外国人観光客が居酒屋の“お通し代”に「クレイジー!」対応に苦慮する飲食店の嘆き

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2025年06月14日 09:01  日刊SPA!

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※写真はイメージです
 インバウンド需要に沸く日本。しかし、日本と海外では常識やマナーに関する認識が異なることも多く、全国各地の飲食店では外国人観光客の対応に従業員が苦慮する場面も少なくないという。
◆3600円のお通し代に「クレイジー!」

 金倉ももかさん(仮名)は、観光地の中心から少し離れた居酒屋で、外国人観光客のグループと従業員のトラブルを目撃した。

「どこの国かはっきりとはわかりませんが、インドかネパール、あるいはスリランカ系の6人組が入ってきました」

 その店には観光客も多く訪れるのか、写真付きのメニュー表が用意されていた。外国人客たちは「コレ、コレ!」とメニュー表を指差して注文していたという。

「彼らは料理の到着を楽しみにしている雰囲気でした」

 注文した料理が届く前に従業員から「こちらは“お通し”です」と、テーブルに小皿が運ばれた。

「メンマをおかかで和えたようなお通しは、彼らにとって珍しかったようで、とても大きなリアクションで喜んでいました。アルバイトっぽい店員さんが『お通しはサービスではないです』と簡単に説明はしていたのですが、声が小さく、外国の方々は盛り上がっていたので、“ちゃんと聞こえているのかな?”と少し気になっていました」

 それが後に“事件”へと発展する……。

◆会計時に外国人観光客が激怒

 彼らはお通しを口に入れるたびに大きなリアクションをしていた。気に入ったのか、従業員を呼ぶと「もう一回欲しい」とジェスチャーを交えて伝えた。

「店員さんがお通しを人数分運んできて、それを見てまた喜んでいました。他の料理も届き、完食されていましたね」

 そして、お会計の時間がくると……。

「急に『ノー!ノー!』という叫び声が聞こえてきて、他のお客さんもザワザワし始めました。やはり、彼らはお通しがサービス(無料)だと思っていたようでした」

 お通しは1つ300円で、6人分で1800円、おかわりしていたので、お通しだけで3600円になっていたという。

「まぁ、私もお通しに対して、“勝手に出しといてお金とるのかよ!”って思っていた時期もあったので、納得いかない気持ちもわかるのですが、食べたのだから支払わなければならないものなんですよね」

 彼らは「ノー!ノー!ノー!」「クレイジー!」などと大騒ぎ。従業員は困り果てていた。

「店の奥から店長のような人が出てきて、翻訳アプリを使って説明されていました。それで納得したのか店側が何かサービスしたのかわからないですが、なんとか騒ぎは収束しました」

 金倉さんは、外国人観光客の大騒ぎに驚きつつも、店側の対応にも改善の余地があると感じたという。

「たしかに、店側もきちんと英語などで説明したほうがいいかなと思いましたね」

 お通しのような日本独自の文化は、外国人観光客にとっては理解が難しい部分かもしれない。店側としては余計な手間と時間を要することになるが、事前の丁寧な説明が重要になってくる。

 ちなみに筆者(藤山ムツキ)は、インドやネパールを旅していた時期があるのだが、現地の食堂などで定食を頼むと、おかずのおかわりが当たり前で(それも店側から勝手に出してくる)、1回までは“おもてなし”(サービス)として無料のことが多かった。そんな共通点もあるため、彼らは勘違いしてしまった可能性もある。

◆「この店は中国人の味覚に合わない料理しかない」と怒鳴られて…

 外国人観光客のマナーについて、渋谷の飲食店に勤める田中麻衣さん(仮名)がこう話す。

「最近は食べたあとの光景で、どこの国の人が座っていたのか大体分かるようになりました。中国人で特に目立つのが、食べ散らかした残骸です。

 彼らは大量にオーダーを入れて、みんなでシェアします。テーブルのあらゆるところに食べカスが飛び散っており、ポテトや唐揚げなどのおかずは必ず床に落ちている……。まるで小さな子どもがご飯を食べた後のような感じで、毎回愕然としながら片付けていますね」

 また、店員への態度も問題になることがあるようだ。

「以前、『なんで中国人の味覚に合わない料理しかないんだ!』と、中国語訛りの英語でお叱りを受けたことがあります」

 このような無理難題に対して、田中さんは毅然とした対応を取った。

「ここは日本であって、日本人向けの料理なのは当たり前です。なので、『ここはそういう料理しか出せない。それが嫌ならもう頼まないでください』と、私も英語で答えました」

 不満を抱いた外国人観光客は食い逃げするケースも少なくないそうで、田中さんはお会計が終わるまでしっかり見届けたという。
 
◆コンビニで買ったお酒を持ち込んで騒ぐ欧米人も…

 もちろん、問題行動を起こすのは中国人観光客だけではない。

「他店でテイクアウトしたスイーツや、コンビニで買ったお酒をそのまま持ち込んで飲んでいる欧米系の若者グループが多いです。あまりにうるさくするので、他のお客様からクレームが入ることもあります。

 あとは、洋服や靴を購入した際の空き箱や紙袋などのゴミをそのまま置いていく人もいますね。当然注意するのですが、結局うちはチェーン店なので、本部からは『あまり刺激をしないように』と、なるべく大目に見るように言われています。正直、外国人観光客の迷惑行為で従業員のストレスは溜まる一方ですね」

 外国人観光客は増加の一途を辿っているが、対応が間に合っていない。その一言に尽きるだろう。

<文/藤山ムツキ>

【藤山ムツキ】
編集者・ライター・旅行作家。取材や執筆、原稿整理、コンビニへの買い出しから芸能人のゴーストライターまで、メディアまわりの超“何でも屋”です。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』『10ドルの夜景』など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』シリーズほか多数。X(旧Twitter):@gold_gogogo

このニュースに関するつぶやき

  • 日本人でもモメるんだから、店側がきちんと料金として明示と説明しなきゃいかんだろ。
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