フジ第三者委員会 中居正広氏が主張する自らの守秘義務解除について回答/全文

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2025年05月22日 18:06  日刊スポーツ

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日刊スポーツ

フジテレビ(2025年1月撮影)

フジ・メディア・ホールディングス(FMH)とフジテレビ(CX)が設置した第三者委員会(竹内朗委員長)が22日、元タレントの中居正広氏(52)の代理人弁護士が第三者委員会が出した報告書への関連資料の開示請求、本調査報告書の問題の指摘および釈明の要求について回答した。


中居氏の代理人弁護士は5月12日、文章で第三者委員会の報告書について「中立性、公平性を欠いていると言わざるを得ない」などと反論。さらに中居氏も守秘義務解除を提案したものの、第三者委員会から「2人の密室で何が行われたかが直接の調査対象ではない」という回答があったため、守秘義務の解除に応じなかったという報告書に反論していた。


以下、第三者委員会が中居氏の代理人弁護士に宛てた「受任通知兼資料開示請求及び釈明要求のご連絡」との回答全文。


冠省 第三者委員会(以下「委員会」といいます)は、貴職らより2025年5月12日付「受任通知兼資料開示請求及び釈明要求のご連絡」を拝受いたしました。内容を検討したうえで、以下のとおりご回答申し上げます。なお、本書面の表記につきましては、当委員会の2025年3月31日付調査報告(公表版)の表記に揃えています。


第一 本調査報告に関わる証拠等の開示の請求


ご請求をいただいた資料につきましては、開示を差し控えます。


その理由は、<1>当委員会はFMH及びCXに対して守秘義務を負っていること、<2>当委員会が準拠した日本弁談士連合会「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」は、「第三者委員会が調査の過程で収集した資料等については、原則として、第三者委員会が処分権を専有する。」としていること、<3>当委員会が調査の過程で収集した資料等を一部の関係者に開示することは、当委員会を信頼して調査にご協力いただいたその他の関係者の当委員会に対する信頼を損ない、当委員会の独立性・中立性をも損なう結果となることから、適切でないと判断したことにあります。


なお、「性暴力があったとの認定は、どのような証拠に基づいてされているのか、その証拠と、認定と証拠との対応関係がわかる資料」とのご質問につきましては、下記第二の2をもってご回答といたします。


第二 本調査報告書としての欠陥に関する疑問と釈明要求


釈明要求をいただいた点につきましては、当委員会にて次のように論点を整理して、順にご回答申し上げます。


<1>当委員会は本事案(※注 本事案案とは、調査報告書=公表版=27頁7−8行目に記載したとおり、2023年6月2日に女性Aが中居氏のマンションの部屋に入ってから退室するまでの間に起きたことを指します)について調査をする必要があったのか


<2>本事案についての当委員会の事実認定は適切だったのか


<3>本事案について世界保健機構(WHO)の定義を用いたのは適切だったのか


<4>当委員会の中居氏に対する義務の解除に向けた折街は適切だったのか


<5>本事案についての当委風会の姿勢に中立性・公正性・公平性はあったのか


1 <1>当委員会は本事案について調査をする必要があったのか


調査報告(公表版)1質に記載したとおり、当委員会への調査委嘱事項には、「本事案への当社の関わり」「当社が本事案を認識してから現在までの当社の事後対応」「当社の内部統制・グループガバナンス・人権への取組み」が含まれます。


そして、当委員会が本事案についての「当社の関わり」「当社の事後対応」及び「当社の内部統制・グループガバナンス・人権への取組み」について調査をして評価をするためには、その前提となる「本事案」についても調査をして、その人権上の意味づけや人権侵害の重大性について評価をすることが必要不可欠でありました。


したがって、当委員会は、本事案についても調査委嘱事項に含まれるものと判断し、必要な調査をいたしました。


2 <2>本事案についての当委員会の事実認定は適切だったのか


調査報告書(公表版)26−27頁に記載したとおり、本事案そのものについては、女性A及び中居氏は双方に対して守秘義務があることから当委員会は中居氏及び女性Aからヒアリングを行うことができなかったため、具体的な行為態様については明らかでない部分がありました。したがって、当委員会は、


・守秘義務を負う前の女性AのCX関係者への被害申告(本事案における具体性のある行為態様が含まれる)


・女性Aに生じた心身の症状(本事案直後から重篤な症状が発生して入院に至り、PTSDと診断された)


・本事案前後の女性Aと中居氏とのショートメールでのやりとり(本事案における具体性のある行為態様及び女性Aの認識が含まれる。なお、中居氏は、女性Aとのショートメールでのやりとりは削除済みと述べた)


・CX関係者間の報告内容、関係者のヒアリング、客観資料、CX関係者からの被申に関するヒアリング結果、両者の守秘義務解除要請に対する態度(女性Aは当委員会に対する全面的な守秘義務解除に同意したが、中居氏は守秘義務の解除に応じなかった)


・女性Aと中居氏の委員会のヒアリングにおける証言内容・証言態度


などをもとに、日本弁護士連合会「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に基づき、各種証拠を十分に吟味して、自由心証により事実認定を行いました。


貴職らは伝聞証拠等に基づいて事実認定したことを問題視されるようですが、たとえば、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントの事案においては、ハラスメントの具体的な行為態様を直接に証明する客観的証拠が存在しないことが多く、その場合に、行為の前後の客観的状況や関係者の供述証拠ないし伝聞証拠に基づいて間接事実を積み上げて事実認定することは、調査実務において一般的なことであり、自由心証による事実認定の手法として合理性があることから、当委員会の事実認定は遊切であったと考えております。


また、中居氏には当委員会のヒアリングにおいて長時間にわたり真摯にご協力をいただいたものと考えており、中居氏の証言内容や証言態度についても、重要な証拠として十分に吟味して事実認定をしております。


もっとも、関係者の証言内容を調査報告にどれだけ引用するかは、当委員会の編集権限の範囲内にあるものと考えております。そして、本事案の前の客観的状況について、中居氏が、「大雨で難しそうだったので実際には誰にも声をかけなかった」「実際にはお店に電話をかけるなどしなかった」と述べたことは、中居氏しか知りえない重要な証言であると判断したことから、調査報告書(公表版)25頁に引用しております。


3 <3>本事案について世界保健機機(WHO)の定義を用いたのは適切だったのか


調査報告香(公表版)27頁に記載したとおり、当委員会は、世界保健機料(WHO)が公表している「World Repart on Violence and Heath」(2002年)の「性暴力(Sexual Violence)」の定義に基づいて、本事案について、女性Aが中居氏によって性暴力による被害を受けたものと認定いたしました。


当委員会がWHOの定義を用いた理由は、FMHが東京証券取引プライム市場に上場しており、株主・投資家の中にグローバルに投資活動をする機関投資家が含まれること、CXのスポンサーの中にもグローバルに事業展開をする企業が含まれること、それゆえにFMH及びCXから委嘱を受けた当委員会が株主・投資家やスポンサーという重要なステークホルダーに対して説明責任を果たすためには、ビジネスと人権のグローバルスタンダードに立脚する必要があり、そのためにグローバルスタンダードであるWHOの性暴力の定義に基づいて本事案を評価することが適切であると判断したことにあります。


そして、当委員会は、調査報告書(公表版)27頁において、WHOの「性暴力」の定義の内容を枠囲みで示したうえで、脚注において内閣府男女共同参画局ホームページが「性暴力」を「同意のない性的な行為」としていること、福岡県の「根絶に向けた対応指針」が「性暴力とは、被害者の身体又は精神に対し、被害者の同意がなく行われる性的な行為」としていることも示し、これら2つの国内規範の定義がWHOの定義と整合していることを説明しました。さらに記者会見でもWHOの性暴力の定義を読み上げ、これに基づいたことを説明しました。このように、当委員会が用いた「性暴力」という言葉の意味合いについては、十分な説明を尽くしたものと考えております。


貴職らは、当委員会が性暴力という言葉を用いたことにより、本事紫において「『性暴力』という日本語から一般的に想起される暴力的または強制的な性的行為」があったとの印象を一般読者に与えたとのご見解のようです。しかしながら、貴職らのご見解は、中居氏及び貴職らのあくまで主観的な印象に基づいて述べられているものであり、当委員会が説明したようなWHOや内閣府、福岡県が示す客観的な規範に基づくものではないように思われます。当委員会は、本事案の評価において主観的な印象に基づくことは適切でないと考え、WHIOの示す客観的な規範に基づくことが適切であると判断いたしました。


4 <4>当委員会の中居氏に対する守秘義務の解除に向けた折衝は適切だったのか


当委員会と双方代理人との守秘義務の解除に向けた折衝の経緯は、調査報告書(公表版)26頁において次のように記載したとおりです。


「当委員会は、中居氏及び女性Aに対し、双方の代理人弁護士を通じて、当委員会のヒアリングに応じてもらえるよう依頼し、双方がお互いに示談契約における守秘義務を解除することにより、当委員会の調査に対して支障なく協力してもらえるよう依頼した。


女性A側は、当委員会に対する守秘義務の全面解除に応じる旨回答した。しかし、中居氏側は、守秘義務の範囲内の事項についてはヒアリングに応じないとし、当委員会に対して女性Aの守秘義務を解除しない旨を回答した。


そこで、当委員会が双方の代理人弁護士と協議した結果、「2023年6月2日に女性Aが中居氏のマンションの部屋に入ってから退室するまでの事実」及び「示談契約の内容」が守秘義務の対象事実であることを特定し、この部分以外については双方が当委員会のヒアリングに応じることを確認した。


当委員会は、このような確認を経て、ヒアリングを実施することを双方に提案し、女性A及び中居氏から了承を得て、両名に対するヒアリングを実施した。」


当委員会と双方代理人との折衝の経緯について、以下に補足説明いたします。


当委員会が、2025年1月31日に中居氏代理人と面談した際、中居氏代理人がヒアリングへの協力と守秘義務の解除について前向きな姿勢を示したこと、当委員会から中居氏代理人に対し、「第三者委員会は、2人の密室で何が行われたかが直接の調査対象ではなく、その前足と後足が大事と考えております」と説明し、その旨のメールを送信したことは事実であります。


当委員会からの上記説明の趣旨は、2人の密室で何が行われたかは女性Aの人権及びプライバシーに関わる事項を含むものであること、双方の間で守秘義務を負う示談契約が成立していたことから、当委員会が作成する調査報告書にその具体的な状況や行為態様についての内容を記載することは想定しておらず、仮にこの点について双方のヒアリングを行うことができなくても、その前後の客観的状況(上記説明とメールでは「前足と後足」と述べています)について調査をして事実認定をすることができれば、本事案について当委員会が評価をすることは可能である旨を伝えたのであり、中居氏代理人もこの趣旨をご理解されていたと思われます。


当委員会は、中居氏代理人と並行して、女性A代理人にも、ヒアリングへの協力と守秘義務の解除を提案し、折衝を行いました。


これと並行して、双方代理人は、双方で合流した守秘義務を解除するかどうかについて、当委員会を介さずに直接交渉を行ったところ、同年2月12日に中居氏代理人から当委員会に対し、


・(女性Aの)弁護士からは「委員会の調査に対して守秘義務を全面的に解除してほしい」との提案がありましたが、これについてはお断りいたしました。


・当方としてはこれまでの先方の守秘義務の履行については懸念するところがあり、委員会からのヒアリングとはいえども、守秘義務の全面解除することによって、新たな情報の流布が生じる可能性が充分にあると思います。


との連絡がありました。


当委員会は、女性A代理人からは守秘義務の全面解除に応じる旨の回容を得ていたことから、引き続き中居氏代理人に守秘義務を解除できないか折衝を続けましたが、同年2月15日に中居氏代理人から当委員会に対し、


・当方は、これまでの相手方の「守秘義務の遵守」に関して極めて強い懸念を持っております。


・今回、全面的な守秘義務解除をした場合、貴委員会の車情聴取だけでなく、その他の場面での情報開示の可能性があると考えています。


・ちなみに調査委員会が「一昨年になされた女性Aの申出(申告)に対するCXの対応の是非」について調査する上では、「一昨年に女性AがCXに申告した内容」が再現できればそれ以上に説明の必要はないのではないかと考えます。守秘義務の全面的な解除まではする必要はないのではないでしょうか。あくまで現在の守秘義務を前提として貴委員会の事情聴取に十分に対応できるのではないでしょうか。


・ご提案ですが、「調査委員会で話した内容を外部には一切話してはならない」ということを双方で約束するというのはいかがでしょうか。


との連絡がありました。


末尾の提案について、当委員会で検討しましたが、女性Aに対して元々の示談契約における守秘義務を超える新たな守秘義務を課すものであって、合理的な提案とは思われず、女性A代理人に提案することは適切でないと判断したことから、同年2月20日、当委員会から中居氏代理人に対し、この提案には応じられないと回答しました。


その結果、同年2月21日に中居氏代理人から当委員会に対し、「貴委員会からのヒアリングに応じます」「先方との守秘義務は解除せず、存続を前提としてお願いします」との最終回答がありました。


当委員会としては、女性Aが守秘義務を負い中居氏が守秘義務を負わない状態でヒアリングを行うことは、調査の中立性・公平性に欠けると判断し、また本事案の具体的内容について双方のヒアリングを行うことができなくても、その前後の客観的状況や上記2においと列挙した各種証拠の調査をして事実認定をすることができれば、本事案の人権上の意味づけや人権侵害の重大性について当委員会が評価をすることは可能であると判断したことから、双方とも示談契約における守秘義務を負っている状態でヒアリングを行うことを決め、その旨を双方代理人に伝えたうえで、双方のヒアリングを行いました。


そして、双方のヒアリングでは、当委員会から本事案について質問することも回答を得ることもありませんでしたが、本事案の前後の客観的状況等については、十分に質問して、双方から十分に回答を得ることができたと考えております。


以上のとおり補足説明いたしました。


調査報告書(公表版)26頁では、守秘義務の解除について双方代理人が示した最終的な意向を記載すれば足りると判断してそのような記載に留めましたが、今般、貴職らからご質問をいただきましたので、より詳細な経緯を補足説明いたしました。


当委員会としては、中居氏側が最終的に守秘義務を解除しなかった理由については、中居氏側が、女性Aの守秘義務を解除することで、当委員会の調査以外の場面での情報の流布や情報開示を懸念したことにあるものと理解しております。


5 <5>本事案についての当委員会の姿勢に中立性・公正性・公平性はあったのか


以上に述べたところを踏まえれば、本事案についての当委員会の姿勢に、中立性・公正性・公平性に欠ける部分はなかったものと考えております。


       草々

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