す大手ホールと、機械代を抑えて低貸で対抗する中・小ホール。また、遊技機に対してギャンブルとして接する4パチ・20スロファンと、ゲーム感覚で接する低貸ファン。

 そんな、ホールもプレイヤーも完全に二極化しているパチンコ業界。もしも、この流れがさらに激化していったとき、その先に待っている未来は繁栄か衰退なのだろうか。

 決して破滅へ向かうカウントダウンではないことを願うばかりである。

取材・文/サ行桜井

【サ行桜井】
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。

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  • 全国どこ行ってもだいたい偶然特殊景品に替えれて店を出ると偶然特殊景品を換金してくれる店がある。全て偶然が重なってるだけの奇跡
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